FM三重『ウィークエンドカフェ』2015年9月19日放送

朝日町の閑静な住宅街のなかに、今回のお客様、二宮幸介シェフのお店『パティスリー・シェ・ニノ』があります。
オープンして4年半。伝統的なフランス菓子をはじめパンやパイ、キッシュなどを私たちに届けてくれます。
毎日、お菓子やさんに足を運んでもらえるように・・・。
二宮シェフの優しさがいっぱい詰まっています。

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■オープン当初からのスペシャリテ『アリバ』

日々新しく生み出されていたり、季節商品もある中で、『アリバ』は『シェ・ニノ』オープン当初からのスペシャリテであり、外せない一品です。
材料としては、パリのショコラティエや世界の有名なシェフたちが愛用している、イタリアの『ドモーリ社』のチョコレートを使っています。
このチョコレートのカカオ成分が56%。
ちょっと苦いかなと思うんですけど、本物のショコラとしてはオーソドックスな味わいで、みなさんにも食べやすいと思います。

しかも『アリバ』をはじめ、いくつかのケーキにはお酒を使っていないので、子どもさんから大人まで、幅広い支持をいただいています。
もちろん、お酒の効いたケーキもあるので、店頭で訊いてくださいね。

 

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■フランス菓子と洋菓子の違い

おおまかに言うと、フランスの伝統菓子の技法を今風にアレンジしたのが『フランス菓子』。
洋菓子というのは、わかりやすく言うと『洋風和菓子』なんです。
『洋風和菓子』は、日本人が考える洋風なお菓子で、フランス料理と洋食の違いのようなイメージですね。
日本人は滑らかでふわっとした食感を好むのでクリームを作るときも空気を抱きこむように作ります。
フランス菓子は逆で、味がギュッと締まり、より重厚な味にするため、空気を抜くように作ります。
日本人の感性からすると、ちょっと甘くてくどく、濃厚に感じられると思います。

『パティスリー・シェ・ニノ』では、ミルフィーユも空気を含ませずに、目の詰まった生地を作ることによって、食感をフランス菓子のようにします。
バターもこれまでは国産のを使っていたのですが、『レスキュール』というフランス産のバターに変え、風味が倍増しました。
シンプルな味で勝負するというコンセプトなので、中にフルーツは入れず、カスタードクリームのみ。
さらに良い商品になったと思います。

 

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■パティシエを目指したきっかけは、お父さんが作ってくれた焼プリン

ウチは祖父も父も兄も料理の道に進んでいるので、その影響が強かったと思います。
休みの日に父が焼いてくれた焼きプリンがとてもおいしかったのも、パティシエになる理由の大きな1つでした。
みなさんが購入するような、ケーキ店のショーケースの中のプリンは冷たいですが、焼きたてのプリンは本当に熱くて、それがまたおいしいんです。
なので、高校卒業後は自然と製菓の専門学校を出て、お菓子の道に進んでいきました。
自分が好きで入った道なので、修業を辛いと思ったことはありませんが、ある店で修行をしたからといって、製菓のすべてを学んだわけではありません。
店によって色々なやり方や作り方があるので、、仕事が終わった後や休日などは、他のお店に行ったり、本を読んだりして勉強しました。
つまり、仕事以外の時間のプライベートもすべて含めて修業なので、そういう意味では大変だったかもしれませんね。

 

■ガラス越しの仕事場は、子どもに夢を与えたいから
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みなさん、お誕生日にケーキを買ってお祝いしますよね。
他には友達の家にお土産にするとか、自分たちで楽しむとか・・そんな使い方が圧倒的に多いと思います。
それは僕らとしては醍醐味というか、職人冥利に付きます。
一番うれしいのは、笑顔で商品を買ったお客様が、そのままお店を出て行かれること。
こちらも幸せな気持ちになります。
ガラス越しにしているのもそのためです。
お店の扉の横にあるので、帰るときのお客様の顔が見えるでしょう?
そんなお客さんの表情を、僕も見ていたいのです。
あとは僕が小さい頃に、ガラス越しにケーキを作っている職人さんに憧れたので、子どもさんを連れているお客さんも多い中で、自分がそういう存在でありたいな、というのもあります。

お子さんが見てると、手を振ったら振り返してくれるとか、コミュニケーションが取れます。
子供さんだけでなく、大人の男性も不思議そうに見る人が多く、僕と同じく少年の心を持っているんだな、と思いました(笑)。

 

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■今年のシェ・ニノのクリスマスケーキ

実は撮影もほとんど終わっているんです。
外せない定番商品のイチゴのショートケーキと、先程ご紹介した『アリバ』も木の幹をかたどった『ブッシュ・ド・ノエルバージョン』を作ります。
予約開始は11月ですが、限定数があるのでその月内に完売してしまいます。
その2つ以外は毎年入れ替えるよう心がけていて、今年は1つのケーキで2つの味を楽しめる商品を出す予定です。

 

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■これから充実させたいのは、トリュフチョコやフレッシュなお菓子

僕は『Sadaharu Aoki』の元で、ショコラティエとして修業した経験があるので、たチョコレートをもっと充実させたいという思いがあります。
トリュフとか箱詰めのボンボンショコラなど。
しかしチョコレートは管理が難しく、生菓子と保存する温度帯が違うんです。
そのため今のところは冬しか販売できないのですが、チョコレート専用のケースを手に入れて、常時おいて置けるようにするつもりです。
さらに、ゆくゆくはクレープなどの、注文をいただいてから作って提供するようなものも作っていきたいと思っています。