三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2016年8月14日放送

磯焼けの要因の一つと言われるウニの一種であるガンガゼの駆除を三重大学や漁業関係者と協力し、活動!
ダイバーが中心となり、海の砂漠化=磯焼けを阻止します!

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こちらは南伊勢町の宿浦。
カツオの一本釣り漁業の基地として栄えたところで、以前『ゲンキみえ』では、ひじきの漁場を再生する『宿浦ひじき場再生プロジェクト』の取り組みをご紹介しました。

今回は、ある海の生物を駆除し、豊かな海の森づくりにはげむ『NPO法人sea藻』を紹介します!

 

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いま、磯焼けと呼ばれる海の砂漠化が大きな問題になっています。
その原因のひとつに考えられるのが、ウニの一種であるガンガゼの異常発生。
『NPO法人sea藻』のみなさんは、地元の漁業関係者、三重大学と連携。
ボランティアダイバーと共に海へ潜り、このガンガゼを駆除。
海藻が青々と茂る、豊かな海を取り戻そうと取り組んでいます。

 

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三重大学大学院生物資源学研究科の倉島彰准教授に、ガンガゼについてお聞きしました。

「ガンガゼはウニの仲間で、特徴としてはとてもトゲが長20㎝くらいあります。
ウニが増える理由は実はわかっていなません。
ガンガゼは他のウニに比べて食欲が旺盛でしかもなんでも食べ、特に海藻を食べます。
海藻は木とか草とかと同じ役割なので、海藻が沢山生えている場所というのは陸上で言うと森林。
森林がなくなると他にそこに住んでいる動物たちがいなくなるのと同じで、海藻が居なくなると海藻を食べているアワビやサザエ、魚がいなくなってしまうんです」

 

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そんな海の砂漠化を食い止める活動をしているのが『NPO法人sea藻』のみなさん。
代表の鈴木さんは名古屋でダイビングショップを経営しています。

「宿浦の海では、このガンガゼの駆除をすでに5回行っています」

 

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「2015年6月に駆除した所に海藻はほとんど生えていませんが、2016年5月に調査したところ、海藻は16%まで生えてきています。
大体一つの箇所を3年続ければ海藻が生えてくるし、守られるということがわかっています」

 

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こちらがガンガゼ駆除の道具。
これまでの経験から作った『sea藻』 のオリジナルです。
『sea藻』が活動を開始したのは2010年。
南伊勢や紀北町、尾鷲の海に潜り、これまでに13万個以上のガンガゼを駆除してきました。

 

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今回、まず向かったのは、宿浦漁港の目の前にある葛島(かつらしま)の周辺。
ここは前回駆除したところで、今回はその後の経過の確認と追加駆除です。

透明度が高い海。
しかし海藻の姿はほとんどありません・・。
ガンガゼたちは前回に比べて数は減っているものの、海藻が再生するにはまだ多すぎるようです。
ちなみに、海の砂漠化はガンガゼだけが原因ではありません。
ガンガゼの影響が大きいと考えられる地域の海のみ、こうして駆除をしています

 

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今回の参加者は、地元の漁業関係者、三重大生、そしてボランティアで参加したダイバーのみなさん。
参加者にお話をお聞きしました。

「1時間で700くらいのガンガゼを駆除しました。
藻はガンガゼのいないところは少しだけ生えていますが、ガンガゼがいっぱいいるところには全く生えていないです」

「普段は大学生をしていて、今回は2回めです。
実際参加してみてたくさんガンガゼがいることを知りました。
実際に駆除していって、藻場が復活してすれば良いなと思っています」

「もともとダイビングサークルに入っていて、友だちが参加するので、一緒に来ました。思っていたよりガンガゼが多かったので、ビックリしました」

 

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午後は、まだ一度もガンガゼを駆除したことがないエリアへと向かいます。
海中に黒く見えているのは、どうやらガンガゼ。
大量にいますね。
海に潜り、ひとつひとつ駆除していくのは、気が遠くなるような作業です。
棘がながく、扱いにくいため、怪我にも十分気をつけなくてはなりません。
『sea藻』 のみなさんは、年間10日ほど海へ入り、この活動を続けています。
宿浦だけでもこれまで駆除した数は44000ほど。
それでもまだまだ、いなくなりません。

この2日間で駆除したガンガゼはおよそ20000個でした。

「宿浦はまだ始めて間もない所です。
他の長年やっている所だと3年くらい経つと海藻が生えてきて、藻場に再生してくることが確かめられています。
海藻が生えれば、そこへまた魚介類も戻って来ますので、水産業、漁業に対しては非常に大きい、良い影響があると思います」

と倉島さん。

 

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三重外湾漁業協同組合宿浦地区漁業権管理委員長の久保靖臣さんに、『sea藻』や三重大学などの活動についての考えをお聞きしました。

「『宿浦ひじき場再生プロジェクト』 が成功したおかげで、現在はヒジキを収穫できている状態です。
護岸駆除に関しては、私たち漁師だけでは少しできなかったので、『sea藻』さんが去年からやってくれて、本当に効果はものすごく上がっています。
海がキレイになると言うことは本当に私らにとっては漁師にとっては本当に素晴らしいことだと思います」

「『NPO法人sea藻』は三重県が出発点なので、この出発点を掃除するだけでもかなり甚大な時間と労力がかかると思います。
しかしまずは目の前の海をキレイに、海藻の生える磯焼けのない海にすることが第一目標ですね」

と、鈴木さん。
ガンガゼの駆除をして、三重の海を守り続けます!