「ふれあい」Vol.31 2011年9月号

尾鷲市向井地区を元気な里にするために、ユニークな『かかし作りコンテスト』の開催をはじめ、地元の野菜を使った漬物バイキング、地元企業と連携した商品づくりに取り組む皆さんにお話を伺いました。


農事生産塾『向井の里』 代表・黒 俊人さん

■地域の皆さんとともに考えたアイデアを、ひとつひとつ実現

私たちは向井を何とか元気にしようと平成19年から活動を始めました。
最初、「きっかけづくり会議」へ地元の皆さんと参加し、その中で注目したのが、かかし作りです。

向井の田んぼの端から端にかかしを立てることで、里内をまわって散策できるように工夫したんですね。
これは休耕田が増えている現状を知ってもらうためにも、里に人が来てもらうためにも役立ちました。

かかしコンテストを始めてからは、外からも珍しいと写真を撮りに来てもらえるようになりました。

ほかにも会議では、30を超えるアイデアが出ました。
その中で漬物バイキングを実現できました。
今後は、直売所作りや休耕田での農業体験なども実現していきたいです。


相談役・南 靖久さん

■かかし作りコンテストは、今年で4回目になります

小学生に参加して欲しくて、足を運んで参加者を募っています。
子どもたちの発想はユニークなものが多く、去年は坂本龍馬やカツオのかかしなどの力作がたくさんできました。
今年もたくさんのチームに参加いただきました。


理事・黒 次美さん

■朝早くから地元の皆さんが漬物バイキングに集まってくれた

私たち女性部は、4月に新たな試みとしてきっかけづくり会議で出たアイデアの一つである朝食会を開催しました。
メニューは向井の里の自慢である野菜なんですね。

それを皆さんに知ってもらおうと野菜の漬物ばかりのバイキングを行いました。
思っていた以上に、多くの皆さんに来てもらえました。

次は、秋に新米が収穫できたら新米バイキングを行いますので、多くの皆さんに来ていただきたいですね。

私たちの自慢の野菜を使った名物商品が誕生!
~私たち生産塾『向井の里』では、『虎の尾』づくりとさつまいもづくりに力を注いでいます~


※地元の三和水産さんで鯛と味噌と『虎の尾』を使った商品が販売されており、昨年は70kgを販売。

■尾鷲市長も応援!向井産の唐辛子『虎の尾』で地域おこし

私たちの地域には、昔から漁師が船上で薬味として食べていた『虎の尾』という唐辛子があります。
そうめんの薬味やカレーの隠し味など、いろいろ活用することができます。
 
平成19年の三重県のバイオトレジャー事業で素材として可能性のある野菜としても採択され、私たちは地域おこしのきっかけにしようとマスコミの皆さんに来ていただき試食会を行いました。
九鬼町でとれた地元の魚を『虎の尾』で食べてもらい、喜んでもらいました。

尾鷲市長にも興味を持っていただき、PRに向け応援してもらっています。
実は『虎の尾』という名前も尾鷲市長が虎の尻尾に似ているからと名付けてくれたんですね。

また昨年の食べるラー油ブームで『虎の尾』は更に注目されるようになって新聞でも取り上げてもらったおかげで、今では、「どこで買えますか」といううれしい問い合わせも。

ほかにも昨年に続いて伊勢のおかげ横丁からも「朝市で売りに来てほしい」と声をかけてもらっています。

■生産が追いつかない! 向井のさつまいもでヒット商品が誕生

もうひとつは、今年で2年目になりますが、尾鷲しお学舎さんが販売する『塩けんぴ』という商品用のさつまいもを約600平方メートルの休耕田を利用して作っています。

これは県の商工農業連携事業のモデル事業にも取り上げてもらい、賞もいただきました。

尾鷲しお学舎さんのヒット商品になったようで、もっと作ってほしいと声をかけてもらっています。

子どもたちに大根掘りの体験などを楽しんでもらうために、夢古道おわせなどの観光地の近くで休耕田を探していきたいですね。


※田んぼを荒らさないように草刈を行っている

■これからのことを考えた休耕田の活用を!

私たちの地域でも高齢化が進んでおり、今後、休耕田が増えてくるでしょう。
そこで私たちは田んぼを放棄しようと考える人に、ゆずを植えたらどうかと声をかけています。

田んぼで農作物を作らなくなっても草刈などの管理は必要です。
それを人に頼むには費用がかかる。

そのため、ゆずを植えて少しでも収入が入るようにできないか。
休耕田に植えたゆずの管理を私たちにまかせてもらって地域の休耕田を減らしていくなど、これからも皆さんのためになる活動を考えていきたいと思います。