FM三重『ウィークエンドカフェ』2016年6月11日放送

今日のお客様は、桑名市にある『ゆめの菓あきぞう(旧:和菓子ラボ あきぞう)』の石垣安貴さんです。
お菓子を通して笑顔をお届けしたいという気持ちで2008年の10月、安貴さんがお店を創業されました。
和菓子の仕込みは朝早くから。焼いたり蒸したり、あまーい香りがお店の前にも広がります

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んこは作るのも食べるのも大好き!

食べるのが好きなのは、あんこ・・・中でもつぶあんが好きです。
こしあん派の方が多いですし私も好きですが、やはりつぶあんの方がさらに上回って好き。
特に『ぜんざい』が大好きです。
『製餡』という、あんこを炊く作業は、保存もきくので、ある程度たくさん炊いたほうが美味しいんですよね。
その製餡作業が好きで、ひたすら混ぜたり漉したりしています(笑)。

 

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菓子に興味を持ったきっかけは、祖父母との暮らしと家族みんなでのお餅つき

桑名市は城下町なので、昔から三代、四代とされている和菓子屋さんも多く、軒数としても他の地域より多いと思います。
私はそんな中、和菓子店を創業させていただきました。
和菓子職人を始めたのは18歳。
その時は女性というと、お菓子屋さんの奥さんなど、家業が和菓子関係の人しかいませんでしたが、今はわりと増えてきているとの実感がありますね。

和菓子職人を目指そうと思ったきっかけは、祖母祖父と暮らしていたこと。
和菓子を頂く機会が多く、いつも食べながら美味しいと感じていました。
また、年末に家族でお餅つきをするのが楽しかったので、飲食に携わる仕事を探していました。
その時にたまたま和菓子屋さんがスタッフを募集をしていて、その時にパッとお餅つきの思い出がよみがえり、和菓子の世界に飛び込みました。
蒸したりするので湿気が多いので夏は暑く、工房は冬が寒いので、体力的には思ったよりもキツい面がありますね。

 

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めて携わった和菓子は『最中』

基本はあんを皮で包む『包餡』という作業をできるようになる必要があります。
次のステップとして、あんこを炊く工程『製餡』。 
その後は生地作りなど、やれることが増えていきます。
自分で作ったものが製品になっているのを見ると、とても感動します!

初めて商品として携わった和菓子は、『最中』。
最中の皮にあんこを挟む作業が、最初にやらせてもらった仕事です。
ベテランの職人さんは何気なしにできるのですが、私がやると2〜3個に1個は割れてしまいます。
パリパリした皮にしっとりとしたあんを入れるのは、触感が違うので難しく、失敗するたびに反省した覚えがあります。
それにしても和菓子は多種多様です。
最中もそうですが、餅、ねりきり・・・本当に日本の文化で根付いています。この文化は残さねばならないといけませんね。

 

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性職人といわれるのが、以前はコンプレックス

最初のうちは「女性っぽい和菓子だね」と言われることが多く、それがちょっとコンプレックスでした。
しかしだんだんとそれが、自分にしか出せない個性というか、女性ならではのお菓子ということかなと思い。
逆に今はそこを伸ばそうと、可愛いお菓子、女性らしいお菓子を心がけています。
母の日のカーネーションのお菓子や笑顔のおまんじゅうは、お客さまからの声も多い商品です。
お菓子のことは24時間考えていますね。
新商品を作るときは何かの風景や料理に出会った時にふと、お菓子の構想が浮かぶ時もありますし、スイーツ好きのスタッフたちと考えていて、もらった意見を汲みとって新しいお菓子が完成することもあります。
いろんなパターンが有りますね。
今、お店ではスタッフのみなさんと考えてできたものも多いです。
自分では、この組み合わせってどうなんだろうと思うものもありますが、スタッフの意見から生まれた商品のひとつとして、春に『生チョコいちご大福』を販売しました。
これはいちご大福の中に生チョコを入れたお菓子なんですが、やっぱりスイーツ好きだからこそ思いつく味。
食べてみたら美味しいことがわかり、発売することになりました。
スイーツ好きなお客さんがときめくお菓子を、ちゃんと思いついてくれますね。
たくさんの人数でアイデアを出し合うと、自分が考えていたことの引き出しが増えていくというか、もっとたくさんの情報が入ってくるので、いろいろなアイデアが思いつきやすくなります。
これからの季節は、冷たいお菓子がたくさん並びます。
水まんじゅうにバーを付けてキャンディ風にしたお菓子も登場するなど、月に5〜6品、新しい商品をお出しています。

 

活の変化に応じて、和菓子の売り方にも変化を

子どもが1歳になった時に『一升餅』という、一升のお餅を背負わせるという行事があります。
一升といえば2kg超。
一生分、背負いきれないくらいのお餅を子どもが背負うことで、『一生食べ物に困らない』と。
『ゆめの果あきぞう』のお客さまが私と同じくらいの30代の層が多いため、ご注文をいただくことがあります。
そして、一升餅をしたお子さんが成長して、入学式で紅白のおまんじゅうをご注文いただいたりとか。
そのうち中学校になっていくと、大きくなってビックリします。
人生の節目がお菓子と結びついていることが多いので、これは残して行きたい文化だと思います。
核家族が増えている中、たくさんの量を注文されるのは難しいかもしれませんが、少しでもお赤飯を食べてもらったり、小さなサイズのお餅を販売したりと、そういうことを課題としてチャレンジしていきたいなと思います。
三重県はお茶どころなので、おいしいお茶に合う、お茶菓子がたくさんあります。
お菓子がおいしいということはあんこがおいしいということ。
日本独特の和の文化を好む若い人がだんだん多くなって、和菓子も日常的に食べる人が増えてきました。
普段の生活の中にちょっとした楽しみとして、和菓子を使ってほしいですね。

また、『ゆめの果あきぞう』には和菓子店を開業したくて修業に来ているスタッフがいます。
そういう子が和菓子店を開く前段階として、一人だけでできる甘味処を作りたいなと思っています。
『修業カフェ』みたいな感じで、販売も接客も作るのも全部一人でやる。
逆に言うと一人でしか切り盛りできないような小さなお店にして、いろんな子が入って、接客する楽しさとともに課題を発見できる場になると、うれしいですね。