第151回『サルシカ隊がいく』2016年7月

鳥羽唯一のゲストハウスを取材するべく、誰にも頼まれていないのに前日夕方から鳥羽に入ったサルシカ隊長。
翌日、ゲストハウスの取材を終えた隊長とカメラマン中谷は、鳥羽の穴場を探索!

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鳥羽に前泊して2軒はしご。
そのまま取材先のゲストハウス「かもめnb」に這うように戻り、ベッドにもぐり込んで寝てしまった。

寝るのが早いと、起きるのも早い。
てなわけで、ゲストハウス「かめもnb」の取材は朝7時ぐらい(笑)からはじまってしまい、午前10時にはすっかり完了してしまっていたのであった。

 

この日、午後から鳥羽市内でもうひとつ取材が設定してあった。
まだ4時間以上も時間がある。

はてさて、どーしたものか。
どこかで昼めしを食べて、冷たいアイスコーヒーなんぞをしばきながら喫茶店で時間を潰すにしても、あまりに時間が長すぎる。

そこで、鳥羽市内でも、あまり足を踏み入れたことがない安楽島の方へと車を進めた。

 

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安楽島(あらしま)と言っても、離島ではない。
伊勢方面から行くと、ミキモト真珠島を越え、鳥羽水族館を越え、そしてパールロードの手前を左(海方面)へ折れる。
半島になっているそこが安楽島である。

安楽島へ入るとすぐさま漁港がある。
ここでは毎月2回、朝市が開催されている。

その名も「あらしま朝市」。

とれたて新鮮な海鮮類、野菜などが並ぶ。
シーズン中だと、採れたての牡蠣を網で焼いて、無料でお客さんに振る舞ったりする。
なんとも太っ腹な朝市だ。
>>鳥羽「あらしま朝市」(運営:あらしま新鮮組)の詳細はこちら!

 

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その安楽島漁港を横目に集落を抜け、
「え、こんな先に海水浴場があんの??」
って驚く山道に一度入り、くねくね細い道をいって到着するのが、安楽島海水浴場。

まずここは眺めがすばらしい!!
菅島がすぐそばに見える。
海の青さと島と半島の緑が美しい。

そしてご覧いただきたい。
この水の美しさを。

水質判定AAという最高基準の水質です!

浜は砂ではなく、細かい砂利。
濡れた身体が砂まみれにならないのもいい!

 

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山がすぐそばまで迫っているので、小さな崖が出来ていて、なんと日陰がある。
こういう環境の海水浴場って少ないんじゃないか。
ここでお弁当を食べたり、身体を休めたり。
小さなお子さん連れにはすんばらい環境だ。

ちなみに。
この浜は、伊勢湾内にあるし、島に囲まれているので、非常に波が穏やか。
両端には磯があるので、磯の生物を見て楽しんだりもできるし、まさに子どもの楽園みたいなところだな。

 

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安楽島海水浴場は市営。
シーズン中は監視員の方がいてくれるし、シャワー室やトイレを無料で使うことができる。
しかも敷設は2010年に建てなおされたばかりなのでまだまだ新しい。

 

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浜に打ち上げられた流木や海藻を片付けているお父さんがいたので声をかけてみた。

監視員の山下さん。
この安楽島に生まれ育ったという。

「なんや取材か?
安楽島ははじめてか?
ええ海やろぉ、ええとこやろぉ」

山下さんは仕事の手をとめて、いろいろと話をしてくれた。

この安楽島海水浴場は、三重県で海水浴場として認められたのは、二見に続いて2番目。
浜の長さはわずか130メートル。
日本で一番小さな海水浴場だという。

まじっすか??

 

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「こんなキレイでええとこやのに、知らん人が多すぎるんや」

すんません、わたしも知りませんでした。

「せやろ。パーッとみんなに知らせたってくれ。
まあいっぱい来てもろても、こんな小さな浜やで入れる数は限られとるけどな(笑)」

 

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「ところであんたは鳥羽なでしこって知っとるか?」

知りませんと答えると、お父さんは「ほんなら見せたろ」と、海水浴場の先にある岩の上へとわれわれを導いた。

 

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「これやこれや」

岩の隙間に小さな花が揺れている。
淡い紫。
どうやら鳥羽の花になっている「ハマナデシコ」らしい。

ハマナデシコは多年草で、海岸の岩上や砂浜に生育する。
塩に非常に強い植物である。

 

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山下さんはこの鳥羽なでしこを植樹する活動を仲間とやっているそうだ。
ここの岩の上に植樹したのも山下さんたち。

浜へ通じる道のあちこちにも植樹しているそうだ。

「見てみぃ、きれいやろ。
そやけど、波をかぶっても枯れやん。
それほど強い。
わしらもそう生きてかなあかんと思てな、これを植えてるんや・・・・」

お、なんだなんだ。
ええ話になってきたぞ。
この海水浴場には美しい自然だけでなく、人情があるのだ(笑)。

 

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ようやくシャッターを開けた海の家も案内してくれた。
きんきんに冷えた生ビールがあると書いてあるが、まさか午前中から飲むわけにもいかぬ。
ここはぐっと我慢(笑)。

 

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「おい、最後に化石をみせたろか。
これはな、普段は見られへんのやけど、ちょっと相談してきたるわ」

あまり詳細は書けないが、お父さんはあるところの敷地に入る断りを入れているようであった。
OKが取れたのでその現場へといく。

 

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完全プライベートな浜というか磯。
ここに化石があるという。

実は安楽島は化石の町でもある。
1996年に大型草食恐竜のティタノサウルス類の骨の化石が安楽島の海岸で発見され、パールロードの道沿いに「鳥羽竜化石発見現場」と看板が掲げられている。
だから海岸に化石があってもぜんぜん不思議じゃないのだ。

 

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「これや」

お父さんは岩にあった白い影状のものを指差して言った。
鳥型の恐竜の化石で、上部にくちばしが、垂れ下がった尾羽や足も見える・・・・。
見えるには見える。

でもどうかなあ、これ。
漫画で書いたような断面図になってるし(笑)

まあ事実確認は出来ていないが、ロマンのある話ではある。

 

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ふらりと立ち寄ったわれわれにいろいろ親切にしていただいた山下さん。
本当にありがとう。

ここは本当に穴場の海水浴場です。
平日にこっそりと遊びにこようかなあ。
きれいな海で泳いで、海の家で冷たいビールを飲んで、山下さんの笑顔を見に来よう。