三重テレビ「ゲンキ!みえ!生き活きリポート」2011年12月4日放送

食生活の変化で一度は衰退した『伊勢たくあん』を蘇らせよう!
県内の農家や漬物加工業のみなさんが、立ち上がりました!





伊勢神宮のおかげ横丁の中にあるお店『傅兵衛』で販売されている『伊勢たくあん』。
三重産の御薗大根を使用し、無添加、無化学調味料で作られており、古風ながら熟成された味が特徴です。



その独特の歯ざわりと風味で、一時は全国に出荷された人気を誇りましたが、生産に手間ひまがかかること、そして食生活の変化によって御薗大根農家は減少。
県内に残る御薗大根の生産農家はごくわずかとなりました。

しかし、最近になって優良な発酵食品として『伊勢たくあん』が見直されてきたことから、農業を営む有志が集い、御薗大根の生産をはじめたのです。



それが『御薗大根栽培研究会』のみなさん!
健康志向などで関心が集まる『伊勢たくあん』の生産を増やそうと、県内の農家や漬け物加工業者、三重県が一緒になって今年の8月に発足しました。
御薗大根を生産し、伝統のある『伊勢たくあん』を商品化、三重ブランドとして売り出すことに力を注いでいます。



御薗大根は、普通の大根に比べて、長めで硬いのが特徴。
今年初めての挑戦ながら、立派な大根に成長しました。



11月の下旬…いよいよ御薗大根の収穫、そして初出荷の作業がはじまりました。
長く、太く育った大根を1本1本きれいに洗っていきます。



その『御薗大根』で『伊勢たくあん』を製造するのは、三井食品さん。
なんと、『伊勢たくあん』の全盛期に三重に工場を設立したものの、原料の御薗大根を確保できず、生産をやめていたそうです。

今回、もう一度商品化に踏み切ったのは、地元の方からの「もう一度伊勢たくあんを食べたい」という声がきっかけ。
大根を生産する農家も、作る工程も大変な『伊勢たくあん』。
だからこそ安売りしない『こだわりの商品』として生産を再開したのです。



工場で行われる最初の作業は、敷地内でのはさかけ作業。
寒風に干してから漬けるのが、『伊勢たくあん』の特徴です。
それが独特の歯ざわりと風味を生み出すのです。
干された大根が、『伊勢たくあん』として食卓に出されるのは少なくとも1年後のこと。
期待と不安の入り交じった熟成期間です。



手間をかけてええ大根をつくる…。
時間をかけて昔懐かしい『伊勢たくあん』を復活させる…。
手間ひまを惜しまないことが、大切なのです。

伊勢遷宮が行われる二年後には、この『伊勢たくあん』が全国から来るお客さんのお土産となる…そんな「夢」を、『御薗大根栽培研究会』のみなさんは、胸にしています。