FM三重『ウィークエンドカフェ』2016年9月3日放送

多気町の丹生大師の近くに素敵なカフェがあります。
ここの中をよ~く見てみるとたくさんの少女漫画。
その数、7000冊。
今回のお客様、志村さくらさんが館主を務める『少女まんが館TAKI 1735』のオープンは去年の8月。
はじめは5000冊くらいだったそうですが、そこからたくさん本の数が増えました。
こちらの本は99%、みなさんから寄贈された本。
6月からは1階がカフェとなり、カフェスペースには小学生も入れるようになりました。

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フェができる前は、本をめくる音のみ

1Fにカフェが入ってからは、漫画は関係なく食事やお茶利用もあり、お子さん連れでママ友同士で、という感じで賑やかになりました。
『少女まんが館』のみで中学生以上としていた時は、みんな少女漫画を読みに来るお客さんばかりなので、ページをめくる音しかしないんですね。
話すのさえも図書館以上に小さな声じゃないといけないとか、漫画を取りに歩くのも忍び足というか。
みなさん漫画に集中していて、びっくりするくらい静かで、私もびっくりしました。
集中してその世界に入っていると、他の人が何をしてようがまったく気にならないんですね。
現在は『少女まんが館』の2階スペースが、中学生以上の利用となっています。
友達のお家にお邪魔したようなちょっと懐かしいスペース。
ここにもたくさんの本があります。

 

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女まんが館TAKI1735を始めたきっかけ

やろうとしたというよりは、ご縁があってはじめました。
東京あきる野市で20年以上『少女まんが館』を運営しているご夫婦がいまして、雑誌も含めた少女漫画の全保存を目標に掲げています。
自宅の和室の1部屋で500冊から公開を始めたと言っていましたが、今では『少女まんが館』だけの建物を建て、プライベートで週に1回、春から秋にかけて公開しています。
そんなお2人に賛同した全国の人たちからの少女漫画の寄贈がとても多く、今では5〜6万冊公開しています。
しかしそれでも寄贈が止まらず、棚以外に送られてきたダンボール箱があふれ、箱からすら出せない漫画が何万冊という数になって、それではもったいないということで、ご夫妻と同じ自宅ミュージアムというスタイルで、少女漫画を公開する人を探しているということが、人づて人づて人づて・・・で、夫のところに問い合わせがありました。
私が、「やりたいというより読みたい」と言ったのがはじまりでした。
私たち夫婦はよそから越してきたこともあり、夫も地域の方とコミュニケーションを取り開いていくきっかけを探していたので、『少女まんが館』のオープンに至りました。

 

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0年代の漫画を中心に新しい本も古い本も

譲ってもらうにあたって、私が少女漫画を読み始めたのが80年代ということもあったので、そこに合わせて選んでいただきました。
それ以前のものもたまにありますが、中心は80年代。
その世代の方が来ると「読んでたわ〜」とか「買いたくても買えなかったわ〜」なんて言いながら本棚を眺めています。
私が読んでいた雑誌は『りぼん』で、いわゆる『りぼん派』。
『ちびまる子ちゃん』も漫画の連載で読んでましたし、『ときめきトゥナイト』とか『星の瞳のシルエット』とかを読んでいた世代です。
矢沢あいさんも今でこそ『NANA』が有名ですが、髪の毛がロングの『マリンブルーの風に抱かれて』とか、その頃のりぼんで連載していたのを読んでいました。
少女まんが館に来るお客様のほとんどは30代から50代くらいの女性なので、そのくらいの時代の少女漫画で盛り上がる方が多いです。
中学校時代には川原泉さんや、高口里純さんの『花のあすか組!』とか、わりと好きで読んでいました。
『別フレ派』とか『マーガレット派』、または『白泉社系』とか、みんな違うんですよ。
友だち同士で1冊ずつ漫画を持ち寄ったりすると、その1冊でその人を表しているというか、チョイスがとても面白いですね・
逆に裏切られることもあったりします。

 

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みたい本を見つけるとスッキリした表情に!

どんなストーリーだったかなと想像しながら遠方から運転してきて、全部読めてどんな内容だったかわかると、スッキリとした表情になる人が多いですね。
また、学生時代に読んでいた漫画が、社会人や結婚・出産などを経て、いろいろ状況が変わってから読むと、また違った読後感があるようですね。

続き物を読み始めてしまい、時間がなくなって、「また必ず来ます」と言って帰っていくお客さんもいます。
みなさん、各々思いがあって来て、来たときとまったく違う感覚で帰っていくのが、ちょっとお話をすると伝わってくるので、聞いていても面白いです。
私自身、先程お話したようなきっかけではじめたので、やりたくて集めてきたとか、マニアであったりオタクであったりしたわけではないので、紹介してもらって初めて読む本も多いので、勉強させてもらうことが多いです。
もちろん、読んだことのある本で、一緒に盛り上がることもあります。
『少女まんが館』を始めるきっかけもご縁でしたし、少女漫画をきっかけに人と出会うご縁もいただき、とても楽しませてもらっています。
私と夫のオススメの漫画は『サムライカアサン』。
三重県出身の板羽皆先生の本です。
いろいろなご縁がつながって、板羽先生が帰省されたとき『少女まんが館』にも足を運んでくれました。
先生のサインも飾ってあります。

 

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ッチンカーに本を積んで出張『少女まんが館』!

今『少女まんが館』にカフェを併設していますが、カフェのキッチンカーもあるので、今までもキッチンカーに少女漫画を積んで、ちょこちょこ『出張少女まんが館』をしていました。
室内ではなく屋外の居心地の良いところで少女漫画を読んでもらったり、素敵なところで好きなものを読むという楽しみ方。
貸出をしていないので、読みたいけど来られない人へのきっかけも作っていきたいなあと。
よく言われる「活字離れ」ではありませんが、最近電子メディアが多く、漫画や本も電子メディアで読む人が増えている中、お子さんだけでなく大人も紙でページをめくる楽しみを知って欲しいです。
少女漫画をきっかけに図書館とも組んで、楽しみを伝えていくことも大事にしたいと思っています。

 

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フェができて男性客も増加傾向!

お笑い番組に少女漫画をテーマにした回があり、男性も興味を持ってきてくれることがありました。
特集されていたのが『ガラスの仮面』だったようで、現在49巻まで出ています。
初めて興味を持った少女漫画が、いきなり49巻まで続いている長編で、しかもまだ終わっていません。
すごいところから手を出したなと。
来ると一生懸命時間の許すかぎり読んでいるので、見守っていきたいですね。

他にも兄弟にお姉さんや妹さんがいる男性で、「入りたいけど・・・入りづらい」から、女性のお友だちを連れて来る人もいます。
また奥様と一緒に来られた70歳くらいの男性は、
「僕でも大丈夫です。とっても居心地がいいですね」とおっしゃってくれました。
カフェができて、男性も来やすくなったようです。