三重テレビ「ゲンキ!みえ!生き活きリポート」2011年11月13日放送

賀利を知ってほしい、須賀利のことを覚えてほしい…
「あそこ良かったよ」「また来たいね」と言ってほしい…
そんな思いから、須賀利のおんばんたちが、郷土料理で訪れるお客さんをおもてなしします!



尾鷲湾に突き出た半島の先にある須賀利町。
尾鷲湾の北部、須賀利湾に面した小さな漁師町です。
昭和57年に県道が開通するまでは、車が走れる陸路はなかったため、尾鷲港からの巡航船のみが、生活の足でした。
そのため、かえって漁村の懐かしい風景が残されることとなり、『にほんの里100選』にも選ばれるなど、訪れる人達が少しずつ増えているそうです。
尾鷲港と須賀利港をつなぐ、一日4便の巡航船も、ノスタルジック趣で人気だとか。



そんな、須賀利を訪れるお客さんを、心づくしのお弁当でおもてなししているのが『すがりのおんばんの会』のみなさん。

「須賀利にひとりでも多くの人に来てもらいたい。」という思いから、会を発足させたのは4年前。

町を訪ねてもらっても、食事をしてもらうところがないため、現在は5人の地元のお母さんたちが、須賀利の新鮮な魚介類や郷土料理で、訪れた人をおもてなししています。

「おんばん」というのは、この地方の方言で「おばちゃん」という意味の愛称。



活動は、空き家となっている民家を利用。
予約をすれば、ここで食事もいただけるとのこと。
この日はお客さんが来るということで、お弁当を作るため、お母さんたちは大忙しです。



食材は須賀利産のものを使用。
特に須賀利で養殖された真鯛は、香りも天然のものと遜色ないそう。
地域の特産品とあって、お弁当や食事に、積極的に使っています。



他にもタコやサザエなど…どれも須賀利でとれた新鮮な食材です。



須賀利に昔から伝わる餅菓子の『いももち』も用意。
サトイモとサツマイモを練り合わせた皮で餡を包んだもので、この時期が一番美味しいのだそうです。
練れば練るほど芋の繊維が消えて口当たりが良くなるそうなので、作るのも一苦労!



盛り付けをするのも、もちろん『おんばんの会』のメンバーで。
ひとつひとつ丁寧に作るお弁当は、こうして完成となります。



今回のお客さんは、松阪市の絵画グループのみなさん。
須賀利のシンボルとも言える『普済寺』で昼食を。
ここは、戦国武将竹中半兵衛の末裔、竹中和泉が建てたと言われるお寺で、人気のスケッチポイントでもあります。
まさに絵画グループの昼食処にうってつけです。



すがりのおんばんの皆さんが、真心込めて作った『風待湊(かぜまちみなと)弁当』。
須賀利の全てが、ここに凝縮されています。



鯛のそぼろに、鯛の唐揚げ、そして『いももち』…どれもおんばんの愛情がぎっしり詰まっています。

お弁当を作り終えて、ホッとするひととき。
1日にお迎えできるお客さんの数は、15名が限度。
須賀利のために自分たちが出来るのは「ほんの僅かなことだ」と、みなさんは言います。

しかし、そのほんの僅かなおもてなしが、口コミでどんどんと広がり、静かに、ゆっくりと…まるで「波紋」のように、須賀利の名を、各地へと広めつつあります。