FM三重『ウィークエンドカフェ』2017年2月25日放送

今回のお客様は、熊野市『紀南ツアーデザインセンター』の小林真由美さんと小倉元さん。
紀南ツアーデザインセンターは、紀南地域を旅する方のビジターセンター。
玄関の奥には、4連のかまどがあって、毎日ここで熊野の番茶を煎っています。
そして、訪れる人にお茶のふるまいをしてくれます。
熊野古道を歩く人、旅行中の人、地元の人。様々な人がここを訪れて、毎日とても賑やかです。

130年の古民家、細部まで豪華な作り

小林 この建物は明治20年頃に建てられたもので、およそ築130年になります。
林業家の奥川吉三郎氏の私邸として建てられました。
もとからここに建てられていて、中も130年前の姿のまま、ほとんど改築されることなく残っていますので大変落ち着く場所として、みなさん懐かしそうに見学しています。

部屋数も多く、細かいところまで贅沢に作られています。
細部にも工夫が凝らされていて、中でも、まわり廊下のガラス戸は大正時代の手作りガラス、今では数少ない貴重なものとなっています。
また、天井や床の間、欄間、どれも貴重なので、ぜひ一度来てもらって見てもらいたいと思います。

この紀南ツアーデザインセンターは、開設して12年目。
それまでは奥川さんの私邸として使われていました。
紀南ツアーデザインセンターになってから、市内に住んでいてもこの建物を知らなかった人などがたくさんいたことがわかりました。
現在、紀南ツアーデザインセンターは、旅する人だけの場所ではなく地元のみなさんにも愛されています。
縁側サミットと呼ばれる手芸の会では吊るし雛を作り、一日懇話会は会員さんが勉強の場として使っています。
玄関には、作家さんたちの作品もたくさん並べられています。

 

節のお花を楽しむことができる広い庭

小林 ツアーデザインセンターでは、来てくださったお客様に熊野の番茶をお出ししています。
私はお茶を出しながらこの建物の説明をしたり、展示している地元の作家さんの絵や陶芸、工芸品などの販売のお手伝いなどをしています。
さらに資料室もあり、奥川家で保管されていた資料や道具なども展示しています。
熊野大花火大会に関わる資料や、伊勢神宮の式年遷宮に関わったことが記されている貴重な資料なども保管されているんですよ。

ここはお庭も広くてとても綺麗です。
樹齢100年になる『オオムラサキ』というツツジの木は、毎年4月下旬から5月にかけて、満開に咲きます。
お庭の風情を、四季を通して感じることができますので、ぜひ見に来てほしいですね。
普段家では冷暖房も完備されていて、四季を感じることがあまりないかもしれませんが、ここは古い家で、そういう設備がないだけに、季節を感じられると思います。

 

畳がすばらしい松本峠

小倉 最近では少なくはなっていますが、熊野市観光公社さん、外部のガイドグループとコラボしたツアーを企画、またトレッキングツアーなどの企画運営もしています。
ここ紀南ツアーデザインセンターは松本峠のすぐ近くにあり、僕自身も松本峠の語り部をしていますので、熊野古道を訪れたお客様に、峠の見どころを紹介しています。
松本峠で僕が一番好きなのは、登り始めてすぐの石段の美しさ。
約400年前にできた石段なんですが、松本峠の良さを一番感じられる場所だと思います。

小林 紀南ツアーデザインセンターには、松本峠を登ってから休憩に来られる方と、登る前に立ち寄ってパンフレットや道案内を求める方がいます。

小倉 年齢層はけっこう広く、リタイアされて趣味で歩く方を中心に、パワースポットとしての世界遺産熊野古道に興味のある若い女性もよく来ていますね。

 

野は旧暦でお雛様を祝う

小林 熊野市は毎年旧暦でお雛祭りを祝うので、3月19日から4月2日まで『熊野街道ひなめぐり』という形で、お雛様を市内の各商店などで展示しています。
このイベントではスタンプラリー形式となっていて、各商店でスタンプを押してもらうと、それが抽選券となって応募することができます。
また、『紀南ツアーデザインセンター』でもたくさんのお雛様を飾りますので、ぜひ見に来てください。
初日の3月19日には先着200名に甘酒の振る舞いも行います。
熊野では昔から、なぜかお雛様は4月3日、端午の節句は6月5日に行います。
でも豆まきなどは普通に2月3日に行います。
不思議ですね。
私も結婚してこちらに来て、初めて知りました。

 

史、文化がつながっている熊野

小倉 熊野は自然がとても豊かでたくさん見どころもあります。
そしてそれに関連した歴史がいろいろなところに散りばめられていて、それを知っていくと、どんどんつながっていくというか。
神話や伝説がつながっていったり、世界遺産と地元の神社がつながっていたり。
歴史の奥深さを感じられるので、こちらに来て景色を見るだけでも見どころがたくさんありますが、そういったところを少し勉強してもらえると、どんどんおもしろくなってくるのが熊野だと思います。