三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2017年5月21日

「バイクの『楽しさ・すばらしさ』を共有しよう」と、鈴鹿市内の障がい者の就労支援施設でバイクのカスタム作業に挑戦しようというプロジェクト『Smile Bike@鈴鹿』!
障がい者の職業訓練の一環として、バイク専門家の講習のもと障がい者が実技技術指導を受け、バイクの製作のノウハウを学び、実際にカスタムバイクの組み立てを行いました!

鈴鹿市内の就労支援施設で、モータースポーツの街・鈴鹿ならではの、バイクを作る職業訓練が行われています!
行っているのは『カスタム』と呼ばれる、市販のオートバイを、より乗りやすく、より快適に乗るための工程です。

 

就労体験でオートバイのカスタムをしているのは、鈴鹿市と亀山市に事業所を持つ医療・介護・福祉の『さくらさくら商会』。
障がい者の就労支援だけでなく、生活介護、訪問介護、デイサービスなど、福祉サービスを幅広く展開。
現在200人近い利用者がいます。

 

施設長の千賀理さんに、オートバイのカスタムを就労支援に取り入れようと思ったきっかけをお聞きしました。

「障がい者の就労支援というとこちらでもやっていますが、野菜の栽培など、軽作業がほとんどです。
しかし障がい者自身にとって本当に楽しい作業はなんだろうと考えたんですね。
ここ鈴鹿市は『モータースポーツの町』なので、バイクを作る事ができるのではと思い、はじめました」

オートバイをカスタムして、驚きと可能性を見つけたい。
そんな鈴鹿ならではの就労体験『スマイルバイク』は職業訓練のひとつとして今年2月にスタート。
専門家が実技指導し、みんなでアイデアを出し合い、そして、実際に作業を進め、3ヶ月かけて、完成直前までこぎ着けました。

 

こちらはバイクのカスタムに協力しているレンタルバイク店『レンタル819』。

 

お店の代表でもあり、『スマイルバイク』の講師を務める佐藤健志さんは、鈴鹿市出身。
高校卒業後、東京でアパレル関係の仕事をしていましたが、22歳で鈴鹿に戻り、バイク店に勤務。
そこで、バイクのカスタムを学びました。
以来ずっと、バイクに携わる仕事をしています。

「話をいただいた千賀さんはうちのお客様です。
私もオートバイをカスタムしたりするのがすごく好きなので、千賀さんから『何か、職業訓練できないかな?』と言われた時に、うちでできることはというとオートバイを使ったもの。
そこでみんなで一緒に1台のオートバイを作ろうとなったのです」

 

施設の利用者のみなさんも、こうして作業を体験していきます。
作業のひとつひとつを真剣に見つめます。

 

「元のバイクから色決めをし、タイヤ交換などもして最初とは大きく変わりました。
『スポーツタイプにしようか? クラシックにしようか?』とか、色々考えましたね。
僕は片麻痺なので、タイヤを外すなどの力が結構かかる作業は大変でした」

「元々ホンダで働いていたため、四輪は経験がありましたが、バイクのカスタムは初めてでした。
難しく苦労しましたが、できあがっていく過程はやはり楽しかったです」

と、作業に参加した利用者さんたち。

 

いよいよ、最後の仕上げです。
今年2月に始まって、およそ3カ月。
7回にわたって続けられてきた職業訓練の最終工程です。
ひとつひとつの作業を、利用者のみなさんで手分けして担当。
カスタムバイクは、着々と完成に近づいていきます。

 

『スマイルバイク』完成です!
色が「黄色」という、明るいカラーで元気の出るバイクにしたかったとのこと。

 

ちなみに、こちらがカスタムする前のベースとなったバイク。
ずいぶんイメージが違いますね。

 

完成したカスタムバイクの試走は『さくらさくら商会』の施設長・千賀さんがつとめます。
みんなの期待を乗せて、バイクが走り出しました。

「身体が動かなかったり不安が強かったり、いろいろな障がいの方います。
しかし一つのことを成し遂げることで、達成感・やり甲斐とかを感じてもらえたと思います。
みなさんの世界を広げるための一つの手段として、このバイクが役に立ちそうですね」

と、千賀さん。

 

「みんなで手掛けた」という、達成感。
「出来ないことは無い」という、未来への可能性。
このカスタムバイクは、まさに夢へと向かって走る『希望のオートバイ』なのです。