三重テレビ「ゲンキ!みえ!生き活きリポート!」2011年8月21日放送

三島由紀夫の小説『潮騒』のモデルとなった島にあるただひとつの診療所で孤軍奮闘!
若き医師が、島のお年寄りの健康づくりに貢献します!

伊勢湾に浮かぶ周囲3.9キロ、人口500人足らずの小さな島、『神島』。
三島由紀夫の小説『潮騒』のモデルなり、5度の映画化の舞台ともなった場所です。
そんな神島で、島の人の健康をひとりで守っているお医者さんがいます。

小泉圭吾さん。
神島でただひとつの診療所で奮闘する、33歳の若き医師です。
小泉さんが家族と共に神島へやってきたのは2年前。
その前は南伊勢の病院に勤務していました。
小泉さんはへき地や離島での医療を確保するため、全国の都道府県が共同で設立した自治医科大学の出身。
9年間、出身地のへき地や離島で勤務するという義務があり、その中で小泉さんは神島へとやって来ました。

午前8時30分。
島の診療所で小泉さんの一日がはじまります。

診療開始と共に患者さんたちが次々に訪れます。
島の人にとって、病気になったり怪我をしたときに頼れるのは小泉さんだけなのです。

小泉さん「3年目になるので、ようやく慣れてきました。
 内科以外の科、眼科・耳鼻科・皮膚科・整形外科・・・一通り診なければならないので、最初は自分の知識のなさを嘆くことが多かったですね。
 今は週1回他の病院で研修して勉強しています。
 『患者さん』という漠然としたものじゃなく、ちゃんと名前の付いた人を診ていられるという感じがするので、本当 に医者をしているという気がする・・・自分のやりたいことはこういうことだったんだ・・・と、強く感じます」

小泉さんは、診療以外にもいろいろな取り組みを行っています。
そのひとつが、病気や怪我を予防するための『健康体操』。
島には体操をする場所や教室がなかったため、小泉さんが週に2回、診療の合間を利用してボランティアではじめました。

島全体が山地の神島は、斜面に民家が密集。
坂や階段が多いこの地で、お年寄りがいつまでも元気で上り下りできるように・・・との、思いです。

そしてもうひとつは『脳トレーニング』。
計算と漢字の書き取りと音読で、高齢者を対象にした塾といった感じ。
目的は、おじいちゃんおばあちゃんにいつまでも大好きな神島で暮らしてもらうため。
もし重度の認知症になった場合、高齢者の養護施設がない神島では、島を離れることになりかねないからです。

島の人に寄り添い、ともに生きる。
これが離島の医師の姿なのかも知れません。

家族団欒のひととき。
外食するところも、買い物をするところも島にはありませんが、家族と過ごす時間はたっぷりとあります。

妻・優美さん「周りの方がとても協力的なので、ありがたいです。
 主人も大きい病院に勤めるより、時分はこういう地域で貢献したいと言っていったので・・・本人の望む医療に従事できているようなので、私も嬉しいですね」

神島のお医者さんとして生きる・・・・。
小泉さんは毎週木曜日、専門外の医療の知識をつけるため、鳥羽や、伊勢志摩の病院へ研修に行っています。

そして若い医学生の研修の受け入れも行い、へき地でも楽しく熱い医療はできるんだ・・・ということを、後輩達に伝えています。

小泉さんは、へき地、離島の医療の今・・・そして神島の未来を守っていこうとしているのです!