FM三重『ウィークエンドカフェ』2017年7月8日放送

今回は『亀山kisekiの会』の代表、伊達亀嘉さんがお客様。
『亀山kisekiの会』は、亀山でお茶を生産している5軒のみなさんがメンバーです。
亀山では明治時代、輸出向けの紅茶の生産が小規模ながら行われていたそうです。
その木が『べにほまれ』。
そして伊達さんの地元、亀山の辺法寺(へんぼうじ)地区でも戦後、さかんに紅茶の生産が始められました。
『亀山べにほまれ紅茶』は、バラのような香りで心地よい渋みが特徴です。
歴史に埋もれていたこの『べにほまれ紅茶』を復活させたのが『亀山Kisekiの会』です。

山と関から名前をとって『キセキの会』

名前については、いろいろみんなで議論した結果、亀山と関が合併して亀山市になったので、亀山の『亀』と『関』で『kisaki』と。
漢字ではイメージが湧きにくいと思い、ローマ字で『kisakiの会』と名付けました。
『べにほまれ』の木が見つかったのも奇跡ですし、ぴったり当てはまるブランド名だと思っています。

 

和25年、川戸勉氏が台湾から戻って積極的に茶葉の栽培を

亀山では明治時代、輸出向けの紅茶の生産が小規模ながら行われていました。
その木が『べにほまれ』です。
そして戦後の昭和25〜30年くらいの間に、戦前の台湾で紅茶生産に従事していた川戸勉氏が帰郷し、戦後初の本格的な紅茶生産を開始し、国も紅茶の輸出に前向きだったため、どんどん増やしました。
紅茶は海外からのものを飲むというイメージが強いですが、昔は作られていたんです。
まだ貿易が盛んでない時期には国内で作られた美味しい紅茶がたくさんありました。
昭和26年、亀山産『べにほまれ』は、ロンドンのブレンダ―からダージリン紅茶を超える価格評価をは受けたことで世界に認められ、国産紅茶のトップブランドの地位を確立しました。
私が聞いたところによると、イギリスではミルクティーをよく飲むので、輸出するのもそれに合う、味が濃くて渋みの強い『べにほまれ』が評価されたということで生産が増えたらしいです。
しかし海外の紅茶が輸入されるようになり、『べにほまれ』は衰退していきました。

 

山紅茶を復活させるため、5年前『kisekiの会』を結成!

海外の紅茶に圧されたため、紅茶も輸出されないようになり、ここ亀山でも栽培する茶葉は緑茶の品種に植え変わっていました。
しかし5年ほど前、亀山宿と関宿の間で奇跡的に残っていた『べにほまれ』の茶園を発見、手入れすることで『亀山Kkisekiの会』の活動が始まりました。
和紅茶も10年近く前から人気が出てきたこと、亀山には昔から『亀山紅茶』が有名だったこともあり、復活させるのは良いことだと。
畑が他にも残っているのではと、メンバーや県の普及員の方々と一緒に探したところ、本当にラッキーなことに、20アールほどの広さの畑で、かなり荒廃していましたが見つかったんです。
そこを管理して復活させました。
永年作物なので、最初の収穫までに5年ほどかかりますが、それ以降は放っておくと3m以上の大きな木になります。
それを切って管理しないと山に返ってしまうんです。

 

本トップクラスの紅茶を作ろうと奮闘中!

現在5軒の農家が『kisekiの会』のメンバーとして活動しています。
面積的にも5ヘクタールから10ヘクタールくらいで作っており、緑茶用の葉の芽が出るのと紅茶の芽が出るのと同じ時期なので、収穫時期をやりくりして良い製品を作るタイミングが、とても難しいです。

本当に美味しいトップクラスの紅茶を作るため、ボランティアの方にもお手伝いしてもらい、手摘みをしています。
手摘みした茶葉は一日置いてから製造して紅茶にし、いろいろなイベントや品評会に出品しています。
復活したときも、大きくなっていた木を小さく剪定しましたし、時期的にも緑茶と栽培時期をずらす方法を取っていく方法など試行錯誤中で、収穫量はまだまだ少ないです。
しかし一番良い紅茶を作りたいという思いは強いです。
普通の紅茶だったら『kisakiの会』というネーミングは付けません。
会が作った紅茶として胸を張って飲んでもらえる茶葉の製造に努力をしているところです。
主に亀山で販売していますが、最近ではいろいろなところから求めに来てくださる方もいて、嬉しいことです。

 

に研究しながら紅茶を作っている

手摘みの場合は本当に美味しい、芽の先だけ摘んでもらっています。
それでできたのは『雫の紅茶』という、トップクラスのブランドとして販売しています。
紅茶の製造をするのは、葉っぱの水分を40%ほど減らして、揉んで発酵させるのですが、その水分を減らすタイミングを見極めるのがいちばん大切な部分だと思います。
均一に水分を減らさないといけないので、夜でも手返ししたりして。
発酵にしても一番いいタイミングで止めるのが大事なので、気を使って作業しています。
紅茶の製法はまったく知りませんでしたが、5年前・・・もっと前に和紅茶が流行りだした頃に自分でも作りたいと思い、緑茶の品種の葉を摘んできて、試験場で製造方法を聞き、作ってみました。
が、萎凋(いちょう)させる量が少なくて、揉んでいる時に水分が出てしまい、良い紅茶となりませんでした。
その後、『kisekiの会』で毎年勉強会や求評会をしている時に、製造方法を教えてもらいました。
最近では普及センターの先生方からも、良くなったと褒めてもらえるようになりました。
緑茶の新芽は緑色ですが『べにほまれ』の2番茶は、赤味を帯びた色をしています。
1番茶は柔らかで甘みを感じますが、暑い時期の2番茶は渋みがあり、上質の紅茶として楽しむことができます。
どちらもそれぞれに美味しいです。

萎凋・・・茶葉を風通しの良いところに放置し、萎びさせる工程

 

と2,3年で生産量が増える!

樹齢50年以上の『べにほまれ』の古木の新芽を丁寧に摘んで、おいしい紅茶を作っています。
現在『kisekiの会』の畑で、本当に少量しかできていませんが、それぞれの農家が残った奇跡の紅茶の木から苗を取り、それを育てています。
もう後、2〜3年ほどすれば、みなさんに飲んでいただける生産量になると思います。