15年前から個人の方がこつこつと栽培を続け、今や2万株のルピナスが咲き乱れる志摩市磯部の夏草花園。
たくさんの観光客が訪ねる手づくりの志摩の名所を訪ねる。
「たまにはね、花でも愛でて心を潤したらどーなのよ」
別の取材で志摩市内を走っていた車の中で、助手席の妻M子が言った。
「いやいや、ビールで潤しているよ」
と言おうとしたら、妻が先手を打った。
「言っとくけど、ビールが潤すのは心じゃなくて喉だからね」
結婚生活も20年近くになると、会話をやりとりするタイミングも与えてもらえない(笑)。
そして妻はわたくしの返事を待つまでもなく、カーナビの地点検索をはじめるのである。
そんなわけで、唐突にお花畑へ行くことになったのである。
カーナビに誘導されるがままにやってきたのは、志摩市磯部町山原の夏草花園。
名前からしてお花畑なところだ。
広大な無料駐車場が用意されていて、100台近くの車がとまっている。
県外ナンバーも多い。
車を降りると、お花畑への案内看板が道筋を誘導してくれる。
畑の中の道を少し歩く。
ここも通路にシートが貼られ、歩きやすいようになっている。
サービス精神に溢れたところなのだ。
そして!
開けたところに出ると、そこには一面のお花畑が広がっている。
「おおおおお! これはすごいぞ!」
思わず声があがる。
この見事に咲いているのは、ルピナス。
花がフジに似ていて、下から咲きあがることからノボリフジ(昇藤)とも呼ばれている。
こちらのルピナスは、稲葉さんという個人の方が15年前から育ててきたもので、今では2万本の色とりどりのルピナスが30アールの休耕地に咲き乱れている。
入園は無料であるが、管理費や駐車場の費用にと、支援金のお願いをしている。
これだけの花園の手入れをするのはどれほど大変か。
頭が下がる思いで、妻とふたりで1000円を入れさせていただく。
ルピナスの見頃は5月中旬前後。
この日もたくさんのお客さんが花を眺め、写真を撮っていた。
今年のルピナスはもうほぼ終わりだが、夏草花園にはササユリ、そして蓮も育てられているので、これからも季節ごとに楽しませてくれるであろう。
手づくりからスタートしても、これだけ多くの人を集める場所がつくれるのだなあ。
大きなヒントと勇気をもらった気がする。
花いい。
確かに心が潤う。
日差しをいっぱい浴びて汗もかいた。
今晩のビールはいつもよりおいしそうだ。
きっと喉だけじゃなくさらに心も潤うはず・・・と妻に言いたい(笑)。