三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2016年12月4日放送

市の社会福祉協議会を通じて集まる障がいを持つ人からのリクエストに応え、工夫を凝らしたオンリーワンの道具を生み出している、ボランティアグループ『鈴鹿自助具倶楽部ダブルシュークリーム』
身体の不自由な人が自立した生活を送る為の動作補助用具「自助具」を手作りし提供しています!

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今回紹介するのは、鈴鹿市社会福祉センターで活動している『ダブルシュークリーム』。
とっても美味しそうな名前ですが、甘い香りはしませんよ。
福祉用具の『自助具』と呼ばれる道具をつくっているグループです!

自助具とは、身体の不自由な人が自立した生活を送る為に、可能な限り自分で作業できるように工夫された動作補助道具。

 

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例えばこちらは、フォークなどを持ちにくいリウマチの方のために、持ち手に工夫をしたもの。
持ち手を大きくしたグリップタイプや、腕をはめて使えるタイプ、さらには1つのものでスプーンもフォークも差して使えるタイプなど、さまざまなものがあります。

 

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アイデアと工夫で、不自由をなくしたい。
『ダブルシュークリーム』は、障がい者の生活を支援するための自助具をつくっているグループ。
発足は1998年と歴史も古く、現在は19人のボランティアメンバーが活動しています。
2012年には、第12回中日福祉ボランティア賞の最優秀賞を受賞しています。
道具ひとつで生活が変わる・・・メンバーの皆さんは、様々なニーズに応えるべく、知恵を絞り、オンリーワンの自助具づくりに励んでいます。

 

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『鈴鹿自助具倶楽部ダブルシュークリーム』会長の小磯勉さんにお話をうかがいました。

「生クリーム(自助具を使う人)とカスタードクリーム(自助具を作る人)でダブルシュークリーム(安全で使いやすい自助具)を作ろうと、この名前になりました。
今までに200種類以上の自助具を制作していますが、正解は1つではありません。人の数だけ、動作の数だけ自助具が必要なんです。
以前、リウマチで首が動かせなくなった人からの依頼で、ハーモニカを吹く動作を補助する自助具を制作しました。
その人がその道具を使って健常者と一緒にハーモニカの演奏をしている姿を見ると、とっても嬉しくなりましたね」

 

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『ダブルシュークリーム』の定例活動は月に2回。
社会福祉センターの会議室を作業場として、要望のあった自助具をみんなでつくっています。
メンバーは40代から、なんと80代まで!
また市内各所での出張説明会や、小学校での出前授業なども積極的にこなし、自助具の必要性を広く伝えています。

 

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『ダブルシュークリーム』副会長の磯部つね子さんは、18年前に脳出血を起こし、左に半身麻痺が残っている状態です。

「使えるのは右手だけなので、左手の代わりに押さえるものがほしいんです。
この会で、お願いして作ってもらっています」

磯部さんが右手だけで台所仕事ができるよう、工夫して作られたのが、こちらのボトル固定機や容器保持箱、牛乳パック開けなど。

 

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この他にも、ダブルシュークリームで生み出してきた自助具は山のようにあります。
こちらはペットボトルを開ける道具。
既製品のペットボトルの蓋を開ける道具を利用して改良したものです。

 

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こちらは全身に震えがあり、卵を上手に割ることができない人用の道具。
さらにシンプルに使える道具もあります。

「依頼人が気楽に簡単に使えるものを作らないといけません。
切れたり、引っかけたり、突いたりしないよう、安全には気をつけています。
一番の生きがいは、依頼者に納品をして、良かったと「ニコっ」とされる・・・その笑顔ですね」

と、メンバーの吉田武さん。

 

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鈴鹿市社会福祉協議会地域福祉グループの内山昂貴さんに、『ダブルシュークリーム』とのやり取りについて、お聞きしました。

「社会福祉協議会は支援を必要とされている地域の方と『ダブルシュークリーム』を繋ぐ役割をしています。
当事者やご家族を支援するケアマネージャーさんや作業療法士さんなどから、社会福祉協議会の方に依頼が入ってきます。
その都度『ダブルシュークリーム』と一緒に本人の面談を行い、その人の為のオンリーワンの道具を作り上げていきます。
特技を活かして、使う人の笑顔のために活動していることに、感動を覚えます。
また、その活動を繋ぐ役割をできることは、非常にありがたいです」

 

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こちらは実際に『ダブルシュークリーム』の自助具を使っているお宅です。
山中さんはパーキンソン病を患い、そのために10cm以上身長が低くなってしました。

 

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蛇口を触ると水が逆流して袖を濡らしてしまい炊事がしにくいため、4年前、キッチンの足元に設置する踏み台を製作してもらいました。
最低限として、引出しが開く高さに限定。
低いと袖が濡れるし、あまり高いと昇るのが難しくなるので、高さを微調整しました。

 

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こちらは『リーチャー』という、先端の金具で物を押したり、引き寄せたり引き上げたりする器具。

手の届かないトイレの窓の開け閉め、洗濯物の取り出し、蛍光灯の点滅、カーテンの開け閉めなどにも利用できます。

『ダブルシュークリーム』のみなさんは、こうした依頼者からの要望に応じ、
原材料の費用のみで自助具を制作し、届けています。

「もう感謝の一言です。
ずっとがんばって続けてほしいです」

と、山中さん。

 

「障がい者にとって、周りの人の力を借りることが、一番心の負担になるんだそうです。
ですから私たちのつくる自助具は、単に便利というのを通り越して、障がい者の心の痛みも取り除く道具なんです。
自助具づくりは非常に大事なことだと、私は思います」

と、会長の小磯さん。

 

障がい者や高齢者の自立を支援するため『ダブルシュークリーム』は、鈴鹿市内の依頼に対応しています。
どんなことでも、まずはお問合わせを!