FM三重『ウィークエンドカフェ』2015年12月26日放送

今回のお客さまは、紀宝町井田『パティスリーアフレイル』のオーナーパティシエ、橋本優さん。
神戸出身の橋本さんが奥様の実家の近くであるこの町にお店をオープンしたのが今年の8月。
まだ、できたてほやほやのお店です。
橋本さんが作りだすお菓子から、たくさんの人に笑顔を届けたい。。
その想いからお店の名前は『アフレイル』
あふれるスマイルという意味を込めて、橋本さんが作った言葉です。
お店のオープンと同時にいつもたくさんのお客様が足を運んでくれます。

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に職をつけたいと思い、パティシエに

小さな頃から近所のケーキ屋さんによく通っていて、自分自身も小学校の頃からケーキを作っていました。
もともと物を作ることは大好き。
そして僕が高校生の時に阪神大震災。
その時、一人になっても行きていけるよう、手に職を持ちたいと思ったんです。
手に職があるのは、すごい強みだなと。
じゃあどの職に就こうかと考えた時に、子供の頃から慣れ親しんだケーキがピンときたのです。

 

どもたちに厨房が見えるように設計

紀宝町には専門店としての洋菓子店が今までなかったと、役場の方から聞きました。
僕は生まれも育ちも神戸で、家の周り歩いて5分圏内に洋菓子屋さんが5軒近くあるような町でした。
なので、これだけの規模の町に、洋菓子店が1店もないことが信じられませんでした。
それがここでお店を出そうと思ったきっかけの1つ。
僕が小さな頃行っていたケーキ屋さんは、厨房がよく見えて、おじさんが作業しているのが見え、その姿に心が動き、ケーキ屋を目指した部分もありました。
今までケーキ屋がなかったこの地域にケーキ屋ができ、子どもたちに厨房が見えることで、夢が増える助けになれば良いなと思い、お店の厨房も窓を広く採りました。

 

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産品を使ったケーキづくり

紀宝町はウミガメが産卵に来る町ということで、近くにも『ウミガメ公園』という道の駅があるんですけど、それにちなんで、シュークリームのシューに甲羅に見立てたクッキーを乗せた『ウミガメシュー』を発売しました。これがオープン以来人気の品になっています。
できるだけリアルにならないよう、可愛らしく。
できればこの土地にちなんだ名前や由来、この土地の材料を使ったお菓子を作っていければ良いな、と日頃から考えています。
使っている卵もお隣の御浜町の養鶏場さん、それから紀宝町特産のマイヤーレモンも使っています。
マイヤーレモンを使った『ウィークエンドマイヤー』は。さわやかな香りとまろやかな酸味がアクセントとなったアフレイル自慢の逸品です。

マイヤーレモンはオレンジとレモンの自然交配種で、ここに来るまでは一度も使ったことがありませんでした。
酸味にはレモンを使うことが多いんですけど、試しにマイヤーレモンを使ってみたところ、レモン独特の香りのきつさや酸味のきつさがまろやかになり、オレンジの風味が加わって、とても使いやすい素材だとわかりました。
これからも使っていける素材だと思っています。
農家の方からも教えてもらったんですけど、マイヤーレモンはとても水分の含有量が多く、レモン1つ絞っても採れる汁が30gくらいなのに対し、マイヤーレモンだと倍くらい採れるんです。
また、皮も擦り入れたり、皮の砂糖漬けを作ったりする時、レモンの場合は白い部分から苦味が出てしまうため、こそげ落とさないといけません。
しかしマイヤーレモンだと皮自体の苦味が少なく、白いところも使えるため、皮を大きく使えるんです
これからバレンタインにかけて、マイヤーレモンのピールに挑戦してみようかなと思っています。

 

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本独特のケーキ、ショートケーキ

実は『ショートケーキ』は日本独自のケーキで、本場のフランスではクリームと生地だけで食べるというのはあまりなかったんですね。
最近では逆に、日本から逆輸入でフランスに伝わったと聞きました。
お寿司の文化だというんですけど、スポンジとクリーム、それぞれの味自体を楽しもうという由来で作られているので、美味しい生地を作ることができて一人前ということがあり、どうしても力が入りますね。
ショートケーキももちろんですが、アフレイルではバースデーケーキにも力を入れています。
特別な日を彩るケーキは、お客様の思い出にもなりますからね。

新しいケーキを考案するときは、ムースや凝ったお菓子を考えるんですけど、やっぱり最終的にお客さんに一番喜んでもらえるものはショートケーキ、シュークリーム、モンブラン。
そこはやっぱり外せませんね。
僕自身が食べる方だと、マニアックなフランス菓子などが好きですね。
町のケーキ屋さんではなかなか見ませんが、挑戦として、ちょっとずつ出していきたいと思っています。
ただ、ショーケースの中が全部そういうマニアックなお菓子になっちゃうとお客さんから離れてしまうので、1個2個。
今、どんな洋菓子を作ろうか企んでいるところです。

 

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宝町らしいケーキを作りたい

ティラミスやカヌレなど、日本で流行ったお菓子がありますが、実は昔からある伝統菓子。
特にカヌレの正式名称は『カヌレ・ド・ボルドー』と言い、本当に町のどのケーキ屋さんに行っても必ず売られています。
それがこれまで日本に伝わっていなかったというだけです。
また、日本で100年200年続いた和菓子屋さんの和菓子も、とても感動があると思うんですよ。
だから、日本の和菓子を外国の方が食べた時に、「こんなに美味しい物があるんだ」とその国でブームになることがあると思うんですよ。
それと同じことですね。
それが伝統の強みだと思いますし、僕も和菓子は大好きです。
和菓子もパンも好きでいろいろなお店に行くので、下手したらケーキ屋さんより多いかもしれません。
何十年も続いている老舗の和菓子の美味しさを、洋菓子にアレンジできないかなと考えています。
ここでやるからには地方独特、紀宝町のケーキというのを考えていきたいですね。
紀宝町に来たらこのケーキが食べられる、とみんなが知ってくれるような。

まずは一年間、季節が一周してみて、どういったことができるのか自然体でやっていきます。
そして、ここだからできることを探したいと思います。