第160回『サルシカ隊長レポート』2017年5月

15年前から個人の方がこつこつと栽培を続け、今や2万株のルピナスが咲き乱れる志摩市磯部の夏草花園。
たくさんの観光客が訪ねる手づくりの志摩の名所を訪ねる。

「たまにはね、花でも愛でて心を潤したらどーなのよ」

別の取材で志摩市内を走っていた車の中で、助手席の妻M子が言った。

「いやいや、ビールで潤しているよ」

と言おうとしたら、妻が先手を打った。

「言っとくけど、ビールが潤すのは心じゃなくて喉だからね」

結婚生活も20年近くになると、会話をやりとりするタイミングも与えてもらえない(笑)。
そして妻はわたくしの返事を待つまでもなく、カーナビの地点検索をはじめるのである。

そんなわけで、唐突にお花畑へ行くことになったのである。

 

 

カーナビに誘導されるがままにやってきたのは、志摩市磯部町山原の夏草花園。
名前からしてお花畑なところだ。

広大な無料駐車場が用意されていて、100台近くの車がとまっている。
県外ナンバーも多い。

車を降りると、お花畑への案内看板が道筋を誘導してくれる。

 

 

畑の中の道を少し歩く。
ここも通路にシートが貼られ、歩きやすいようになっている。
サービス精神に溢れたところなのだ。

 

 

そして!
開けたところに出ると、そこには一面のお花畑が広がっている。

「おおおおお! これはすごいぞ!」

思わず声があがる。

 

 

この見事に咲いているのは、ルピナス。
花がフジに似ていて、下から咲きあがることからノボリフジ(昇藤)とも呼ばれている。

 

 

こちらのルピナスは、稲葉さんという個人の方が15年前から育ててきたもので、今では2万本の色とりどりのルピナスが30アールの休耕地に咲き乱れている。

入園は無料であるが、管理費や駐車場の費用にと、支援金のお願いをしている。
これだけの花園の手入れをするのはどれほど大変か。
頭が下がる思いで、妻とふたりで1000円を入れさせていただく。

 

 

ルピナスの見頃は5月中旬前後。
この日もたくさんのお客さんが花を眺め、写真を撮っていた。

 

 

今年のルピナスはもうほぼ終わりだが、夏草花園にはササユリ、そして蓮も育てられているので、これからも季節ごとに楽しませてくれるであろう。

 

 

手づくりからスタートしても、これだけ多くの人を集める場所がつくれるのだなあ。
大きなヒントと勇気をもらった気がする。

花いい。
確かに心が潤う。

日差しをいっぱい浴びて汗もかいた。
今晩のビールはいつもよりおいしそうだ。
きっと喉だけじゃなくさらに心も潤うはず・・・と妻に言いたい(笑)。