FM三重『ウィークエンドカフェ』2017年10月7日放送

今回は多気町からのお客様。
『元丈の』の館長、上田宏美さんです。
自然あふれる場所で、いつもお客様と会話を楽しまれています。
雨の日も晴れの日も、いい時間を過ごしていただくように・・・。
想いを込めて足湯の用意をしています。

                    右から二番目が上田さん

草とハーブの足湯

足湯には、冬はもちろんたくさんの方が来てくれますが、夏の暑い時期でも来られますね。
いい汗かいたと言ってもらっています。
ここはさら湯ではなく、薬草とハーブを煮出した足湯です。
毎日焚いては夕方には全部出して、きれいに洗って翌日に備え、みなさんをお待ちしています。

 

呂元丈の生誕の場所『波多瀬』

野呂元丈さんは、八代将軍吉宗の時代に青木昆陽とともにオランダ語を学ぶように言われ、オランダ医学を勉強し、薬草学を究められた方。
ここ波多瀬が生誕の地ということで、記念して造られたのが『元丈の館』です。
波多瀬地区の方は元丈さんをとても大切にしていて、薬草を育てるということに一生懸命です。
波多瀬には薬草部会、花部会、ハーブの会というボランティアの会があります。
元丈の館に隣接した薬草薬樹公園があり、そこは薬草部会が管理。
ハーブはハーブの会、下に咲いている花は花部会がボランティアで育ててくれています。
地元のみなさんはが意識が高いです。
ここは以前の多気町だったところと勢和村が合併して多気になりました。
私は多気地区の人間でしたので、勢和に来て初めて、みなさんのボランティア精神と、地域を大切にする心を学びました。
もともとガーデニングが好きで、ハーブなども作っていました私ですが、ここに来てみなさんの力の凄さを実感しました。

 

湯が薬草入りなのでびっくりされる

観光客の方は、薬草の足湯にびっくりされますが、入って「いい汗が出る」と実感されます。
前回入った人がまた来て、寝るまで足がポカポカで良かったと言ってもらえるのがありがたいですね。
これからの季節は、さらにポカポカ気分になれますよ。
今までに、お二人、杖を忘れて帰られた方がいます。
来た時は杖をついていたのに、それを忘れるくらい気持ちと身体が変わったんでしょうね。
これは入ってみないとわからないと思います。
いい汗をかきますし、むくみも取れるし、血液の循環が良くなるので、足腰が軽くなって帰られる方が多いですね。
地元で毎日来られる人もいますし、離れた地域・・・遠いところでは四日市から月に2回ご夫婦で来られたり、志摩市の和具や浜島からも、「このお湯はここしかない」と言って来てくださいます。
温泉の足湯はいろいろなところで楽しむことができますが、薬草が入っているというのはなかなかありませんね。
私自身、こんなに薬草を使っちゃってもったいないなと思うくらいたっぷりと入れています。
今日はレモングラスをたくさん入れようかな・・・とか、アレンジしながら足湯を作っています。
日によって入る薬草も変わっているんですよ。
カモミールがある時は入れますし、冬になるとみかんの皮を干した『陳皮』を入れることもあります。
その時その時にあるものを追加します。
特に冬は、ゆず。
このあたりはゆずの産地ですし、お湯に入れるとポカポカしますし。
みなさん喜んで入ってくださいます。
お料理に使う月桂樹も入浴剤として優れていることもわかっているので、今の季節はたっぷりと入れています。

 

元のみなさんが採ってきた薬草をつかっている

部会の人たちが採って来てくれた薬草や、お客さんが摘んでくれたヨモギを、私たちが裏で干しているんですが、なかなか追いつかなくて(笑)。
どくだみは薬草部会の方が集めて機械乾燥したものを、使わせてもらっています。
レモングラスとローズマリーは、ハーブの会から私たちが買い上げて、それを毎日入れています。
びわの葉は近くのおばあちゃんたちがくれたりするのを乾かして使っています。
ここはびわがいっぱいあるんです。

アサギマダラという渡り蝶が毎年10月中旬にやってきて、フジバカマという木に乱舞します。
最初は少なかったのですが、波多瀬地区の中で挿し木などで増やし、その葉を乾燥させて使っています。
アサギマダラはフジバカマの周りから逃げないので、カメラマンの方も何年も続けて来ています。
以前、うちの近くでマーキングをされたアサギマダラを見つけた方がいて、それを新聞に投稿したんですね。
その記事を壁に貼っておいたところ、元丈の館に来たお客さんがそれを見て、「これは私が書いた」と。
なんと愛知県の方でした。
いろいろなことでご縁を感じることが多いですね。

『元丈の館』では、ハーブティやシフォンケーキ、うどんなども食べることができます。
ハーブティは、ハーブの会のみなさんが丹精込めて作ったハーブで、レモングラスやカモミールがたっぷりと入っていてすっきり。
元丈うどんは、波多瀬産の青じそが練りこまれてるんですよ。

 

じいちゃんやおばあちゃんが作った野菜も販売

しかし今、波多瀬地区は高齢化が進み、薬草が集まりにくくなっているのが現状です。
私としては、空き地・放棄地を薬草畑にしてもらえるといいなと思っているのですが、私が訴えているだけでは、なかなかね・・・。
おじいちゃんおばあちゃんたちは腰折れで来てくれているくらいですし。
ここは坂なので、電動自転車を駆使して来てくれます。
おじいちゃんおばあちゃんたちが来てくれるのは、生産物を届けてくれるため。
それをこちらで販売させてもらっています。
おばあちゃんたちに申し訳ないくらい安く販売させてもらっているので、もうちょっと高く売ってもいいのに・・・と思うくらいです。
自分たちのために育てた野菜ですから、安心して食べられることが利点です。
確かに虫食いがあったりしますが、それをわかって買いに来てくれるお客さんも増えました。
そういう人たちが喜んで買ってくれることが、おじいちゃんおばあちゃんたちへの報いになると思います。

 

語会やファッションショーを開催したい!

おじいちゃんおばあちゃんたちが喜んでくれる落語の会や、ファッションショーをしてみたいと思っています。
野良着のファッションショーとかね。
いろいろなことをしたいのですが、自分だけだとなかなか実現が難しいというか。
ここの奥に運動場があり、昔は運動会もしたそうです。
ここに来る子どもたちが小さいうちに、あと1回だけ運動会がしたいんです。
あとは盆踊り。
今はなくなってしまったコミュニティを復活させたいですね。
おばあちゃんたちは遠くに行けないので、普段着で来られることをしたいんです。
10月15日に『元丈の館』で、秋の薬草観察会を開催します。
大きなニッキの木の葉っぱを取って、食べて、実際に味や香りを楽しんでほしいですね。
ハーブティやおやつもお出しします。
専門家の先生をお呼びしての観察会もありますので、興味のある方はぜひおいでください!