古い蒸気機関車が展示され、時に子どもたちの格好の遊び場になっている公園がある。
あ、私も××公園で遊んだことある!って方は多いのではないであろうか。
私もそのひとり。
津駅近くの偕楽公園に置かれている蒸気機関車でよく遊んだ。
運転手になった気分で、小さな窓から線路なき前方を眺め、吹き上げる煙と車輪が動き出す音を想像してコーフンしたものだ。
県内には、蒸気機関車を展示している公園(無料で入れるところ限定)が6ヶ所あるという。
そのすべてを回ろう!!
そんな思いつきの旅に写真師マツバラと出かけた。
「隊長、ちょっとコンビニに寄りたいであります!」
「なんで?」
「熱いコーヒーを飲んで、ちょっとトイレに立ち寄りたいであります」
「小?」
「大であります」
「限界?」
「はい、もうかなり切迫しております」
「じゃ、急いで。目的地まであと10分ぐらいだから。今回はね、時間との勝負なんだよ、マツバラ君。トイレぐらい自宅で済ませておいてくれないかなあ」
「あ、悪魔だああ!! ひいいいいいいい!!」
こうして写真師マツバラは脂汗を垂らしながらアクセルを踏み込み、伊賀から亀山市関町へと入った。
なんたって、
今回は公園に眠る蒸気機関車を追い求めて、たった1日で6ヶ所をまわろうというのである。
各地で1時間取材したとして6時間。
移動時間を考えると、日暮れまでに取材を終えるのは至難の業なのである。
写真師のウンコぐらいで車を停めるわけにはいかないのだ。
われわれの取材も楽じゃないのである。
関ロッジ
東海道47番目の宿場町である「関宿」を見下ろす観音山にふもとに建つホテルである。
この第二駐車場に機関車が展示してあるという。
が、なんと!
関ロッジは休館中であった。
しかも再開の目処はまったくたっていないという。
果たして駐車場内に入ることができるのか。
蒸気機関車を見ることができるのか。
2ヶ所目にして暗雲が立ち込めるのである。
ロッジは完全閉鎖中!
ロッジの玄関へとつづく道で、松の巨木が倒れ、完全に行く手を阻まれてしまった。
その向こうにブルートレインの宿が見える。
鉄ちゃん関係者や子どもたちに非常に人気のあった宿で、寝台車で宿泊ができた。
写真師とこのレポートで取材したこともある思い出の場所だ。
・関ロッジのレポートを見る
・ブルートレインの宿のレポートを見る
果たして蒸気機関車を見ることはできるのか!?
上ってきた道を再び車でおりて第二駐車場へ。
観音山のふもとにあるそこからは、関宿の町並みが見下ろせる。
なかなかよい眺めだ。
そこに蒸気機関車はいた
C50154。
昭和8年2月に製造。
39年と4ヶ月間、軌道を走り続け、180万キロ以上を走って役目を終えた。
現存するC50型は、この関ロッジのものを含めて全国に6台しかない。
貴重な交通遺産なのである。
残念ながら柵が張り巡らされており、その扉は施錠されていて中に入ることはできなかった。
関ロッジが休館中だからであろうか。
柵のそとから写真を撮ることにする。
黒々と光る鋼鉄のボディ
屋根もあるし、定期的に補修やリペイントがされているらしく、保存状態はすごくいい。
眼下に広がる風景も美しいし、余生をおくる環境としては申し分ない。
が、われわれが取材中、誰も人がくることはなかった。
ちと寂しい。
では、その鋼鉄の美しさを見ていただこう。
関ロッジは休館中ですが、蒸気機関車が展示されている第二駐車場まではいくことができます。
トイレもあります。
眺めもよいところですので、ぜひお弁当でも持ってゆっくりピクニックにでもどうぞ!!
写真/松原豊