10月も終わろうとしているのに、三重県には台風が迫っていた。
しかも先週末に台風21号がやってきて県内に大きな被害をもたらし、その翌週末に続いて22号が接近中なのだ。
もう勘弁してくれよ、なのだ。
そんな台風の中、サルシカ隊長のわたくしとカメラマンの中谷の父ちゃんは尾鷲にいた。
この日(2017年10月28日)に開催される「尾鷲旬のコツまみバル」に参加するためである。
「まちバル」。
今や全国各地で開催されているので詳しく説明する必要はないであろう。
簡単に言ってしまえば、地域活性化と飲食店の集客支援を目的にして、食べ歩き飲み歩きして様々な飲食店を楽しむ大規模なグルメバルイベントのことである。
三重県では松阪が最初にはじめて、いまでは四日市、津、伊勢、鳥羽でも開催されている。
そんな数ある「まちバル」の中でも、この尾鷲のバルは秀逸なのだ。
なんたって魚の町である。
そもそもはしご酒文化を持つ地域である。
盛り上がらないわけがないのだ。
サルシカ隊長のわたくしは第2回の尾鷲のバルに参加。
愚かにも10店舗もめぐり、もう酔っ払って満腹でフラフラになった記憶がある。
が、あれから4年。
もうわたくしも50歳を越えた。
さすがにあんなバカな暴飲暴食はできないのだ。
で、今回はバルチケット1人分(つまり5店舗分)で楽しもうということになった。
まず向かったのは、尾鷲駅の近くの公園に設けられた「コツまみバル特設本部」。
ここで当日券を購入。
前売り券は、3000円。
当日券は3500円。
チケットは5枚ついているので、前売りだと1軒あたり600円、当日だと700円になる計算である。
「さあ、いくべか!!」
尾鷲のあやしく楽しいはしご酒ツアーに出発なのだ。
「父ちゃん、実はこのバルでは気をつけねばならぬことがあるのだよ」
血はまったくつながっていないものの、なぜか容姿が互いにそっくりで、女性以外の嗜好もほぼ同じである中谷の父ちゃんは、コツまみバルのチラシを眺めつつ、
「なんか恐ろしい仕掛けでもあんの、このバルには?」
「そんなんはないけど、この町には知り合いも多いし、今回のバルであちこちから酒豪たちが集まってきているからね、気をつけないと。
そんな人たちにつかまったら、もういきなり終わりだよ」
などと言っていたら、まるで冗談のように知り合いの集団が前からやってくる。
しかも、すでにすっかり酔っ払っている。
話を聞いてみると、すでに3軒回ってきたという。
が、2軒の店でおかわりをしてチケットを2枚使っているのですでにチケット5枚を使用。
どんな飲み方、食べ方をしているのだ(笑)。
「あ、じゃあ残念! もうこれで終わりなんですね!」
すると、先方のグループにいた身体の大きなおじさんがいうのだ。
「何を言ってるんですか、隊長! 私らがチケット1人分で納得するはずがないでしょう。
ひとり3枚ずつは持ってますよ、わはははは。
さあ、次いきましょう!
いっしょにいきましょう!!
チケットおごりますから!!!」
てなことで、いきなりそのグループに拉致されたのであった(笑)。