FM三重『ウィークエンドカフェ』2016年8月6日放送

今回のお客様は『三岐鉄道株式会社』鉄道部運輸課の小林努さん。
この時期、通学のお客様は少なくなるけれど、黄色の電車を楽しみに、お父さんやお母さんとのんびり鉄道の旅を楽しむ子供達の姿が見られます。
花火大会やお祭りの日に、北勢線に乗って会場に向かう人の姿も・・・。
地域の人にも鉄道ファンにも愛されている三岐鉄道です。

8-6-1

ローゲージの北勢線、三岐線は貨物列車が珍しい!

北勢線の電車は吊り掛けモーターといい、車輪とモーターが直接抱き合わさっている形の、全国的にも珍しい方式を採用しています。
モーター音が、悪く言えばうるさい、よく言えば味があるということで、マニアの方・・・『乗り鉄』も来ますが、『音鉄』というジャンルの方が来て、録音しています。

三岐鉄道の北勢線は、全国でも3路線しかない軽便規格。
線路の幅が狭いナローゲージ線で珍しいということで、夏休みを利用してこの時期、全国から来てもらっています。
ナローゲージは線路の幅が762mm、つまり76cm2mmです。
一番乗られているナローゲージ線は、実は東京ディズニーランドのウェスタン鉄道と、ディズニーシーの中を走る電車。
つまり遊園地のチンチン電車が、この地域では生活の路線として成り立っているということ。
東京ではエンターテイメント、三重県では生活で使うという感じですね。
生活に根ざしている電車としては珍しいということで、全国の鉄道ファンからも、そう言ってもらっています。
私たちからすると、毎日使っている大切な路線。
三岐線は四日市の富田からいなべ市の西藤原まで伸びている27.6kmの路線となっています。
北勢線はナローゲージで有名ですが、三岐線はセメントの貨車を運んでいる全国的にも珍しい路線なんです。
丸い感じの黒いタンク車で、中には袋ではなくバラの状態のセメントが入っています。
それを一度に16両ひっぱって、藤原の方から四日市に運んできています。
地元の方は知っている人もいると思いますが、こんなところに貨物が走っているのかと驚かれることもあります。
珍しい貨物列車で、周りに広がる田園風景に映えるということで、この夏休み期間、たくさんの方が写真を撮りに来られています。

 

転車と速度が変わらない北勢線

北勢線は西桑名から、終点はいなべ市の阿下喜まで、20.4kmのナローゲージ路線で、1時間ほどかけてゆっくりと。
路線の特徴として、いなべの方は田んぼの中を走りますが、桑名の周辺は、古い町並みの中を縫うように走っています。
北勢線は、珍しいから乗ってみようという『乗り鉄』の方が多いですね、
地元の人や高校生からは、自転車より遅いんじゃないか、とよく言われます。
まあ、事実といえば事実。
最高で45kmくらいは出ますが、駅の停車時間も考えると、だいたい20km〜25km。
自転車で一気に漕いでるのと同じかもしれませんね。
観光地はないと言われますが、車窓から見る藤原岳や釈迦ヶ岳、竜ヶ岳、またそこから見える田園風景が非常に心をなごませてくれますので、周りから撮るだけではなく、乗車して中の雰囲気や、中から見る風景も楽しんでほしいと思います。

 

8-6-2

のスタンプラリーを開催!

夏休みの間はスタンプラリーを開催しています。
西桑名・東員・阿下喜の3つの駅のスタンプを台紙に集めると北勢線のオリジナルコインをプレゼントします。
台紙は1日乗り放題券を買ってもらったらお渡しするので、ぜひ北勢線の散策のついでにスタンプラリー参加し、プレゼントをゲットしてほしいと思います。
ただし個数に限りがあるので、イベント開催しているかは、駅またはHPで確認してください。
珍しい鉄道なので、実際に見ていただいて、自由研究にしてもらえると良いかなと思います。

今まで行ったイベントの一つに『出会い列車』というお見合いパーティーがありました。
ナローゲージということで、車内もとても狭く、中はロングシートでお客様たちが向き合う形になります。
なので、片側のロングシートに男性15名、もう片側のシートに女性15名の参加者。
車内が狭いのを活かした形で、会話も弾んでいたと記憶しています。
反響も多く、いろいろなところで取り上げてもらいました。
他にも、歌声列車に年金相談列車、5月にはこいのぼりを飾ったり七夕には、車内を暗くして星空を楽しんでいただいたりと、地元のみなさんに愛されるイベントを考えています。
北勢線は軽便鉄道で珍しい、三岐線は貨物鉄道で珍しいということで、全国的にも最近話題を集めている路線です。
三重県内でもまだまだ知らない人もいると思うので、この夏休みにぜひ、親子連れで乗車してもらい、三重県の北勢地域に遊びに来てもらえたら、嬉しいですね。

 

8-6-3

勢線は100年以上の歴史。それぞれの思い出がある

北勢線の西桑名から1日乗車券で乗ってもらい、東員や大泉に寄って阿下喜まで到着。
阿下喜から伊勢治田まで歩いて、今度は三岐線で戻ってきてぐるりと一周すると、軽便鉄道と貨物鉄道、両方を見て体験することができます。
北勢線は100年の歴史を持つ鉄道なので、その歴史の息吹を感じて欲しいですね。
前述のとおり吊り掛け方式ですので、モーター音も昔のままです。
三岐線も貨物鉄道で昭和初期から運行をはじめ、まだ残っている鉄道なので、古くからある鉄道の歴史を感じて欲しいですね。

北勢線は実は平成15年からしか当社では運行していなくて、それ以前は近鉄や三重交通が運行していました。
それでも戦時中や戦後に運転していたという人が見えたり、昔駅長をしていた方が見えたり、古くからの方のお声をいただくこともあります。
昔良く利用していたよ、というのは多く聞きます。
戦争中はこの電車で見送られて出兵したという話も、ご年配からお聞きするくらいなので、本当に地域に根ざした鉄道なんだなと思います。
それぞれの生活に寄り添ってきた鉄道なので、みなさんいろいろな思い出が詰まっていると思います。
昭和50年代は年間600万人、今は年間230万人ほど。
一時よりは増えましたが、それでも昔から見ると激減ですね。
昔乗っていたという声をよく聞きますので、昔を思い出す意味でも、また乗って欲しいですね。

7月23日に開業85年を迎えた三岐鉄道。
今、西藤原駅にはかつて三岐線で活躍をした電気機関車ED222(イーディニーニーニ)が展示されています。
この機関車は大正14年にアメリカで作られ、翌年、信濃鉄道へ輸入された車両です。信濃鉄道や国鉄で活躍したあと、昭和33年から三岐鉄道ED222号機として富田駅の構内での入換え作業などで28年間活躍をしました。
三岐鉄道のOBのみなさんを中心に2年間にわたり、修復作業が行われ、この6月から展示となりました。
みんなの想いが込められています。
この夏、どうぞ三岐鉄道でのんびり、ゆったり電車旅を楽しんでください。