FM三重『ウィークエンドカフェ』2016年5月7日放送

今回のお客様は、尾鷲商工会議所の専務理事、村田浩子さん。
出身は千葉県船橋市。
東京でOLとして働いた後、青年海外協力隊として中米の国、ベリーズで活躍されました。
その後「頑張る地域を応援したい」「挑戦する大学生を応援したい」・・・この2つの想いを持って、尾鷲へ。
人口60万人以上の人が暮らす船橋から人口2万人の尾鷲での生活が始まりました。
尾鷲へ来た日から3年が経とうとしています。

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東将志さんの右腕として活動を開始

私は尾鷲を知らず、来たこともないのに求人の応募をしました。
尾鷲に来た時、青年海外協力隊として訪れたベリーズと同じように、はじめはやはり言葉がわかりませんでした
尾鷲弁は難しいですね。
飲み屋さんなどに行っておじさんたちと話していると、いまだに何を言っているかわからない時があります。

尾鷲に来たのは、仕事内容にとても興味を惹かれたから。
私は千葉県船橋市出身なので、そう考えると非現実的な感じだったんですけど、思い切って応募して、ご縁がありこちらに来ることになりました。
尾鷲に来て、最初に始めたことは、都心部の大学生が尾鷲の事業所で職業体験するインターンシップのコーディネーター。
経験はまったくありませんでした。
私が大学生の時は、いつかは働くのだからと遊んでましたが、今の学生たちは就職難なこともあり、就職のために春休みや夏休みを利用して、何か自信をつけるためにチャレンジしています。
そういう姿が素晴らしいと思いましたし、地域の方たちが学生とともにチャレンジするところに惹かれたました。
さらに『株式会社熊野古道おわせ支配人』の伊東将志さんの熱い熱い思いに惹かれまして。

伊東 受け入れる事業者さんも大変で、引き受けてくれる右腕的存在が必要だったので、募集をかけたんです。
募集期間は2〜3週間のみで、しかもインターネットだけ。
そういうのに引っかかってくるような人は面白いはずだと狙っていたら、まんまと(笑)。

 

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年海外協力隊の仕事は、南米ベリーでの起業家育成!

中米はスペイン語が公用語のところがほとんどなんですが、唯一英語なのがベリーズ。
なぜかというとカリブの島々と同じグループだからなんですね。
多民族国家で、スペイン系の方がいたりマヤ民族がいたり・・・文化も言語も多様で、面白いです。
青年海外協力隊は、行きたい国の希望は出すことはできますが、基本的には選ぶことができません。
『この国のこのプログラムです』という通知が届くんです。
ベリーズは世界第2位の規模を誇るサンゴ礁の保護区があると、日本のTV番組で取り上げられたのを見ていたので、たまたま知っていました。
でも、海の中の魚以外は知りませんでした。
ベリーズで行っていたのは『青少年活動』という職種で、その中でも仕事を興す『起業家育成』。
そう思うと、今の尾鷲の仕事につながっていますね。
これまでの仕事は事務系で、そういう仕事をしたことがありませんでした。
しかし『起業家』と言っても途上国なので、道端で物を売っても『起業』になるんです。
要はお金を稼ぐ方法をお手伝いするみたいな。
最終的にはシングルマザーに対するプロジェクトをすることになりました。
籍を入れないので、必然的にシングルマザーが多くなってしまうんですよ。
そのシングルマザーを対象に、ケーキを作って販売するようになりました。
栄養のある人参ケーキを作って販売する『キャロットケーキプロジェクト』です。

 

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しいけれどのんびりした国、ベリーズ

子どもたちは100円お昼台をもらって学校へ行っても、スナック菓子を買っちゃうんですよね。
そういう傾向が強かったので、そんなに甘くなく栄養のあるケーキを売店で販売できたらと。
校長先生は賛成してくれたのですが、売店は経営が違うので、実際に販売することはありませんでした。
結局は町の商店やカフェで売っていただきました。
人参ケーキのレシピは、ネットが発達しているので、それらを見つつ開発しました。
私は都市部に行ったので余計に感じたのですが、職がないわけです。
そして人口の殆どが若い人たちなので、多くの若者があぶれているのですが、意外にもお母さんが養っているケースが多い。
働き口を探すのに必死という感じではなく、他の国から寄付してもらえる・・・という雰囲気。
一番初めに行ったプログラムは『洗車』。
道端で「洗車どうですか!」と呼びこむ仕事。
その道具は私が所属している団体が用意し、ある程度たったら独り立ちしてもらおうというもの。
しかし途中で、道具を盗んで仕事に来なくなってしまうことが、多々ありました。
そして帳簿が付けられないんですよね。
今日稼いだら全部使うという感じなので、そのへんはなかなか難しかったです。
また、その国の状況というのもありますが、若い子たちが非行に走ったりします。
それは仕方のないことだと思いますね・・・。
2年間の青年海外協力隊での任務は、私に、にたくさんの気づきを与えてくれました。
日本に帰ってからは、自分の住んでいる地域の外国人のためにできることは
何だろうと考えるようになりました。
船橋では『災害時外国人支援サポーター』としてボランティア活動も行いました。

 

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晴らしいものがたくさんある尾鷲を、みんなで発信!

尾鷲には素晴らしい物がたくさんあるのに、地元の方にとっては当たり前。
大漁旗の職人さん。尾鷲わっぱを作る人。
この町だからこそ生まれた仕事が尾鷲にはあります。
それをもっともっと上手に紹介していくために、地域おこし協力隊の方や外部の人たちの力を借りて発信したいです。
そしてその発信によって、地元の人たちが改めてそういう認識を持ってくれたら、地元からの発信も増えると思います。
とはいえ、ここ4〜5年で増えてきたように思います。

尾鷲には大学生がいないので、春休みや夏休みに大学生のインターンシップが多いのが目立ちます。
町中で可愛がっていもらっているので、ありがたいですね。
彼らの尾鷲に対する感想は、外部からの目という意味では、学生といえども的を射ていると思います。
そういった意見をもっともっと生かしていかないとと、自分でも感じています。

現在、会議所で『女性部』というグループがあり、そこで作った『尾鷲秘境トレイル』というガイドブックを発売しています。
尾鷲にはまだまだ知られていないトレイルコースがたくさんあるんです。
尾鷲の尾根をずっと行くと3泊4日くらいで1周まわれるのではないでしょうか。
外国人の方が、先に魅力を感じてもらえそうなので、そういう動きを取れればいいなと思います。

尾鷲はもっとがんばらないと、という声もありますが、これまでの歴史を、もう少しみんなが見直すことも大切ですし、新たな可能性が見えてくるのではないかと、個人的には思っています。