県内有数のお茶の産地、水沢地域。
実は三重県は静岡、鹿児島に次いで全国で3番目のお茶の産地。
とくに四日市の水沢地域は、収穫の約２週間前に黒い覆いをかぶせる『かぶせ茶』の産地として有名で、その生産量は日本一。
収穫前に光を遮ることにより、渋みをおさえ、色鮮やかで旨味あるお茶になるんだそうです。

そんな水沢の星の広場で開催されたのが、『茶っ都マーケット』。
水沢が好きで好きでたまらないという若者たちが集まって立ち上げたイベントで、食べて、見て、買って、遊んで、1日楽しめます。
会場では、お茶の販売はもちろんのこと、雑貨販売や飲食ブースなど、約100店が並び、1万人以上の人で賑わうそうです。
毎年11月の下旬に行われるイベントで『水沢もみじ祭り』に合わせて開催され、今年で5回目だそう。

『茶っ都マーケット』では、お茶を使ったさまざまな商品を販売。
かぶせ茶入りのキッシュ・ロレーヌには、生地にもかぶせ茶を使用。
上にかぶせ茶をかけて軽く温めると、かぶせ茶の香りが立つとのこと。

かぶせ茶ふりかけ焼きそばは、かぶせ茶の粉末をかけることで、かぶせ茶の風味を楽しめ、しかも身体にも良いとか！

そして今回紹介する『四日市茶農家女子会』のみなさんのブースがこちら。

「20代〜40代の女性で活動しているグループなんです。
若いご家庭だと急須でお茶を飲む機会が少なくなるので、子育て世代のお母さんやお子さんを対象にお茶のPRを行っています」

と、メンバーの池田さん。

『四日市茶農家女子会』は、県や市の呼びかけで、2013年3月に設立。
メンバーはお茶農家や、お茶に関心を持つ女性13人。
おいしいお茶の煎れ方の勉強会をはじめ、三重県や四日市市、三重茶農協の協力を得て、新商品の開発や、新たなPR手法の考案、そしてパッケージデザインなど、新しい風を次々に起こしてきました。

ブースではかぶせ茶の試飲も行っています。
色の濃いほうが急須で入れたお茶、薄いほうが水出しです。
かぶせ茶は甘みの強さが特徴ですが、水出しのほうがより甘さを強く感じます。
家でお茶を淹れる際も、普通のお茶より少し低めの温度、60〜70度くらいで淹れると甘みが出るそうです。

こちらはお茶のティーパック。
お茶のパッケージというと緑色を想像しがちですが、女性をターゲット死にているため、ピンクを基調としたオリジナルパッケージを作成。
デザインは池田さんが担当しました。

さらに、お茶のポップコーン！
ポップコーンにかぶせ茶の粉末を絡めたもので、子どもでもおいしくいただけます。

そしてこちらが『四日市茶農家女子会』の代表である堤智春さんと、清水加奈さんのブース。
堤さんは創業100年の製茶技術を守りつつ、かぶせ茶を使ったお菓子の製造販売をしています。

自宅で収穫したお茶を使った『万次郎ぷりん』は、かぶせ茶の一番良いところを使い、荒い茶葉もあえて入れることで、いっそうお茶を感じることができます。

堤さんに、なぜ『茶農家の会』を女性だけのグループにしたのかお聞きしました。

「茶業界は男性業界でしたが、女性をターゲットにするからには女性目線が大切だと思ったのです。女性のやわらかさやデザイン力、購買意欲を高める方法など、女性のほうが浮かぶのではと思いました」

堤さんの読み通り、『万次郎ぷりん』は絶好調だそうです！

清水さんは、ひとりでも多くの人にかぶせ茶を知ってもらおうと、5年前にかぶせ茶カフェをオープンしました。

「お客様からお茶を買うところや飲めるところが水沢にはないと言われ、1人でも多くの人にかぶせ茶を気軽に楽しんでもらうため、週3日かぶせ茶カフェを営業しています。
女性茶女子二人で県外にマルシェに行ったところ、とても反応があったので、まだまだかぶせ茶知られていないからこその可能性を感じています」

四日市市農水振興課の伊藤里奈さん（右）と、三重県四日市農林事務所の平野あゆみさん（左）に、『四日市茶農家女子会』のみなさんに期待していることをお聞きしました。

「今後も、女性の視点を生かしてレシピ集の作成やPRしていく時に、かぶせ茶を多くの人に知ってもらう活動をしてほしいですね」

「かぶせ茶をもっと多くの若い人にも知ってもらい、さらにこの産地が活性化されることを期待しています」

明るい笑顔で、かぶせ茶の未来を見据える四日市茶農家女子会のみなさん。
厳しい現状に消して負けない。
新しい可能性を自ら切り開いていく。
笑顔の中に、そんな強い意志を感じさせます。