FM三重『ウィークエンドカフェ』2015年9月12日放送

蒸し器からアツアツの湯気。
むくむく、むくむく・・・たちのぼる白いベールの中からは、ふっくらと炊かれたおいもさん。
家族のあったかさがいっぱい詰まったこのさつまいもは、名張・赤目の名物
『へこきまんじゅう』に使われます。
赤目四十八滝の入り口でオレンジ色ののれんが見えたら、そこが『へこきまんじゅう』を販売している『たまきやさん』。
今回は『たまきや』さんの看板娘、玉置友圭子さんがお客様です。

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■へこきまんじゅうが名張のソウルフードに!

全国の百貨店に1年に1回ずつ回らせてもらっていますが、やはり地元のお客さんに愛してもらいたいという思いがあり、1ヶ月に1回、地元のスーパーをまわっています。
スーパーの出店時に毎回買ってくれるお客さんもいたり、お店が開いているかどうか問い合わせしてくれす常連のお客さんもいたり・・・。
お客さんにここまで思っていただけるなんて、本当にありがたいです。

「へこきまんじゅうは名張のソウルフードや」

・・・そう、お客さんから言ってもらえた時には、それも本当にうれしかったです。
そんなふうに言ってもらえる商品を作ることができるのは、幸せですね。
夏休みには、地元の中学生の女の子が、英語の宿題にへこきまんじゅうを英語で紹介したいと、取材に来てくれたんですよ!

 

■へこきまんじゅう誕生秘話

赤目滝のお店自体は、おばあちゃんが50年ほど前から商ってきました。
その後民宿『たまきや』を経営、その民宿を父と嫁いできた母が引き継ぎ、『アカメグリーンビレッジホテル』を作りました。

私の母が、赤目滝へ来たお客さんのために、何かホッとする食べ物をと・・・ということで、13年ほど前に考案したのが『へこきまんじゅう』。
赤目滝という観光地にお店があるおかげで、13年間でたくさんのお客さんに食べてもらい、知ってもらうことができました。
名前も変わっているから、お客様が広めてくれたのもあります。
おまんじゅうができた時は、そんな名前を付けるつもりはありませんでした。
サツマイモをたくさん使っているためか、試作段階で父がひとくち食べた瞬間に『プッ』とおならを!

それで父が「へこきまんじゅうや!」と言って、みんなが「そんなん言わんといて!」と。
でも「いや、へこきまんじゅうで決まりや!」と売りだして。
実際お店で焼いて売るのはおばあちゃんが「そんなん売る人の身になってや」と言ってもおかまいなしでした。

冗談みたいなスタートでしたが、その名前だからこそ広まったと思うし、お客さんも名前を聞くと笑ってくれるので、これで良かったと思います。

 

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■販売をはじめて10年以上、ようやく今、完成した気持ち

おばあちゃんはお客さんに対して、本当に家族みたいに接しています。
「行ってらっしゃい」「おかえり」って言ったり。
おばあちゃんい会いに来てくれるお客様もいるので、まだまだ元気でいて欲しいです。

ウチは、お母さんがアイデアを生み出す人なんです。
人のためにお客さんのために、誰かのために何かしたい、おいしいものを作りたいという気持ちがとても強く、私も尊敬しています。
いろいろひらめく考える中でへこきまんじゅうも生まれて、家族みんなで作り上げてきました。
へこきまんじゅうは玉置家の子どものような感じですね。
私も子どもなんですけど(笑)、育てていっている思いです。
試作している最中からずっと見ていましたし、試食のしすぎで太るんじゃないかと思いました(笑)。
初めて作った時も覚えています
母から「サツマイモベースで忍者の形に作ろうと思うんだけど、どうかな?」と訊かれ、2人でこそこそと作って。
今はいろいろな種類があるんですが、はじめはプレーンの味のみ。
そこにアンコを入れてみたり、姉と考えて、洋風にリンゴやチーズを入れてみたり。
それも最初はうまくいかず、チーズの作り方を変えたり冷凍して溶けないようにしたり・・・。
でも、どれを食べようか迷ったら、まずプレーンを食べてください。
10年以上作ってきて、今、ようやく完成したという感じです。

 

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■台湾のデパートでも販売

大阪の百貨店にも出店すると、待ってくれている人からお土産やお手紙をいただいたりします。
いつもたくさん買ってくれるお客様もいてその人が、ある時スーツケースを持って来ていたんですね。
その時は60個も買ってくれたので「重たいですよ」と行ったら、このスーツケースがあるから大丈夫!と。
なんと、1個でも重めなへこきまんじゅうを入れるために、空のスーツケースを持って来られたんです!
そしてスーツケースにへこきまんじゅうをいっぱい詰めて、帰っていかれました(笑)
大阪のお客さんは赤目が近いこともあって、知ってくれているお客さんが多く、
とってもフレンドリーなんですね。

今は台湾の方にも出店させてもらっています。
台湾語で『放屁饅頭』と大きな看板を作ってくれて、台湾のお客さんも笑ってれて。
嬉しかったです!

食べ物にそんな名前つけるな、というお叱りも最初はありましたが、出店していると、へこきまんじゅうの周りには笑いがあるんです!
へこきまんじゅうという名前を見ただけで笑ってくれるお客さんもいるので、魔法の言葉だと思います。
いろいろ意見はありますが、この名前でずっとやっていきたいです!

 

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■へこきまんじゅうのキャラクター『忍者福笑門』

へこきまんじゅうの箱を作りたいと前から思っていたものの、予算の都合もありなかなか実現できませんでしたが、去年、ようやく作ることができました。
へこきまんじゅうは忍者の形をしていて、『忍者福笑門(にんじゃふくえもん)』という名前のキャラクターなんです。
その『福笑門』をいっぱい散りばめた箱と袋です。
忍者というとキビキビしたイメージがありますが、『福笑門』は「笑う門には福来る」のが名前の由来なので、ぽっちゃりぷよぷよの体型にタレ目で、打出の小槌を持っていて小判を背負っているんです。
福笑門も父母が考えたキャラクターで、忍術や設定があるので、良かったらHPで御覧ください。
実はちゃんとストーリーがあるんです。

私の家族は、こういうことを考えるのが好きで、父はへこきまんじゅうの歌を作ったりとか(笑)
お店では流していませんが、録音したりしています。
いつかどこかのデパートで流れてきたりして(笑)。
母はへこきまんじゅうの絵本を作っています。
へこきまんじゅうを作った時から思い描いていたストーリーで、母の、へこきまんじゅうへの思いが詰まっている本なんです。

ひとくち食べて、「美味しい!」という感覚で全部作ってきました。
その感覚はずっと大切にしていきたいな、と。
キャッチフレーズは『名前で笑って味で満足』!
これからもへこきまんじゅうで、笑顔と幸せな気持ちを広めていきたいな、と思います。