三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2016年10月2日放送

過疎高齢化対策や地元基幹産業である水産業の担い手確保など、様々な課題を抱える尾鷲市早田町で、昨年設立された『合同会社 き・よ・り』
早田町の水揚げされるおいしい魚や、地元に伝わる文化・風習を残していこうと、「地元での女性の働く場の創出」「早田自慢の海の幸のPR」など地域の活性化のために、様々な事業に取り組み始めています!

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尾鷲市早田町は、人口わずか150人の小さな漁師町ですが、地域を少しでも元気にしようと、様々な取り組みが積極的に行われているところです。

 

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そのひとつが、『ビジョン早田実行委員会』
早田の住民・行政・大学が連携し、地域交流や情報発信など、様々な取り組みをしています。

もうひとつが、早田の漁師と同じ生活を1ヶ月にわたって送り漁業研修を受ける『早田漁師塾』。
すでに大勢の若者が、漁師として早田で生活を始めています。

 

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そんな早田でまたひとつ、新たな取り組みが始まりました。
早田で揚がった新鮮な魚を使って、始まった取り組みが『魚のさばき会』。
この、ありそうで、無かったイベントをきっかけに、尾鷲市早田の存在を全国へ広めてこう、早田の魚を売っていこうとがんばっているのが、『合同会社き・よ・り』のみなさん。

 

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『合同会社き・よ・り』の石田元気さんに、会社設立までの経緯をお聞きしました。

「早田は『漁師塾』という取り組みで、男性は働く場所ができ、若い人もIターンで入ってきています。
しかし女性が働く場所が、昔はありましたが、今では全然ありません。
そこで僕が会社を立ち上げて、町づくりと、陸でできる仕事で女性の雇用ができるようにしました」

早田の新たな挑戦、『合同会社き・よ・り』。
それは『地域おこし協力隊』として県外から移住してきた石田さんと青田京子さん、この2人が中心となって行っています。   

 

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その事業の軸に据えているのが『魚の通信販売』。
内容は、年に4回、早田の季節ごとの魚が届くというもの。
何が届くかは、天候と海の神さま次第ということでその名も『うみまかせ』。
それぞれの魚のおいしい食べ方を紹介するレシピも一緒に届きます。

 

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そのセールスキャンペーンとして、そして、早田の魅力、早田の魚の美味しさを
まずは知ってもらおうと始めたのが、『魚のさばき会』。
石田さんは、宮城県の出身。
早田に、『地域おこし協力隊』として移り住むまで魚を下ろしたことは一度もなかったそうです。
それが今や、この包丁さばき!

 

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今回の『魚捌き会』は、家族での参加がほとんど。
こちらの男の子は、2回目の参加。
最初の体験で、魚を捌く面白さにはまったそうです。
三枚おろしも完璧です!

一方こちらでは、お母さんが真剣な表情で、魚を捌き中。
今や、魚を、丸ごと下ろすなんて、なかなかないありませんからね。

「漁師町で育ったのにさばけないので、覚えられたらいいなと思って参加しました。
普段家では、一から魚をさばくことがありませんから」

 

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こちらは地元漁協の岩本芳和さん。
早田の活性化グループ『ビジョン早田実行委員会』の会長も務めます。

「今回はアシスタントとして参加しています。
去年12月、石田さんと2人で『合同会社き・よ・り』を設立しました。
名古屋や東京で捌き会を開催したところ、その流れで『うみまかせ』の注文もあるそうです。
捌き方を教えてもらってあるお客さんは、自分で捌いて料理を作って、Facebookに出してくれたりしているので、ありがたいです」

 

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魚を捌いたら、やっぱり、その後は試食!
こちらは、石田さんたちが捌いた「ツバス」と「メダイ」のお刺身。
たっぷり食べて、早田の魚の美味しさ、海の魅力を、味わってください!

 

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「今日は子どもがさばいてくれたので、今度は早田に釣りに行き、一緒にさばいて食べたいと思います」

「魚は嫌いだったのに、好きになりました!
さばくのもそうですが、新鮮なお魚がこんなに美味しいと、初めて知りました」

早田の魚の味を、しっかりわかってもらえたようですね!

 

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「いずれは早田に行ってみたいな、と思ってくれる人、実際に訪れて下さる人もいます。
そういった交流ができるきっかけとしての『捌き会』を目指しています」

と、石田さんと同じく『地域おこし協力隊』として早田で活動し、『合同会社き・よ・り』の一員でもある、青田京子さん。

「朝とれた魚をその日に届け、お客さんから『今日は早田の魚の日だ』と言ってもらえるよう、ファンを掴めるような移動販売の場所を作っていきたいです。
『うみまかせ』が4ヶ月に1回、『捌き会』が不定期開催なのに対して、日々の売り上げと仕事を作っていきたいですね。
定期的に運べる先あれば、女性の仕事が生まれると思います。
本当に早田のことを気に入ってくれる人が人が増えることによって、早田の風習や文化が、何年も何十年も残っていってほしいです」

と、石田さん。

『きより』。
この言葉は、早田の方言で、漁師が網を編むことをいいます。
消費者と漁師をつなぎ、その他の地域、都市部と早田を繋ぐ。
『合同会社き・よ・り』では今後、移動販売車の導入など、新たな取り組みにも挑戦しながら新しいネットワークを紡ぎ出していこうとしています。