いなべ市の有形登録文化財『桐林館』の一部を使ったカフェ&美術のスペース『阿下喜美術室』!
いなべ市での様々な出会いから移住を決めた帖佐真之介さんがコーヒーチェーン店勤務だった経験も活かし、この日『阿下喜美術室』をオープンしました!
ごらんください、この趣のある建物!
こちらは昭和12年に建築された旧阿下喜小学校の校舎のひとつ『桐林館(とうりんかん)』。
新校舎の完成にともない、取り壊される予定でしたが、地域の要望を受け、一部を移築して保存。
現在は国の有形文化財に登録されています。
中にはとても素敵な空間が広がっていました。
カウンターにいるのは、帖佐真之介さん。
「こちらはもともと小学校だった場所をリノベーションして、カフェとアートスペースとして活用できるように生まれ変わった『桐林館 阿下喜美術室』です」
まずは館内を案内してもらいました。
こちらは校長室。
映画のワンシーンのような厳かな空間です。
一方こちらは昭和初期の教室を再現したスペース。
ワークショップなどで使用することができます。
『桐林館 阿下喜美術室』は、その名の通りギャラリー&カフェ。
記念すべき最初の展示は、地元いなべ市藤原の『紫光窯(しこうがま)』の陶芸作品。
月替りで展示を変えていく予定だそうです。
3年前、桐林館が国の有形文化財に登録されたことを受け、その活用法をいなべ市と地域住民が話し合い、職員室だった部屋を交流スペースにすることに。
そして、この日、7月7日、オープンを迎えることになったのです。
『桐林館 阿下喜美術館』オープン当日の朝。
帖佐さんはあるお店に出かけました。
天然素材、食材にこだわったお店『暮らしのシューレ』です。
「このお店のオーナーさんとは5年ほど前からの知り合いなんです。
初めて阿下喜という町を紹介してもらって、その時にこの町に住みたいなって思ったのがきっかけです」
帖佐さんは、地元出身かと思いきや、実は愛知県生まれ。
高校のときに桑名市多度町に家族で引っ越し。
その後、コーヒーチェーン店で勤務し、さまざまな人との出会いから、いなべ市へ移住を決めました。
この日はドリンクに使うはちみつを購入。
「このお店が移住のきっかけになったのはとても嬉しいです。
この町が好きだと言って住んでくれる人が増えると、町がゲンキになっていくと思います。
また、素敵なお店がオープンすることも、とても嬉しいです!」
と、『暮らしのシューレ』の西本明日香さん。
自慢のカフェメニューは、『アゲキノブレンド』と『カタラーナ』。
『アゲキノブレンド』は深煎りで、ほんの少しお酒の風味が感じられる変わったコーヒー。
器は『紫光窯』の作家さんに作ってもらったオリジナルのものです。
コーヒーはかなりしっかりした味わいなので、カタラーナと合わせていただくとちょうど良いそうですよ。
続いてもうひとつは、地元の特産品である『かぶせ茶』を贅沢に使った緑茶ラテ、『カブセチャッテ』。
水出し茶と三重県産の牛乳を合わせ、抹茶パウダーでさらに香り付けしています。
『カブセチャッテ』には先程『暮らしのシューレ』で購入したはちみつが使われています。
11時を迎え、『桐林館 阿下喜美術室』がオープンすると同時に、あっという間にカウンターが埋まりました。
一番左に座っているのは、このお店を設計した建築士の松宮竹弥さん。
「帖佐さんと意見の交換もしながら、古い建物をイメージし、それをそのまま利用できたことに満足しています。
古い天板や板など自然素材をすべて使って、火を使わない形で完成させました」
「家で飲んでいるコーヒーとは全然違うわね」
「子どもが小学生の卒業式の時、門で写真を撮っていただいたのを思い出しました。
これからまたみんなに利用してもらえると思うとうれしいですね」
「風が通るところと、吹き抜ける感じと明るさがとても良いです」
と、この日最初のお客さんたち。
「たくさんの方に来てもらえて、良かったという感じです。
ここの卒業生の方たち含め、地元の方たちもたくさん来てくれたので、受け入れてもらえる場所になってほしいと思います」
と、帖佐さんの妻、千春さん。
「予想よりもたくさんの方が来てくれて驚いています。
人気(ひとけ)のない場所でもにぎわいが生まれるということを確信しました。
今はまだ市が主体となっていますが、一年以内に民間が主体となり、ここを中心に起業を促進したり、移住の窓口になったりなどの幅広い活用を展望しています。
夢はいちコーヒー屋として、この街でずっと暮らしていくことです」
と、帖佐さん。
築80年を越える古き学舎で、
地元の食材に触れ、
地元の文化を知り、
そして地元の人と触れ合う・・・
『桐林館 阿下喜美術室』はこうしてオープンしました。