FM三重『ウィークエンドカフェ』2017年9月2日放送

松阪市柚原町。
松阪の市街地から車で30分ほど走ると今回のお客様の拠点地に到着します。
この地域、以前は『宇気郷村』と呼ばれていたところ。
ここに遊んで学べて体験できる場所『うきさとむら』があります。
代表を務めるのは西井玉枝さん。
県内ではとても早いころから村おこしをしてきました。
お食事処では、お母さんたちが作ったおいしいお料理を食べることができます。
うきさとむら、自慢のメニューは『ささめうどん』。
モロヘイヤが練りこまれた緑色のうどんは、自家製の細麺。
「ゆでる時間が短縮できるやろ」と西井さん。
つるっとのどごしさわやか。
仲間のみなさんとおいしいお料理を作っています。

和63年に婦人会で始めた村おこしが『うきさとむら』

始めたのは昭和63年で、本格的に始動したのは平成4年からです。
もう25年になりますか。
今でこそ町づくりや町おこしが盛んですが、当時は私たちだけ。
よそではまだあまりしていなかったと思いますね。
参考にするものがなかったので、1から作っていくしかありませんでした。
ウチは町からのボランティアの方たちがたくさん来てくれ、智恵や技術をお借りして、ここまできました。
よその地域でウチと同じことをしようとしてもなかなか難しいんじゃないかなと思います。
活動を始めようとした理由は、やはり過疎化。
家も人口も半分くらいになり、田畑が荒廃していく中で、なんとかこの村を活性化し、残していかなければならないと婦人会が立ち上がり、いろいろな事をはじめました。
たまたま松阪の木綿センターの田端先生と知り合いだったことから、ここの地域で『松阪もめん』を活かしていこうと、機織りを習いましたし、綿を作って糸を紡ごうという計画もありました。
糸を紡ぐことは実現しませんでしたが、いろいろな方の知恵を借りて活動をしてきました。
そしてたまたまあった空き家の蔵の中から、とても大きな釜が出てきまして、それを活用しようと1000人分の七草粥を炊いてみました。
そこから始まったのが『七草粥まつり』でした。

 

市のスタート、70名を超えるボランティアの支え

周辺田畑の隅に、せっかく無農薬で作った野菜が山積みになって捨てられていたのに目をつけて、無農薬で安心して食べられる野菜を都会の人に提供できないかと、野菜市をはじめたのが『朝市』の始まりでした。
朝市をしても、ただ買って帰ってもらうだけではコミュニケーションも取れないしつながりもできません。
そこで毎月、無料で朝粥をはじめました。
1月は小豆、2月は七草、3月はセリ・・・というように月替りで。
おかゆさんを食べながら、いろいろな会話をして都会の人と仲良くなって。
その人たちが翌月は違うお客さんを連れてきてくれて、またその人とも仲良くなって・・・。
そしてその人たちの中から『ぽんぽこ山』というサポーターが生まれました。
およそ70人ほどで、先生や公務員、警察官、電気屋さん・・・さまざまな職種の方が参加してくれました。
その方たちがボランティアで参加してくれたおかげで、いままでやってこられたわけです。
ここの建物は活動を援助するために、県が中山間地域活性化事業として半分出してくださり、あとの半分は市が出してくれました。

 

続することの大切さ

こんなところで朝市をしても誰が来るんだろうかとの不安、値段の設定や保健所の問題・・・いろいろな問題が出てきつつもがんばってきて、平成9年に13種類の保健所の許可を全部取りました。
そして地域の方とのトラブルもあったり挫折しながらも、サポーターのみなさんのおかげでここまでやってくることができました。
継続することの大切さと重みは、何にも変えられないと思います。
そしてサポーターの存在には本当に感謝しています。
私たちは本当に幸せものです。
やめるというのは簡単です。
しかし困難を乗り越えて継続するということは、いろいろな意味で大変ですが、人生の中の素晴らしい宝物になります。
ボケ防止にもなりますしね(笑)。

『うきさとむら』は、映画『きいろいぞう』のロケ地にもなりました。
使われた古民家は一般公開しています。
撮影をしていたときはスタッフのみなさんの昼食と夕食を私たちが担当しました。
40日間、毎日違うメニューで頑張りました。
そして今でもスタッフの方たちとの交流は続いているんですよ。

 

祭りは今年が最後だった

この夏は、一つの区切りを決めた夏になりました。
夏まつりを20年間開催してきました。
太鼓のライブ、フラダンス、浴衣のコンテストなど、毎年趣向を変えていろいろな催しを行ってきましたが、20周年を機に、夏まつりだけは今年を最後にやめることにしました。
年も年ですし、誰かが倒れてからでは遅いですからね。
前もって、今年で最後だと告知もしたので、いろんな方に来ていただきました。
話も弾んで涙も出して・・・。
苦労してきた分、たくさんの思い出があります。
体を張ってきたので、感無量でした。
よくがんばった自分に、ごほうびをあげたい思いです。
若い方がここに住んでくれるようになってきたので、その子たちがまた別の形で何かやってくれれば、我々も応援しようと思います。

 

客様が美味しいと言ってくれることが幸せ

お客さんが「美味しい」と言って帰ってくれると本当に嬉しいしホッとします。
ここに来て1時間とか外を眺めて、癒されたと言って帰っていくお客さん・・・なんとも言えないあたたかい気持ちになります。
人気なのは、冷たい『ささめうどん』と唐揚げ。
唐揚げはジャズドリーム内の『長島キッチン』でも出しています。
今のところ年間通して売上が一番ということで、そちらのメンバーにもがんばってもらっています。