FM三重「ウィークエンドカフェ」2012年1月7日放送

今回のお客様は、オーナーの鈴木洋子さんのアシスタントでもあり、『夢古道おわせ』の店長でもある、伊東将志さん。
いつもいろんなことにチャレンジしている伊東さん。
2011年はとっても忙しかったようで…だからこそ充実した毎日だったそうです。
今年はどんな新しいことに挑戦するのでしょうか。

■『百のありがとう風呂』

尾鷲ヒノキの入浴木を浮かべる『百のありがとう風呂』は、そもそも尾鷲ヒノキの間伐材の利用促進のためでした。
それから熊野古道を守るため。
特に去年は水害が多かったので、地盤が弱くならないよう…尾鷲や熊野だけでなく、日本全国の森を強くするために、願いを込めて、このイベントを行って来ました。
驚いたのは、賛同してくれる温浴施設さんが、急に増えたことです。
全国一斉にイベントを行なっているんですが、最初は10軒、30軒、50軒と徐々に増え。
それが去年の9月には、なんと99軒で同時開催!
メッセージを浮かべる『入浴木』も2万枚売れました。

協賛してくださった施設からも、いい企画だと喜んでもらえて、参加するお客さんにも喜んでもらえて。
こういう『皆で一緒にやる』という動きが今までなかったので、これからも考えていきたいですね。

エントリーしてくださった温浴施設さんが99軒というのは、キリが良いんです。
実は入浴木は99枚しか浮かべていないんですよ。
後一枚は「あなたの気持ち」という意味で。
99軒目は、締め切り最終日に飛び込んできたんです。
本当に偶然で、ビックリしました。
この企画について、色々なな意味での『縁』を感じましたね。


■東紀州はひとつ!

昨年の熊野の水害では、道が寸断されたりしたため、わざわざ尾鷲までお風呂に入りに来てくださる方が、たくさんいらっしゃいました。
お風呂に入るとみなさん、「ありがたい」「幸せや」と言ってくださる。
スタッフ一同、改めて自分たちはいい仕事をしているな、と思いました。
ありがとうって言ってくれることがありがたい。
こっちがお客様に、ありがとうと言いたい気持ちです。
僕達も、ただお風呂に入ってもらうだけじゃなく、『絆』というものにアプローチしていきたいですね。

そしてこれからは、東紀州を元気にしていきたいです。
熊野や勝浦の方の水害は確かに大変でしたが、今は道も繋がり、不便はほとんどないんです。
けれど、お客さんの気持ちが「熊野へ観光に」とならないのでしょうか。
観光客がかなり減っているんですよね。
尾鷲までは来てくれるんだけど、その先になかなかお客さんが行かなくなってしまった。
水害を機に、コースが変わってしまったんですよ。

だけど、東紀州は結束が堅いんです!
東紀州はひとつ!
こういう時こそ何かできないか?と、熊野応援企画もしました。
正直、峠があったり市町村をまたぐと、なかなか難しんですが、それでもやると反応が良い!
お客さん次からも好反応で、「いいことやっているな!」と言われたり、「応援したい!」と声が上がったり…。
お客さんも、熊野を応援したいと思っているんですよね。


■おっぱいリレー!?

注)乳がんの発症率は成人女性で18人に1人、40歳以上8人に1人、出産していないと4人に1人というデータが出ています。

『百のありがとう風呂』活動をきっかけに、たくさんの出逢いがありました。
その中の一人が人工乳房を作っている会社の社長さんでした。
そして、医学の進歩により手術で一命は取り留めたものの、乳房を失い、人工乳房を使っている女性がたくさんいることを知りました。
そういう人たちが安心して入れる温浴施設を、どうやったら増やせるか…。
それで考えたのが『おっぱいリレー』。
まずは、この人口乳房を施設の人に見てもらおうと。

実は、現場で働いている人は女性だけど、施設の支配人の95%は男性なんですね。
ピンクリボン活動をしていますよ、と言ってもステッカーを貼ったりライトをピンクにするだけで、何もわかっていない…本質に迫っていないことが多いんです。
これは良くないな、と。

とにかく見てもらって周知させる必要があるわけだから、とりあえず、おっぱいだけリレーさせちゃおうな。
『ありがとう風呂』に賛同してくれた施設の方だったら、きっとわかってもらえはずだから、協力いただいて、やってみようかな。
ネーミングも堅苦しいとやりづらいので、『おっぱいリレー』というキャッチな名前でどうかな。

…なんてことを考えて、10月に、FaceBookにあげてみたら。
なんと2週間で95軒のエントリー!
まだ呼びかけてもいなかったんですが、FaceBook見た誰かがまた他の人とシェアしたりで、どんどん広がっていたんです。
北は北海道の稚内、南は鹿児島の霧島の施設まで。
しかも人口乳房は5つしかないので、メーカーさんに訴えて、急いでサンプルを作ってもらいました。

結局全国を19ブロックに分けて、おっぱいを回してもらって。
参加した施設の中には、男性専門のサウナもあったりして、その意識の高さに驚かされました。

脱衣場では裸になるけど、自宅のお風呂だと、そんなじっくり自分の体を見ないでしょう?
温浴施設施設だからこそ、大きな鏡があってゆったりした気持ちで、自分の体を見られるのではないでしょうか。
そんな女性たちの気持ちを、(支配人である)男性こそが分からないとダメなんじゃないか。
『おっぱいリレー』の件で、そう気付かされました。

参加してくださった中には、女性の支配人さんもいたのですが、実はその方も摘出されていて、だからこそ協力したいと言ってくださったり。
それから、この活動を機に、僕のまわりで「実は知り合いが…」「実は私も…」と、聞くことが増えて。
僕がただ知らなかっただけで、たくさんの人が苦しんでいたんだ、とショックを受けました。


■社会に貢献できる活動を!

『百のありがとう風呂』や『おっぱいリレー』もそうなんですけど、社会全体に何か貢献していく事業をやってみたいです。
僕が企画やイベントなどについて考えていると、いつも誰かがヒントをくれるんです。
なので同じ志を持つ人と一緒に、何かを改善する、アプローチするっていうことにチャレンジしたいと思っています。

今、僕は、『感動ストーリーを生む店づくりセミナー』という講演活動を全国で行なっています。
昨年の8月は東京で、9月は福岡で、先日は名古屋で開催し、1月26日には大阪でも行います。
そうやって各地で『ありがとう風呂』や『おっぱいリレー』などの事例を上げながら、講演しているんですが、そういうところで出会う人が、自分にいろんなものをくれたりするんです。
そういった出会いの中で、同じ思いを持つ人と組めて、社会的な何かにアプローチする仕事をしたいですね。