三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2017年4月16日

毎年4月2日は『WHO』が定めた『世界自閉症啓発デー』。
日本各地・世界各地で、様々な自閉症啓発イベントが開催されている中、三重県でも3年前に、世界自閉症啓発デーに合わせたイベントがスタート!
自閉症への理解が進んだ「互いに育ち合い、暮らしあえる地域」になっていくことを目指してイベントを開催しています!

毎年4月2日は『世界自閉症啓発デー』。
自閉症への理解を深め、「互いに育ち合い・暮らしあえる地域」を目指して、世界各国でイベントが開催されています。
そんな中、3年前に三重県で始まったのが『Light It Up Blueみえ(ライト・イット・アップ・ブルー・みえ)』。
バリアフリーステージ、アート展示、トークセッションなどが開催され、そして、夜には、癒しと希望を表す色『ブルー』でライトアップ。
世界をひとつにつなぎます。

今回ご紹介するゲンキさんは、その『世界自閉症啓発デー』に、『津市まん中広場』と『津センターパレス』でイベントを開催するみなさんです!

 

『Light It Up Blueみえ』実行委員会の発起人であり代表の、新谷麻衣さんにイベントについてお聞きしました。

「今年で第3回目になりますが、四日市方面や伊勢などでもポスターやチラシが配られるようになり、広がりを感じています。
マルシェやステージ、アートなどを通じて、自閉症や発達障害に接点がなかった人にこそ来てもらい、一緒に楽しみながら接することで、垣根を越えられるようにしていきたいです。
支援団体や施設がかなり増えたものの、一般市民の理解や受け入れがまだあまり浸透しているとはいえないので、これを機に理解を深めてほしいと思います」

実行委員会は『NPO法人アスペ・エルデの会 三重県正会員ピカリン』『三重県自閉症協会』『NPO法人ぽっかぽかの会』『生活介護サービスあゆか』、その他発達障がい者当事者を含む仲間たちが有志として集まり、三重県で最初に『Light It Up Blue』の実現グループとして歩み出しました。

 

イベントは外のステージだけでなく、センターパレス内でも開催しています。
こちらはアート展。
自閉症スペクトラム、当事者のみなさんから作品を募り、絵や書などを展示しています。
色彩のとらえ方や再現の仕方が少し独特なものがあり、ユニークな作品が多いのが特徴です。

 

この絵はなんと、イベントの2日前に依頼を受けて描いたもの。
作者はたくさんの色を使って、たくさんの動物を1枚の紙に書くのが好きで、作品を自分の靴に印刷したり、携帯ケースに印刷するなどして、商品も作っているのだそう。

 

部屋の中央には、大きな作品が展示されていました。
賑やかなお祭り会場でしょうか。
この作品を作ったのは、こちらの参加者であるブンさん。

「これはまつり会場です。
作るのに1ヶ月くらいかかりました」

と、ブンさん。
お気に入りはイカ焼きの屋台。
なんと屋根を開けて、屋台の中を見ることもできます。

 

こちらは『ペアレントメンター』コーナー。
『ペアレントメンター』とは、自らも発達障害のある子育てを経験し、かつ相談支援に関する一定のトレーニングを受けた親。
この日は来場者の相談を受けています。
自分の子は他所とは違うということに敏感になり、近所の方や近くの友人に相談できないというお母さんが多いので、一通り子育ての経験を乗り越えてきた先輩お母さんたちと話ができるのは、非常に心強い機会に違いありません。

 

こちらは、自閉症模擬体験コーナー。
自閉症当事者の物事の受け取り方、そして、見え方や聞こえ方など、体験を通して、少しでも知ってもらおうというコーナーです。
自閉症の特性のひとつ『シングル・フォーカス(1つのことしか目に入らない状況)』を体験します。

「全然見えないわけではなく、見えているのだけど興味があるところや見たいモノしか見えない状態です」

と、『発達障がい啓発 鈴鹿キャラバンTEAM TANPOPO』の堀井真由美さん。

 

こちらではライトアップの準備中。

「知り合いである新谷さんが自閉症の啓発の活動で、シンボルカラーの青でライトアップしたいということなので、協力しています。
2年ほど続けきた津城のライトアップを今回もしますが、今年はメイン会場が『津市まん中広場』に移ったため、中心にあるこのシンボルを青く電飾で飾ることにしました」

と、『Light It Up Blueみえ』立ち上げメンバーの小林貴虎さん。

 

一方、こちらでは『竹あかりづくり』のワークショップが行われていました。
みんなが作った作品にも、夜、青い光が灯ります。

 

そして、今回、初めての試みとして開催されたのが、『オーティズム・サミット』という公開トークセッション。
自閉症の当事者、その家族、支援者、そして、医療現場に携わってきた先生がパネリストとして参加。
それぞれの立場で、自閉症を本音で語り合いました。
※オーティズム:自閉症

男性は、Tシャツのデザイン販売をしている今井貴裕さん。
自閉症の当事者です。

「普通の人は、誰かの得意なことを『「こういう事できてすごいね!」というのがありますね、最初は。
ただ、それが慣れてくると、当たり前になってくる。
その当たり前に自分ができることができないと、重箱の隅をつつくというか、そういう見方になっていってしまうんです。
当事者の人たちが、もっとカミングアウトというか、気軽に『私、発達障害持っている』と言うことができ、周りの人が温かく見守ってくれる環境、社会になれば良いなと思います」

当事者、家族、支援者、それぞれが語る本音。
それぞれが理解を深め合う様子は、来場者にも強く伝わったようです。

 

日が沈み、会場が暗くなったところで、ライト点灯!
4月2日の夜。
津市まん中広場の中央に立つ木が、ブルーの光に浮かび上がりました。

世界自閉症啓発デーのこの日。
この広場を始め、日本各地、そして、世界各地で、その地域の象徴とされる施設・建物が青く照らされました。

 

「発達障害者の仲間とここに来て、他にも友だちができました。
自閉症のことを、もっとたくさんの人に知ってもらえたかなと認識しています。良かったです」

と、イベントに参加した高校生。

 

「非常に自閉傾向が濃厚な人から、とても薄くてパッと見、普通の人と何も変わらないという人までいます。
ここからが障害で、ここまでは障害でないという線引きは、できないだろうとも言われています。
受け止める周りの人たちが、『変だな』『何か違うな』とネガティブに受け止めてしまうと、もうそれが障害になってしまいます。
けれど『自分とは違うけどおもしろい』『こんな捉え方もあるのだな』とポジティブに受け止められれば、それは障害ではなくなるんです。
ネガティブになれば生きづらさにつながります。
周りの捉え方次第で変わっていくものだと思っています」

と、新谷さん。

 

誤解されやすい自閉症。
改めて理解し、わかりあい、ふれあっていきたいですね。