FM三重「ウィークエンドカフェ」2011年10月22日放送

「ありのままの自分でいられる。」
今日はNPO法人フリースクール三重シュ―レ代表の石山佳秀さんがお客様。
三重県で初めてフリースクールを作った人です。
無理をして周りに合わせなくてもいいんだよ・・・。
ここにはひとりひとりの違いをお互いに認め合う仲間がいるよ・・・。
今から11年前、子供たちの居場所を作るため、石山さんの活動が始まりました。



■フリースクールとはどんな学校ですか?

レギュラースクールは月曜日に学校に行けば、1時限目から6時限目まで何をやるかすべて決まっていて、食べ物に例えるなら定食みたいなものだと思うんですね。
月曜日から金曜日まで、いろんな食材が用意されて、月曜日はこれ、火曜日はこれと決められている定食です。

フリースクールの場合は、行く行かないというところから自分で決めるわけです。
来てどういうことをするか、すべて自分で決める。
食べるものを自分で決める。そんな学校です。





■フリースクールをはじめようと思ったきっかけは?

私は、2000年に家族全員で東京から、妻の実家のある志摩に引っ越してきたんです。
実は、私自身が、不登校の子どもと同じ部分があります。

それは・・・自分の納得のできないことに行動を合わせることができないんです。

だから、これまでにいろんな仕事を経験してきました。
そして東京で一番最後に経験した五つ目の仕事が、東京シューレというフリースクールの仕事で、
これまでの中で一番しっくりきたんですね。

当時、フリースクールは地方にはほとんどないと聞いていました。
地方から来た子どもたちから、「いいなあ、東京には東京シューレがあって」みたいな話も聞いていました。
そんな中で、自分がやりたい、って。

40歳になるとき、人生の折り返し地点だと勝手に思い込んで、
更に納得行くことがしたいと思って、家族にお願いして、
三重に引っ越してきました。

そしてこちらに来て、親の方や三重県遊技業組合さんなどのいい出会いがあって三重シューレを立ち上げられた。
本当に感謝しています。





■東京シューレとの関係は・・・?

フランチャイズとかグループとかではありません。
ですから最初は大変でした。

でも引っ越してきた翌日に、不登校のお子さんを持つお父さんにお会いできる機会があって・・・
フリースクールをつくりたいという同じ思いがあって・・・
そんなご縁で当事者とご一緒に着実にスタートできたと思っています。

私たちフリースクールの存在を知っていただくのは、まず保護者のかたの入会相談からスタートになります。

どこまでお役に立てるかわかりませんが、まず相談からはじめさせていただきます。
去年に続いて文部科学省の委託事業を受けているので、不登校の相談については2時間まで無料で受けていただくことができます。
また、私たちがつくっている『みえ不登校支援ネットワーク』でも相談の枠があるので、ぜひ利用していただきたいですね。


■いまなん人ぐらいの子どもたちが通っているんですか?

現在は18名です。
3月ぐらいに巣立つ・・・一般的にいえば卒業ですが、
そこで高卒の資格もとれますので、やはり3月に巣立っていく子が多いですね。

そこで10人ちょっとになって年度の終わりぐらいに20人ぐらいになるというのが
大体毎年の推移です。





■途切れない成長支援・・・大人に求められるものとは?

お子さんが安心して育ち・巣立っていく期間というのはお子さんによってまちまち。
学校に戻る人もいますしね。                                             
育つ時間、場所、学び方は多様であることが必要だと思います。そこで、子どもの試行錯誤を応援することが大人の役割だと思います。

親としての経験、教師としての経験、
そしてフリースクールの経験・・・ここから得たものは大きいです。
そこから学んだのは、
「いっしょに生きてることを喜ぶ」・・・これに尽きます。

私の上の子どもは生まれて3ヶ月目ぐらいのときに髄膜炎ということじゃないかと診断を受けました。
普通の活動はできないことになるかも知れないと言われて・・・・。

その経験も大きかったですね。

親としての願いは、とにかくこの子に生きていてほしい・・・。
そして、この子の人生を邪魔すまい、と・・・。

だから私は子どもたちに勉強をしろといったことはないんです。
通知表もみない。
私は子どもを信頼しているので評価したくないんです。

「勉強しろ」というのは、子どもを信頼していない証。
子どもは、必要なことは、みずからいろいろ学んで育ち・個性を育てるんです。
子どもが自身が個性を獲得するのに、親が口を挟むべきじゃないと思っています。

あと・・・
よくお父さんの悩みで聞くんですが、子どもと何を話せばいいかわからないっていう人が結構います。

たぶん、そのお父さんのイメージは、子どもの悩みに対して答えを出さなければならないと思ってるんでしょうね。

ある日、三重シューレのスタッフが子どもに「なぜ人間は生きてるの?」と聞かれたんです。
その時スタッフは「わからない」って率直に答えた。
それでいいと思うんですよ。
答えなんかないと思うんですよ。

この世に生まれてきて、いっしょにごはんを食べて、子どもとこうしていっしょに生きてる時間を心の底から喜ぶことができれば、それでいいんじゃないか。
それを実感できてるかどうかが大事だと思うんです。

いま、
日本人の子どもたちの「自分はダメだ」という自分否定感は世界の中でダントツで高い。

友達と誰とでも仲良くしなくちゃいけない。
友達がいっぱいいなくちゃいけない。

だから顔色ばかりうかがってる。
友達はたくさんいるのに、孤立感を抱いている子どもたちが30%もいるとう結果が出ている。
いまはこんな状況なんです。

だから・・・
こんなきびしい時代だけれど、
なんとか、楽しく生きている姿を子どもたちに見せられるかどうかが大人の課題ですね。

子どもの前にいる親、先生がいつも苦しそうで、この世は苦だ、
なんて顔をしていたら、子どもたちは夢や希望を見られませんよ。

まず親や大人が人生を楽しむこと。
きっと、子どもたちの人生に大きな影響がある。

これが絶対に大事だと思っています。