第11回「サルシカ隊長レポート」2011年8月

IT化のメリット・・・。
それを誰よりも享受できるのは地方で暮らすものではないだろうか。
例えばインターネットショップ。
場所や距離という概念などなく、知識とアイデアさえあれば、店の前の人通り(トラフィック)は渋谷にも銀座にもなるのだ。

サルシカ隊長であるワタクシが暮らす三重県津市美里町には、ガソリンスタンドがなんとたった1軒しかない。
そのライフラインともいえる1軒を守り続けているのが、稲ちゃんこと稲垣君だ。

山村地域は車なしでは生活できない。
ということは、美里町に暮らしている者は、必ずこの稲ちゃんのスタンドに立ち寄る。
普段は街中のセルフで入れている人も、いざとなれば稲ちゃんのところにいく。
いや、行くしかないのだ(笑)。

実際、ワタクシが川崎から美里町に引っ越してきて、真っ先に知り合いになったのはこの稲ちゃんである。
もちろん給油に立ち寄ったから(笑)。

ガソリンスタンドのオーナーである稲ちゃんは、コンピュータおたくでもあった。
Windows、Mac、iPhone、Android・・・すべてに精通している。

しかも商工会やパソコンスクールみたいなところでIT関連の講師までしている。

そんな彼が、
「田舎に暮らすものこそITを身につけていかねばならぬ! ITを武器に田舎ならではのビジネスを見つけてこそ、地方はよみがえるのだ!」
と、地元の美里町でITセミナーをはじめると言い出した。

人口4000人に満たない、昼間はまるっきし若者の姿がみえない町で、である。


しかも!
会場は、築100年近い古民家を改装したカフェ。

明るい陽射しの中であれば、そこは静かで味わいのあるカフェである。

しかし!
夜になればあたりは真っ暗。
外はカエルがゲコゲコ、網戸には虫がいっぱい。
エアコンもなく、扇風機がまわる、そんな古民家でITなのである。
畳の上でウチワを扇ぎながらデジタルなのである(笑)。

そんなセミナーに人が来るんかいな、と思っていたら、これが来るのである。
すでに数回のセミナーをやっているが、毎回それなりにお客さんが集まり、盛況なのだ。

しかも、
パタパタとウチワをせわしなく扇ぎながら、010100001101010・・・とやけにデジタルな言葉で、はげしくやりとりをしているのである(笑)。

サルシカ隊長のワタクシもこれまでに2回ほど参加してきた。
いくつになっても学ぶというのは楽しいし、何より古民家の薄暗い明かりの中で、怪しくデジタルの勉強をするあの雰囲気がたまらなくいいのだ。

たとえは悪いが、法事の夜、いとこや友だちが集まってきて妙にワクワクと嬉しい・・・そんな雰囲気に似ている。

取材をさせていただいたこの日のテーマは「Facebook」であった。

基本中の基本から、Facebookページの作成方法、そして注意をしなくてはいけないプライバシー設定の確認まで、夜8時にスタートして12時前までの都合4時間、徹底的にやってくれた。

しかも稲ちゃん先生はいつ何時でも質問を受け付けてくれる。
どんどん、バシバシ質問を来ることを期待している。
質問のサンドバッグになりたいと言っている。
ちょっと変態だ(笑)。

隊長「稲ちゃん先生!」
稲ちゃん「はい、隊長、何かわからないことでも?」
隊長「先生がナニについて話しているか見当すらつきません!」
稲ちゃん「え・・・いつから?」
隊長「えっと・・・、ずっと最初から・・・!!」

こんなバカがいても、稲ちゃんは怒らない。
目は相当疲れてぐったりしていても懇切丁寧に教えてくれる(笑)。

この日の参加者は、半分が美里町内から。
半分が他の地域からであった。
おとなり松阪市飯南町から来ている人(サルシカ隊員のたかおさんだった)や多気町から来ている人もいた。
(ちなみに紀北町から参加した人もこれまでにいたらしい)。

みんな真っ暗な山道を迷いつつ、鹿に気をつけつつやってきたのだ。

ちなみに参加費は、内容によって違うが、1500円から3000円ほど。
(外から講師を招く場合は少し高くなるみたい)

ワンドリンクがついている上に、少人数で徹底的に教えてくれるし、わざわざ資料まで配布してくれる親切ぶり。

稲ちゃんは言う。

「これで利益を得ようなんて思っていないから出来るんさ。
 ITを学んで強い地域にしていきたいということもあるけど、田舎だってこんな面白いことをやってる、してる奴がいるぞ、ってことを知ってもらいたいんさな」

うんうん、確かに面白いぞ。
しかもしっかりと役に立ってるぞ。

みなさんも、わずか数時間の山村留学をしてみませんか。
古民家でIT。
山村からデジタル革命がはじまるのだ。