FM三重「ウィークエンドカフェ」2011年10月1日放送

今回は、大紀町錦から『ISOMON6』の西村元美さんをお迎えしました。
おおらかで笑顔がとっても素敵な人です。

ふるさとを大切に思う仲間がいて、その仲間たちとの時間が楽しくて、うれしくて・・・。
この地域を盛り上げるために一生懸命になれるのは大好きな場所だから・・・。

海辺の町に住むお母さんのお話に、耳を傾けました。

■『ISOMON6』って?

「いそもん=磯もん」は、磯に生きる生き物の総称です。

私たちは海のそばで、海と一緒に生きているから、そう呼んで欲しくて付けたんです。
「6」は結成当時の人数が6人だったのと「6乗するくらいメンバーが増えて欲しいなぁ」との願いも込めて。
結成して6年たった今の人数?
6人のまんまです(笑)

■主にどんな活動を?

海開きイベント『いそもんフェスタ』の運営をしています。
ここ錦には「錦向井ヶ浜遊パーク トロピカルガーデン」という、整備されてとても綺麗な施設と海があるのに、地域外にはなかなか知られていないんです。

しかも、町村合併で町主催のイベントが減り、毎年、錦の浜でイベントを続けるのが難しくなっていましてね。

じゃあ、手作りで小さくても良いから、私たち主婦で海開きイベントをやろう!
と、はじめたのが、海開きの日に開催する『いそもんフェスタ』です。

メンバーはもともと色んなことを一緒にやっている50代のおばちゃんたち。
錦では盆踊りが3日間行われるんですが、その時仮装して踊ることになっているんです。

私たちは3日間とも違う仮装で踊るの(笑)
準備は大変だけど、このために一年過ごしているようなもんだから、楽しいですよ~(笑)
それと同じ気持ちというかノリで、フェスタの準備をしています。

フェスタのメインは「よさこいソーラン」です。
自分たちもよさこいをしていることもあって、尾鷲の知り合いのチームに声をかけたら来てくれることになって。
それから10チーム以上参加してくれました。
よさこいチームが来てくれたら、その親や兄弟や友達も来てくれるでしょ。
その人たちがまた、『いそもんフェスタ』のことを広めてくれるんですよ。

■食事処も運営されているとか・・・

これは『ISOMON6』の活動とは別なんですけどね。
錦に来る人から「お魚の美味しいお店を教えて!」とよく聞かれるんですけど、実はあまりないの。

というのは、錦に住んでいる人は家で毎日魚を食べてるから、外食はお肉ばっかり。
そんなわけで、お客さんの声に応えて『汐の食卓』というお店を昨年オープンしたんです。

でもね、実は、錦でも私ら50代くらいの奥さんは、意外に魚料理をしないんですよ。
外で働いているから。
魚が来たら、みんな親に捌いてもらって調理してもらって・・・。

で、気づいたら魚料理や郷土料理作れる親はもう、80代なんですよ!
「やらないと!覚えないと!」って、みんな大慌て(笑)
『錦』の郷土の味が消える前に、早く教えてもらって作れるようにならないと!って。

今のところは、外に働きに出ている人もいるので、営業は土・日曜日で、予約限定でさせてもらっています。
ゆくゆくは毎日営業できるようにしたいですね。

■『汐の食卓』で出しているお料理は?

お出ししてるのは、3000円のコース料理のみで、だいたい10品です。
夢古道おわせでも出していた、お団子の入ったお吸い物や、季節ごとのお刺身や煮物など。

必ず献立に入れているのは『たたき団子の酢なます』。
作り方は、アジかイサギの頭を取って皮を剥ぎ骨ごと叩いてミンチに。
これを塩してバットに入れて一晩寝かしたもので、コンニャクみたいに固まっているんですよ。
ミンチにするとき、シソやワサビの葉をまぜるのが美味しくするコツです。
叩くときに、骨は付いたままじゃないと美味しくないんですよ。

少し前までは、結婚式、お祭り、お葬式など・・・集まりのときに婦人会の人らがお料理を作ると、必ずこの『叩き団子の酢なます』が小鉢で出て来たんですよ。

今ではお弁当になっちゃったので、なかなか食べられなくなっちゃいましてね。
やっぱり大切な郷土料理だから、私らで守っていかないと。

あとの献立は、季節でその都度変わるので、「どんだけ覚えなきゃならないの!?」と悲鳴を上げそうです。
でもこの味が食べられなくなったら困るな、と思い、必死に教わっています(笑)

■「錦」は歴史が古い!

実は「錦」は、古事記や日本書紀にも登場するほど歴史がある場所なんです。
縄文式土器も発見されたり。
つまり、その頃から人が住んでいたということは、食べ物があったということで、食文化が続いて来たってことなんですよね。

塩漬け、干物、保存食の文化・・・これは大事にしなければ、と。
そう考えると、食文化だけでなく、昔から続いてきたお祭りも値打ちというか価値があるのかもしれませんよね。

ここでは夏前に『浅間(せんげん)さん』という行事があるんですよ。
旧暦の5月28日・・・現在の6月終わりに行われて、世話人さんが竹を持って「南無浅間大菩薩」と言ってまわり、水垢離をするんです。
海での安全祈願の行儀ですね。

そして、行事が終わったあと、黒砂糖と小麦粉をまぜて焼いたお菓子『へんば焼』を食べないと、海に入って泳いではいけないと言われています。
かっぱに「おしりのズゥを抜かれる」って(笑)

でも、この行事も、私らの子ども世代はしなくなってきてるんですよ。
なのでそれを残すため、『いそもんフェスタ』の初日に再現してもらっているんです。
もちろん『へんば焼』も配りますよ(笑)

私は歴史が好きで、錦のことを調べているんですけど、いわれや風習からいろいろな地域とのつながりが見えて来て面白いです!
錦は考古学的にみるとスゴイところらしいんです。
『汐の食卓』も歴史があっての料理でしょ・・・いつか歴史に関したイベントを開催したいですね!