FM三重『ウィークエンドカフェ』2016年4月9日放送

今回のお客さまは『ばんこの里会館』の館長、数馬桂子さん。
数馬さんが館長になったのが66歳の時。
いろんなご縁がつながって、館長のお仕事に就かれました。
ばんこの里会館は、『萬古陶磁器振興協同組合連合会』が運営しています。
萬古焼を作っている『萬古陶磁器工業組合』と販売している『萬古陶磁器卸商業協同組合』の連合体。
数馬さんが初めて会議に出席したとき、このみなさんとならきっといいものができる!と確信したそうです。
素敵なみなさんとともに作る『ばんこの里会館』がスタートしました。

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前を覚えてもらうために旧姓で

数馬は旧姓で、本名は渡辺桂子です。
渡辺も桂子も、とてもたくさんある名前ですよね。
私の本職はプランナーでいろいろなことを企画するのですが、仕事の内容はもちろん、覚えてもらわなくてはなりません。
名刺を出した時に『渡辺桂子』では、あまりにインパクトがないので、仕事を始める時に『数馬』という、あまりない旧姓を使うことにしました。

 

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0歳を過ぎたら地域貢献がしたい

市役所と商工会の方からお話があったところ、夫が「お前は『60過ぎたら地域に恩返しがしたい』と言ってたんじゃないか」と背中を押してくれました。
結婚して初めて良いことを言ってくれましたね
でも、私は、それまで仕事仕事できていたので、びっくりしました。
もちろん、今までの仕事を全部一気に引くわけにはいかないので、週2回という条件付きで良ければうかがいますと。
私が『ばんこの里会館』に来てすることは、みなさんとコミュニケーションを取ったり、様子を見たり。
だいたい金曜日と土曜日の午後です。
引き受けてからやめるのは嫌だったので、それでよければと話がまとまり。
本当にご縁だな、と思ってやってきました。
もちろん四日市市民ですから、萬古焼を知らないわけではないですよ。
関東でも、紫泥の急須、常滑の朱泥の急須は、お茶が美味しいといいます。
私も紫泥急須を使ったことがありますし、仕事ばかりしてきたとは言え、『四日市ばんこまつり』には何度も来ています。
おおよそのことはわかりますが、専門的なことはまったく知りませんでした。

 

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合会のみなさんはとても真面目で一生懸命

まず、この連合会の定例会議があるんですね。
最初に決めた週2日の他に、その会には全て出席してほしいと言われました。
その会が、早い時間で17時、遅くても18時。
みなさん働いて、一日終わってから集まり、そこから1〜1時間半。
最初にご挨拶した時は誰も知りませんし、男女共同参画といっても女性は少ないし、もう本当に私一人でした。
業界的に、女性ももちろん働いているのですが、表に出てくるのは男性だけです。
一瞬気後れしましたね。
でもそんなことより、みなさんすごく真面目で一生懸命で、『ばんこの里会館あり方検討会』の後だったので、本当に萬古焼の未来について考えていました。
私が来たのは、その『あり方研究会』で決まったことを半年ほど始めた後。
決まったことの中の1つ『知ってもらう』ために、いくつかワーキンググループを作って、とにかく来館してもらおう・・・ということも、始めて半年くらい。
だからみなさん、息が合っているし、真面目で、ある意味感動しました。
みなさんこんなに真面目で、さらにやる気がある人が5〜6人いたらどうにかなる!・・・と、やる気満々になりました。
普通なら老後ですよね。
引き受けた翌年に、後期高齢者医療制度の案内が来たくらいですから。
この歳でこんなワクワクできることに出会えて、本当に幸せだなと思います。
色々な会議があり、初めての方が見えるときは、自己紹介の時に、
「真面目で一生懸命な仲間と仕事ができて、私は今とっても幸せです」
と、ご挨拶しています。

 

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災土鍋に感動! 体験講座のすばらしさ

ばんこの里会館を多くの人に知ってもらうにはどうすればいいか?
まずは、半年間更新されていなかったホームページが気になりました。
そこで、Facebookと『ばんこグランマの館長ブログ』をアップし、イベント紹介からスタートしました。

ブログはまず、何もわからないので歴史から始めました。
お急須も土鍋も知っていますが、なぜ土鍋の国産品の8割以上が萬古焼なのか、わからないわけです。
また、物を知らないといけないと思い、月に一度、土曜日に体験講座があるので、それに参加しました。
体験講座は料理やスイーツを作ったりするのですが、それがメインではなく、萬古焼の調理器具を使ったりお茶道具を使って、良さをわかっていただくものなんです。
私が参加した初回は、防災のボランティアで小学校へ行き、土鍋でご飯を炊くことを教えている人たちでした。
もちろん体験講座は、土鍋でのご飯の炊き方。
そこで知ったのは、土鍋は省エネだということ。
火がついている時間は18分。
それでご飯が炊けちゃうんです。
それからお話をしている20分間で、ご飯が蒸れます。
火がないのに萬古焼の土鍋は、20分間調理を続けてくれているんです。
その保温性を知った時の私の感動ときたら!
スゴい!そりゃ国内シェア8割行くよね、と。
その保温性に加えて、保温性を維持するためのペタライトという土を、アフリカのジンバブエから取り寄せているんです。
その土の割合で、落としても割れない土鍋が誕生しました。
そういう創意工夫こそが萬古焼の源なのだと、就任して2年かけてわかりました。

お客さまの要望に応えるためにいろいろ工夫をしてるんです。
例えば伊賀焼にはゴツゴツしたイメージがあったり、有田焼といえば陶器で柿右衛門・・・いろいろありますが、全部特徴を言えるでしょう。
ところが、萬古焼って特徴が言えないんですよね。
紫泥の急須がありますが、それだけではありません。
ありとあらゆるものがあるんです。
歴史を紐解いていくと、その都度その都度、その時の使用者の要求に対して、応えるものを作ってきたんですね。
それが萬古焼だとわかったんです。
だから、萬古焼の特徴は『創意工夫』です。

 

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古焼という遺産を四日市の資産に

この辺りはすぐに川が氾濫したそうで、するとお百姓さんが水害に遭い飢饉になります。
そういう土地だったのを、なんとか困らないよう、お金になるものを・・・庄屋さんが考え、桑名の萬古焼にヒントを得たのが、四日市の萬古焼のはじまりだと言われています。
農閑期にお父さんもお母さんもできますし、誰でもできるようにと型を作ったり、本当にその都度その都度で創意工夫があるんですね。
ここまで受け継がれてきたのがすごいなと、本当に思います。
萬古焼は遺産ですが、それを活かし『資産』にすることが、私たちの役目だということをキーワードに、今、動いています。
子どもたちにも、萬古焼という遺産があり、それが資産になるということを伝え、世界に広めても良いのだと知って欲しいですね。
だって割れない陶器ってすごいでしょう!
伝統工芸は保護されないと続いていかないと言われていますが、生活に根ざしてそこで完結し、商売も成り立つのが理想です。
萬古焼は、芸術品ではなく、一般の私たちが暮らしを支えていく産業だと思います。
ここはまだ資料室ができていないので、「産業の陶器の街」」としての資料を揃えようと話しています。
決して「◯◯焼」だと大仰に構えるのではなく、産業として市民を支えてきた物としての展示の仕方にしたいですね。

 

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witterとLINEに挑戦!

若い人の反応を見ることは時代を見るのと同じ。
28年間、専門学校で社会学を教えてきたので、相手は常に二十歳くらい。
だいたいトレンドもそのあたりがターゲットなので、私の仕事ともリンクしていたので、お断りせずにやってきました。
私がそういう意味で若さを持っていられたのは、彼らのおかげだったのかなと思っています。
若い人に抵抗がないので、それを思い出してLINEとTwitterにチャレンジします!