名張地区には、地域の人が気軽に集える場所として、空き家などを利用した８つの交流拠点が設けられています。
そのひとつが、この、『隠（なばり）おたがいさん事務所』。
名張地区まちづくり推進協議会のふれあい交流部会の一事業として、『隠（なばり）おたがいさん』が主体的に運営し、会員がローテションを組んで、事務所の当番をしています。

『隠おたがいさん』の福山悦子さんに、活動の内容をお聞きしました。

「地域の高齢者の生活支援をボランティアで行い、援助を求める人と援助できる人が共に会員となって助け合い、安心したまちづくりを目指しています」

主な支援内容は、部屋の掃除・除草・庭木の剪定・網戸、障子の張替え・大工仕事・ゴミの仕分け・買い物等の外出支援など。
『隠おたがいさん』の利用方法は・・・
① 会員登録：年会費　500円（利用者・協力会員）
② 支援して欲しいことを事務所に連絡
③ コーディネーターが電話か訪問で支援内容を聞き取り
④ コーディネーターから支援日と協力者を伝える
⑤ 利用料は協力会員１人、１時間につき500円

草刈りを含めた庭の手入れの依頼。
庭の広さ、内容から、4名が出動しての作業になりました。
依頼者は作業者ひとりにつき1時間500円を支払い、『隠おたがいさん』事務所が100円、作業者が400円を受け取る仕組みです。

「近所の人からこちらのボランティアのことを聞き、申し込みました。
家で横になってテレビを見ているより、身体にも良いし、共存共栄になると思いまして」

「この仕事がとても楽しいです。
疲れても『ありがとう』と言ってもらえるのが何よりの支えですし、仲間意識も芽生えますしね」

と、ボランティアスタッフのみなさん。

「今までは主人と2人でしていましたが、亡くなってからはできなくなっていたので、とても助かりました。
ありがとうございますの一言です」

と、利用者の女性。

こちらにお住まいの依頼者は、高齢のご夫婦。
日々の掃除も身体への負担が大きく、定期的に掃除の依頼しているそうです。
こちらの作業は、ベテランの女性ボランティア３名で担当。
普段なかなか手が行き届かないところまで、丁寧に掃除を進めていきます。

そして、作業が終わると作業報告書を作成。
誰がいつ依頼し、誰が作業を担当したか、しっかりと記録し、報告することで、次の依頼へと活かしていきます。

こうした迅速で丁寧な仕事が利用者の信頼を得て、利用者数・支援件数のいずれも初年度から年々増え続けています。
一方、作業を担当する協力会員の伸び悩みは、大きな問題になっています。
また、利用内容も年々変化が。

これまで掃除や買い物、草抜きなどが主だったのに対し、増えているのが外出支援。
そこで今年5月からは外出支援を本格的にスタートさせたところ、利用者さんからとても喜ばれているそうです。

「高齢者はもちろんな、足の悪い方やちょっと遠くまで行くっていうのが難しい方はついつい外に出なくなっていまいます。
そこで介護予防を兼ねての外出支援のサービスをしています」

と、『隠おたがいさん』外出支援コーディネーターの勝井和子さん。

今回利用している、こちらの女性も支援を心待ちにしていた一人。
サービスが始まって依頼、外出時に何度か利用しています。

「私が足が痛いと言えば、荷物を持って昇ってくれるなど、至れり尽くせりで、お人柄を感じます。
この制度ができてから私たち高齢者も安心して毎日を過ごすことができ、感謝感謝の毎日でございます」

こうした外出支援のサービスは、前日までの予約が必要。
通院や買い物といった生活に係る利用だけでなく、お墓参りや友人のお見舞いなどでの利用も可能。
高齢者や障害者の方が気軽に外出できるように心がけています。
こちらも利用料金は1時間500円。
急増する依頼にどう対応していくかが、今後の課題です。

「今は順調に活動が広がっているのですが、これからは専門的な知識を持った方に入ってもらうことで、仕事の幅がもっと広がると良いなと思っています。
名張地区には昔から、向こう三軒両隣の付き合いがあり、ずっと今も続いています。
高齢になってもみんなが助け合って自立し、最期まで一緒に暮らしていきたける町になってほしいですね。
さらに若い世代の方が転入してきて、交流できたらいいなと考えています」

と、福山さん。

協力会員、大募集中です！