FM三重『ウィークエンドカフェ』2017年10月21日放送

熊野の駅前、記念通り商店街を歩いていると見えてくるのが『志ら玉屋』。
このお店の一角で毎日、お菓子を作り続けていらっしゃるのが今回のお客様、橋本勝己さんと雅子さん。
蒸し器を開けるとふわ~っと立ち込める湯気に包まれて真っ白なお饅頭が顔を出します。
ご主人が一生懸命に志ら玉を作っている光景は、外からも見る事ができるんですよ。
見事な手さばきで、どんどんお饅頭が作られていきます。

っさりしていておいしいお饅頭

勝己(以下、勝)もらった人が美味しいと言って、また買いに来てくれます。
どんどん食べられちゃうというか。
あっさりしているので、子どもでも喜ぶし。

雅子(以下、雅)甘いものが得意じゃない人も、これなら食べられると買いに来ますよ。

 

代目となってから50年近く作り続けている『志ら玉』

 そやね、代々続いてきて、うちで三代目。
もう継いでから50年あまりになりますわ。
「熊野の志ら玉」と言ったらみなさんに喜んでもらって。
ちょっとは別の和菓子も作っていたそうやけど、主に志ら玉をずっとしています。
先代はやめて、その次の人が受け継いで、それからうちがやっているんです。
もともとは本町通りで営業していたらしいけど、時代が変わり、こちらの記念通り商店街に移って営業するようになりました。

 

んこも手作りで手間がかかっている

 米粉で作った皮で餡を包んだ『志ら玉』は、戦前から熊野にあるお菓子です。
米粉の中でもとくに粘りのある上新粉を使っているので、やわらかい皮ができます。
昔からずっと変わらず、同じ作り方。
米の粉を練って、撞いて、また蒸して出来上がり。
いろいろ手間はかかっています。
あんこも自分のところで作って、さらしてやっています。
朝も、妻は5時に起きて手伝いしてくれます。
変わらない味で、みんなに喜んでもらって嬉しいですね。
志ら玉の食べごろは人それぞれ。
蒸し立てのあったかいお饅頭が好きな人もいれば、ちょっと冷めたころがちょうどいい食べごろと言う人もいます。
みんな自分自身のちょうどいい頃があるようですね。

熊野を離れた人も、帰ってくると懐かしがって買ってくれます。
ここの通りは熊野で一番大きな道路で、昭和40年代の商店街は、いつもすごい人で賑わっていて、『志ら玉』もたくさん売れました。

 

しでも長くやっていてくださいと言われる

 ずっと守らなあかんもんで・・・でも、商売もえらいですわ。
でもお客さんが「少しでも長く営業して欲しい」と言ってくれるので。

 お客さんに支えられて、がんばらないと。

 お客さんのおかげでこうしてやっていられるのだから。
一年の中で一番忙しいのは8月のお盆の時期。
熊野の花火大会もあるし、お客さんも帰って来るし・・・やはり人の出入りがないとね。
花火の時はお店の前もすごい人です。

 一年に一回のにぎわいですね。
あの時の半分でもお客さんが来てくれたらいいんだけど。
でも、毎年花火のときに来てくれるお客さんもいますからね。
熊野の人じゃなくても花火の時期に来て、買ってくれますね。
遠方からもよう買いに来てくれる人もいます。

 

近では外国からのお客さんも

 美味しくなるように手をかけて、みんなに喜んでもらえるように、一生懸命作っています。
みなさんから美味しいと言ってもらえる声がありがたいよね。

オープンした50年くらい前と今とでは、人通りがぜんぜん違うねえ。
昔は人通りもようけあったけどね・・・だんだんとね・・・。
たまに熊野古道を歩いている人が、寄って買ってくれますね。
でもみんな急ぐのか、素通りする人も多いね。

 包み紙も昔のままです。
鬼ヶ城とか、楯ヶ崎が水色と茶色で描かれています。
一番忙しいのは8月だけど、お彼岸も仏さん用に買って行ってくれますね。
そんなことで使われることが多いですが、最近では外国の方もちょいちょい見えます。
こっちは言葉が通じないけど、買いに来てくれます。
これからもがんばって行きたいですね。
子どもが後を継ぐと言ってくれたので、それまではやろうと。
今は桑名のほうにいるのですが、そろそろ帰ってくると言うのでね・・・。