『M子の地産地消レストラン』2017年4月

「その地で取れた食材をその地で食す!」
尾鷲市の『梶賀』という漁港で作られている『あぶり』
一度食べて以来すっかり虜となったM子は、とうとう現地まで行ってまいりました!

数年前、知り合いがお土産で持ってきてくれたのがきっかけで知った『梶賀のあぶり』。
これね、ものすごく美味しいんです!
その時食べたのは『鯖子のあぶり』という、サバの幼魚を炙ったもの。
炙って水分を抜くことで、旨味がギュギュッと凝縮されて、出汁をそのまま食べているかのようなのです。
以来大ファン。

当時は梶賀でしか購入できなかったこの『梶賀のあぶり』、昨年ごろから『地域おこし協力隊』を中心に販路を拡大し、とうとう梶賀の網元が80年前に建てた日本家屋をリノベーションした『網元ノ家』でもいただけるようになりました。

 

そんなわけで来ちゃいました、尾鷲市梶賀町。
尾鷲にはたくさんの小さな漁港と漁師町がありますが、ここもその一つ。
車のない時代は、陸路ではなく船を交通手段として街まで出ていたとか。
というのが納得できるくらい、深いです。
全戸で100軒足らずの、小さな町。

 

小さな港に面するように、『網元ノ家』発見!
さらにこの4月からは『まちの駅』として、梶賀の情報発信&交流の場となりました。

 

入ってすぐの場所に、いろいろな種類の『あぶり』。
こんなに種類があるなんて知りませんでした!
うおー、もっと早く知りたかった!

 

お宅拝見、みたいな。
さすが網元さんの家だっただけあり、広く贅沢な作りです。
とはいえ、ここまでリノベーションするのは大変だったのでは。

「20年ほど空き家で色が抜けていたのを、お母さんたちと一緒に蜜蝋ワックスで全部塗り、障子も張り直し、廃校となった小学校から棚などを綺麗に洗って運び入れました」

と、地域おこし協力隊の1人、浅田克哉さん。
私も古民家に住んでいるのでわかりますが、住まなくなった家というのは、どんどん劣化していきます。
ましてや20年。
ここまで美しく戻すのは、相当のご苦労があったと思います。

 

店内には『あぶり』とはなんぞや、どうやって作るのかのパネルあり。
作り方は基本、獲れたての魚の頭と内蔵を取り、塩だけで味付けしてコンロで炙り。
小魚でも1時間、開きなどの大物は2時間もかかるそうです。
その作業すべてが、町のお母さんたちによる手作業。
そりゃあ美味しいわけです。

 

おしながき。
『梶賀のあぶりと餅茶セット』、『甘ぁ〜いぜんざい』など。
よく見ると、すべての食材の出どころが書かれています。
ほぼ地元産でまかなえてしまうってスゴイ・・・でも、昔はこれが当たり前だったんですよね。

 

餅茶セットを注文すると、まずは七輪とお餅が。
炭が熾っています。

 

魚はお大尽に、餅はなんとかに焼かせろ・・・のことわざのごとく、たびたびひっくり返して。
10分ほどでふくれてきます。

 

と、ここでご飯とあぶりセット到着!
あぶりに添えられているのは、紀北町の茎漬けと、尾鷲の田舎漬け。
これもまた、美味しいんですよ!

 

この日のあぶりは、鰤(ぶり)とオキギス。
オキギスはまだ商品となっていない試作品だそう。
鰤には脂が乗っていて、燻された香りがして、そして自然な塩加減と旨味!
これこれ、この味よ!
オキギスは小骨が多いながら、身の中で蒸され骨ごと食べられます。
もともとの身の味はおそらく淡白なんですが、じっくり焼かれて水分が抜かれたため、旨味が密集!
しかもクセがないので、もっともっと食べたくなる感じ!
これはぜひとも商品化してほしいです!

 

で、ここでご飯にお餅を!
そして上から、ほうじ茶で割った熱々の出汁を注ぎます!
・・・お、おお・・・、し、しみじみと・・・美味しい・・・!
そもそもご飯にお餅って不思議ですよね。
でも、ご飯の甘味を二重に感じられるというか。
そこにほうじ茶風味の出汁が混じり合い、日本人の原点的な美味しさが。
さらにここにあぶりを埋めて一緒にすすったりすると、声が出るほどの味わいになるのです。

梶賀では昔から、ご飯にお餅を乗っけてお茶をかけたものを食べていたとか。
時間がない時にてっとり早く栄養補給するためだったようですが・・・。
ほうじ茶に出汁を足すだけで!
そこにあぶりを加えるだけで!
この上ない贅沢な食事になっています!

美味しいのはもちろん、ほぼすべてが地のもので、自然の食材のみ。
食べているだけで、滋養が身体に沁み入っていくのを感じるほどでした。

 

この『梶賀のあぶり』を全国的に広めようと積極的に活動している中の1人、『地域おこし協力隊』の中川美佳子さん。
地域おこし協力隊として梶賀に来てから、ほぼ地元のみで消費していた『梶賀のあぶり』に出会い、この味なら全国に通用すると確信したそうです。
最近では尾鷲市の『ふるさと納税』の返礼品にも加わりました。

数年前から『梶賀のあぶり』を食べてきた私が、この展開で感心したことが一つ。
以前はほぼ裸のままで販売されていた商品を、保存期間の長いレトルトにしたこと。
普通なら味が落ちてしまうと思いますが、これに関しては、レトルトにしたことで旨味と新鮮さを逃さず、いつでもしっとりとした食感と燻製の風味を楽しむことができるのです。
「そのままが一番」という先入観を覆されました。

というわけで、『梶賀のあぶり』は現在、尾鷲市内の『おとと』などはもちろん、安濃SAや都内の『三重テラス』などでも購入できます。

手軽に入手できるようになるのは嬉しいけど、売り切れないでほしいなあと、勝手なことを願うM子でした。

ご馳走様でした!!!

※4月から、お好きな『あぶり』に、ご飯+お味噌汁+香の物を付けてお食事にしていただける『ご飯セット』を始めました。
あぶりの香りが煙る町で、あぶりをご堪能ください。
(お食事メニューは予約制となっていますので、事前にご連絡をお願いいたします)