FM三重『ウィークエンドカフェ』2016年4月23日放送

今回のゲストは『特定非営利活動法人 赤目四十八滝渓谷保勝会』で活動する増田茂樹さん。
赤目の美しさを楽しむならこれから。
生き生きとした緑は夏休みまで見ることができます。
それが終わると秋の紅葉の季節になり、一気にたくさんの人が訪れます。

サンショウウオセンターをスタートし、長く続く遊歩道には観光で訪れた人、本格的なトレッキングを楽しむ人などさまざま。
それぞれが楽しめるコースがあるのが赤目のコースです。
そして、この3月に新しいコースが誕生しました。

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谷から山頂まで楽しめる新コース

これからが、一番気持ちが良く美しい季節です。
ゴールデンウィークが開けると、一気に眩しいぐらいの緑の季節になります。
天然のミストが全体に飛んでいて、本当に気持ちが良いですよ。

赤目の遊歩道は1本で、行って戻ってくるので、いろいろな方がいます。
本当に入り口だけで、ヒールを履いてくる女性もいますし、山ガール的なしっかりとした装備で来る人もいます。
今回完成したのはトレッキングコースなので、山歩きやハイキングの経験がある人に歩いてほしいですね。

今までの赤目は谷の底を歩くようになっていたため、眺望を楽しむことはできませんでしたが、今度は山頂まで登ることができるので、違う楽しみがあります。
渓谷を歩きながら山の眺望も眺められ、コンパクトな感じでおよそ3時間ほどで1周ぐるっと廻ることのできるコースは、日本でも珍しいと思います。
10時頃スタートしても13時頃には戻ってこられるんですね。
それから遅めの昼食をとって、地元の赤目温泉に入ってもらうとか・・・充分に楽しんでもらえると思います。
本格的なコースだと6〜8時間ほどかかったり、スタートとゴールの地点が違ったりしますが、このコースだと、本当にぐるっと1周廻って戻ってこられるので、公共交通機関で来るお客さんも、乗用車で来るお客さんも、安心して歩いてもらえます。

 

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者修行コースも人気

忍者修行体験に、海外からのお客さんも多く参加されていまして、人気を博しています。
赤目にはもともと、ヨーロッパやオーストラリア系のお客さんが多かったのですが、最近は台湾・香港、アメリカからも多く来るようになっていますね。

こちらには英語を話せるスタッフもいますが、忍者体験は日本語だけでも充分楽しんでもらえます。
というのは『体験』ですから、ボディ・ランゲージで海外のお客さんも日本のお客さんも、同じように喜んでくれるんですね
一番インパクトの強い修業は、なんと言っても『手裏剣修業』。
赤目では本物の大きな手裏剣を、木の板の的や丸太の的に突き刺す修業をしますので、本格的なんです。
それから6月から始まる『水蜘蛛修業』。
『平成の名水百選』に選ばれた赤目の渓谷を渡る修業で、一番人気です。
しかし川に落ちる人がいますので、夏しかできないんですよね。
ぜひみなさんに挑戦して欲しいですね。
意外と運動神経に関係なく、増水して川の流れが早い時は8割くらいが落ちます。
状態の良い時は3割くらいの人は川に落ちます。
いずれにせよ、3割以上はかならず川に落ちるんです(笑)。

 

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者のバイブルを参考に安全でおもしろい体験を企画

『万川集海』という、江戸時代の中期に書かれた、忍者のバイブルというべき本があります。
そこにある記述を参考に、そのままでは無理なので今風にアレンジしながら試作をして水蜘蛛を作り、一番最初に川に落ちたのが僕。
それで自分なりに難易度を確かめて、このくらいなら大丈夫だろうと始めました。
次にやってみたいものもありますが、僕は『忍び』ですから内緒です(笑)。
実は安全性を確保しながら楽しく修行することは、なかなか難しい。
本来の忍者の技は実践の技ですから、それをアクティビティとして楽しんでもらうための線引きが難しいところなんです。
やはり安全があってこそのチャレンジなので。

本来忍者は戦いませんが、最後の手段として自分の命を守るために戦います。
そのため、手裏剣もほとんど使いませんでした。
元来手裏剣は忍者のものではなく、剣術や武術の中の『手裏剣術』を忍者の技として取り入れたもの。
忍者は『総合格闘術』『総合生活術』ということで、色々なものを融合したもので、手裏剣も棒状の箸のようなものがあったり、一般的な星形とかいろいろあり、大きさもまちまち。
数十グラムから数百グラムまでいろいろあります。
そもそも『手の裏に隠れる剣』と書いて手裏剣。
つまり見せないんですよね。
それ至近距離で刺すわけですが、小さいものなのでしっかり急所に当たらないと相手を倒せません。
だから少しでも当たったら倒せるよう、毒を塗ったりするわけです。
それでも一般的に知られている手裏剣は忍者のイメージですね。
手裏剣は投げるのではなく『打つ』と言うんです。
だから修業も『手裏剣打ち』なんです。

 

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修行は6月から

これから始まるのが、6月からの『滝に打たれて自分を見つめるエコツアー』で、滝に打たれる体験です。
滝修行、初年度は95%が女性でした。
しかし最近では男性も増えてきて、女性でも60代後半の方もいます。
滝までは険しいところを上がるにもかかわらず、それでもたくさんの方が参加されます。
本来、滝修行は修験道の修業の中でも一番厳しいとされ、寒さが厳しい冬に行います。
本来は滝に打たれて、冷たさと苦しさで我を忘れて無になる・・・瞑想する滝行です。
しかし、僕たしが行うのは自然体験。
厳しい中で行うのは危険も伴いますし、本当の修験道の修業ではないので、暖かい時期にします。
それでもやはり厳しいんですよ。
チョロチョロ水でも苦しいし厳しいんです。
しかしみなさん本当に、終わるとスッキリしています。
やはり、日本の修験道とか密教は、自然と対峙することから入っているので、滝行は原点なのかな、と思います。
この滝は『大日滝』といい、曼荼羅で仏様の一番中心的な全知全能の仏様である『大日如来』から名前がつけられた、赤目の中で一番大切にされている滝なんですよ。
特に宗教的な体験ではありませんが、パワースポット的な力をみなさんが感じ取ってているように思います。
特別の空間です。
滝に打たれているときは水が入ってくるので、息ができないです。
しかしそれで苦しいのではなく、水が冷たく、胸が締め付けられるようになる苦しさのようです。
真夏はまだ水も温みますが、6月くらいだとまだそういう感じですね。
冷たい時期は、滝行を終えると身体が暖かくなってくるんです。
人間には、そういう自己治癒力があるんでしょうね。

それから滝は、その水音も大切です。
よくインドのお坊さんは、滝に打たれるのではなく、滝の横で瞑想の修業をするそうです。
滝の流れる連続音は、癒やしの効果もあり、いろいろなことを忘れて無になり、リフレッシュする場所でもあるんですね。

※画像は他の滝です