FM三重『ウィークエンドカフェ』2016年12月3日放送

今回は、津市南が丘で食育指導士として活躍されている河合裕美さんがお客様。
パンやお菓子作りの先生として、子供たちや男性のみなさんにも講座を開いています。
食べることよりも自分が作ったものを人からおいしいといわれることが嬉しいという河合さん。
夏休みには、毎年恒例の楽しい教室を開催しています。

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育指導士とは

食を通して、体の面では栄養のバランスや食の安全を学んでいきます。
私の場合は、心の面で食を通して伝えたいことを中心に、指導を行っています。

例えば、料理を作ったりお菓子を作ったりすることで達成感を感じたり、自分の作ったものを誰かに差し上げて「美味しい」と言ってもらうことで、自分もまた幸せをもらう。
食を通してそういうことを体感してもらうためのいろいろな活動をさせてもらっています。

 

本に出てくるお菓子を作ろう!

津市南が丘で、夏休みの小学校低学年の子が対象のお菓子教室を始めて、今年で11年になります。
出会った親子はおよそ700組、350人のお子さんにお菓子を教えてきました。
教室のタイトルは『絵本に出てくるお菓子を作ろう』。
お菓子とか出てくると、どんな味なんだろうとイメージを膨らませますよね。
それでずっと継続して行っているのが『ぐりとぐら』に登場するケーキ。
お話に出てくる同じ材料でケーキを作りましょうと。
親子で募集をかけ、家からハンドミキサーとゴムベラ、ボウルを持ってきてもらいます。
家のものを使うことで、帰ってからも道具の使い方が慣れているのでスムーズに作れるのではと。
この南が丘地区は『一小一中』ということで小学校の隣に中学校があって、そこの家庭科室が高校レベルに充実しているんです
調理台に一台ずつガスオーブンがついていて、8台もあり、それを使わない手はないと前から思っていました。
親子で来てもらうため、1回の講座に参加できるのは、抽選で選ばれた16組。
講座のはじめに、
「今日は親子で来てもらいましたが、最初から最後まで、全部子どもたちに作らせてください。手出し口出しはしないでください」
と言います。
後片付けも全部子どもたちに任せます。
たいてい親のほうが「え〜」という感じですね

 

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菓子作り教室と『ぐりとぐら』の絵本の読み聞かせ

オーブンから出した時は、いっせいに歓声が上がります。
いっせいに作り始めた時に、できるだけ膨らむようにと見て回ります。
絵本ではベーキングパウダーが入っていないので、同じようにベーキングパウダーを使わず膨らませるということで、しっかり泡立てていきます。
回りながら具体的にアドバイスをします。
そんな混ぜたら泡が消えるわ・・・と思う時もありますが、言わずに手つきの良さを褒めたり、できてきたできてきて、あと3回回したらOKだよ!・・・みたいな感じで、できるだけほめつつ、膨らむように指導します。
みんなのケーキがふっくら膨らんで、喜んで持って帰ってほしいので、そこが一番のチェックどころですね。
全員焼きあがって、冷めるのを待っている間に、今度は『ぐりとぐら』の絵本の読み聞かせをします。
本当にこの材料が出てきたかどうか。
読み聞かせをするのは、スタッフの榊原みどりさん。
榊原さんの読み聞かせが、本当に絵本の世界に引き込んでいく。
この読み聞かせがこの講座にコラボしているので、講座全体のグレードが上がるのではと思っています。

読み聞かせが終わって、自分の席に戻ってくると、やっぱり食べたいですよね。
そこで、お待ちかねの試食です。
自分が作ったケーキは丸々、ラッピングして持って帰ってもらうので、試食は事前に私が焼いたケーキをトッピングをして配ります。
飲み物は紅茶を作るのですが、小さな子どもでも大丈夫なよう、カフェインを抜いた、桃の香りの紅茶となっています。
先程の榊原さんも含め、お菓子作り教室を手伝ってくれるスタッフのみなさんは、始まったころからずっと同じメンバー。
忙しい時でも、なんとかやりくりして、教室の運営を手伝ってくれます。
ありがたいですね。

 

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成感あふれる感想

お菓子作り教室が終わってから、子どもたちと親たちに感想を書いてもらっています。
「今日は友だちを呼んで食べます。美味しいと言ってくれるといいなあ」とか「早く持ち帰って家族に見せたい」とか。「今日はお父さんの誕生日なので、これをバースデーケーキにします」とか。
ラッピングをした時に、「これは君たちが最初から最後まで1人で作ったケーキなので、お母さんも見ていました。自慢していいですよ」と伝えます。
1人ですべて作ったことを、ちゃんと認めてあげるのが大切なんです。

お母さんたちからは「ハンドミキサーなどを使うのは無理だと思ったけど、できていて驚いた」とか、「こんな表情は見たことないくらい真剣にやっていた」とか、「家だどつい手出し口出ししてしまうけど、今日は見守ることができました」・・・などなど、感想をいただいています。
子どもたちが思ったよりも自分でできることに、びっくりされるんですね。

 

の力はとても大きい!

食の力のすごさを感じたことがあります、。
発達障害の子どもを持つ親の会のお母さんから、自閉症の子どもたちは子ども教室などの参加させたくても、まわりに迷惑がかかってしまうとの思いから、なかなかできないとお聞きしました。
そこで自閉症の子どもたちを対象としたお菓子教室を開催しました。
作ったのはスコーンとミックスジュース。
材料を揃えて準備をしている時に、1人の男の子が「僕は缶詰のピーチは食べません」と言ってきたんです。
こちらとしては「はい、わかりました。食べませんですね」と。
そして試食の直前にミックスジュースを作る段になって、使う材料を伝えました。
そして、その男の子にピーチを切ってください、ミキサーに入れてください、牛乳を入れてください、ミキサーにスイッチを入れてください・・・とお願いしたところ、全部作ってくれました。
そうしたら、飲んでました(笑)
あれ、食べませんて言うてたやん(笑)
こだわりが強いのですが、自分で作ることができたというところが大きかったのかな。
やはり達成感ですね。
全然普通に飲んでいて、一番ビックリしたのがお母さんでした。
やっぱり体験ってすごいです。

それからもう一つ。
場面緘黙症の女の子と出会うことがありました。
その子はお菓子作りが好きということもあり、一緒に作って欲しいと頼まれたのです。
そこで『ぐりとぐら』のケーキ作りをすることにしました。
話さないので、こちらからは指示するだけで、2人で黙々と。
そしていざ食べるとなったときに、その子が「おいしい」と言ったんです。
場面緘黙症の子って、『しゃべらない』じゃなくて『しゃべられない』んです。
しゃべろうと思っても、しゃべることができないんです。
でもその時は、私が聞いたわけでもないのに、自分から「おいしい」と。
小さな声なんですけど。
これはスゴイなと!!
食べることはとても大きな力を持っているんだなと感じました。

 

自分のほうがいろんなことを食を通じて教えてもらいました。
食を通じて本当にたくさんの人と出会うことができました。
私のほうがたくさん幸せな気分にさせてもらっています。
料理づくりパン作り、お菓子作りができて良かったなと思います。