三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2017年1月22日

市の中心市街地で複数の商店街のあるエリアでありながら、高齢化が進み空き店舗も増加し買い物もしづらい状況にある厚生地区。
高齢者や障がいを持つ人たちが地元の商店で買い物ができ、住民同士がコミュニケーションをとることができるようにと、自治会や商店街など地元住民が立ち上げたのが『厚生お助け隊』です!!!

こちらは伊勢市の厚生地区の商店街の一つ、『しんみち商店街』です。
カゴに『厚生お助け隊』と書かれている自転車に乗ってきたのは、前田まさ子さん。

「私は生活で困ったときの生活支援サービスのボランティア『厚生お助け隊』のメンバーです。
これから依頼のあったお宅に向かいます」

 

依頼は、ズボンの裾上げでした。
足を悪くしているため、自分で裾上げの手配をできないので、『厚生お助け隊』にお願いしたとのこと。
依頼人からズボンを受け取り、洋服のお直し店へ。

「できることはお手伝いしたいと思います」

と、お直し店の女性。

『厚生お助け隊』は、厚生地区まちづくりの会が行う事業のひとつで、買い物環境を考える委員会が、地域の要望を受けて平成25年にスタート。
地域住民、学生などのボランティア14名が、有償で買い物支援、生活支援を行っています。

 

『厚生地区まちづくりの会』副会長であり、『厚生お助け隊』委員長の浦田眞さんに、この取り組みをはじめたきっかけについてお聞きしました。

「いつかは自分たちが『お助け隊』を依頼する側になるであろうことから、今、できる間は助ける方をしようとの思いで活動をしています」

 

こちらは一之木ふれあいセンター内の、『厚生地区まちづくりの会』事務所。
『厚生買い物・生活支援センター』センター長の舟橋清昭さんに、仕組みについてうかがいました。

「依頼は電話がほとんどです。
初めての家は実際に足を運んで、こちらができるものなのかどうか判断が必要があります。
買い物は、協力店で買い物をし、それを『お助け隊』が配達するというのが基本。
お店に入った注文を、お店の人がファックスで送ってくれるので、それを持って買い物して、立て替えて利用者に届けるという方法でやっています」

 

『厚生お助け隊』に買い物代行や宅配を依頼した場合、利用者はチケットまたは現金で100円を支払います。
主な支援内容は買い物・宅配(協力店を利用)、自宅の掃除、洗濯、家具の移動、電球の交換、網戸の張り替え、庭の草引き、通院の付添、お墓の清掃など。
買い物支援は1回2店舗まで。
生活支援は1人1時間700円となっています。

 

今度は別の依頼で商店街へ。
利用者さんが防寒具をほしいということで、こちらのお店に受け取りに来ました。

 

何着かを持っていき、実際に依頼者さんに見せて選んでもらうことに。

「お好みとかがあるので、何種類か持っていって選んでもらったほうが確実ですから。
もらう人、使う人の気持ちになってやらないといけないと思っています」

と、『厚生お助け隊』の高倉三希子さん。

 

さっそく依頼者のお宅へ。
お店から預かった上着の中から、依頼者に選んでもらいます。
どうやらお気に入りが見つかったようです。

「以前にも電球の交換をしてもらいました。
優しくていい人で助かっています。
また利用します。ありがとうございます」

と、依頼者からも喜びの声。
やりがいを感じる瞬間です。

 

『伊勢銀座しんみち商店街振興組合』理事長の河村武彦さんと、『伊勢高柳商店街振興組合』理事長の橘正志さんに、取り組みについてうかがいました。

「一個一個の取り組みとしては小さくても、それが数を重ねることによってどんどん厚みが出てきて、地域の方とのつながりがどんどん深くなるような、そのように感じています」

「困った人を助ける活動なので、どんどんとがんばってやってもらってます」

 

続いては、日常の不便をお手伝いする生活支援。
今回の依頼は、窓の清掃です。
心をこめて、丁寧に作業をしていきます。

「きれいになるということは、とてもうれしいです」

「私の父や母も昔から近所の方にみんな手伝ってもらっているので、恩返しをしたいと思ってがんばってます」

と、メンバーのみなさん。

「同じような年頃の方に助けてもらうのは申し訳ないのですが、私はしゃがむこともできないし、お母さんは高いとこに手が届きません。
大助かりです」

と、依頼者からの感謝の声。

 

『厚生お助け隊』は、伊勢市の地域包括支援センターや各自治体、民生委員など、さまざまな組織と連携し、運営。
伊勢市介護予防・日常生活支援モデル事業及び、福祉のまちづくり活動支援事業の助成対象としても活動しています。

 

「ヘルパーさんでは支援できないことを『厚生お助け隊』がしてくれることがありますし、とても元気な方が多いので、来てもらうことで依頼者さんが明るい気持ちになり、来てもらって良かったと言ってもらっています」

と、『伊勢市中部地域包括支援センター』社会福祉士の濱口愛さん。

「地域の方々が『お助け隊』の活動をすることで、自分自身も人に協力しているという生きがいを持ってもらう活動にもつながっていくと思います。
参加者も利用者もより広がって行って、より安心できる町になるとうれしいですね」

と、『伊勢市社会福祉協議会』伊勢支所の嶋垣智之さん。

「高齢化社会、人口減少社会の中、地域社会がお互い手を取り合って共助の世界で生きていく必要があると思います。
これからわれわれは、住民主体の立場で、行政に頼らずもっと自立してやっていくべきだと考えています」

と、浦田さん。

 

厚生地区をゲンキにするために『厚生お助け隊』は、これからも住民が中心となり、住民同士の助け合いを続けていきます!