三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2018年11月4日放送

美杉町丹生俣地区の里山を次世代に残していこうと2018年4月結成された『美杉ノ森ファンクラブ』!
里山保全を目的に、山の手入れやジビエ料理を体験する「里山保全キャンプ」をはじめました!

こちらは津市美杉町の『丹生俣(にうのまた)』。
『道の駅美杉』から、さらに山あいに入った、美杉の一番奥に位置するところです。

 

朝早くから、たくさんの人が集まっていますね。

「私は名古屋からです。
ここ丹生俣に家を購入し、土日だけこちらで過ごしています。
空気も良いし、人も多くなく素晴らしい環境なので、毎週末癒やされています」

 

『美杉ノ森ファンクラブ』運営の萱間修さんに、この日のイベントをお聞きしました。

「今日はワンデイの『里山保全キャンプ』で体験学習を行い、林業での大切な作業、間伐作業を体験してもらいます。
さらに山の循環ということで、獣害駆除された鹿肉を食べるということも体験してもらいます」

『美杉ノ森ファンクラブ』は、今年の春に結成。
メンバーは15人ほどで、丹生俣で林業を営むみなさんが中心。
林野庁の森林・山村多面的機能発揮対策の活動組織として、里山保全キャンプをはじめました。

 

『美杉ノ森ファンクラブ』代表の青木賢治さん。

「林業は非常に厳しいのが現状です。
山林従事者が本当に減少していて、美杉で残っているのは2組ほど。
自然環境が刻々変わっていく時代に、地域を少しだけでも元に戻し昔の『美杉村丹生俣』に近づけたいと思い活動しています」

 

今回はじめての開催となる里山保全キャンプに出発です。
里山保全キャンプが開催されるのは、この急斜面をのぼった山頂!
大変です!

 

こちらが今日の講師である三浦妃巳郎さん。
丹生俣で三代続く林業家で、品質価値を高める木材生産に取り組む一方、地域の抱える問題にも目を向け、世代を超えて幸福感あふれる山村にしていくことを目指しています。
ここでは木のツルを伐る必要性について説明しています。

 

続いては間伐する木の選別作業。
参加者が間引きする木を選び、その理由や必要性をみんなで考えつつ学びます。

「今は鹿の被害が多く、思った木を間伐するのではなく、鹿の被害にあった木から切らないといけません。
鹿が日本の山をだめにしている部分があるんですね」

と、三浦さん。

 

伐採に入る前に木にロープをかけます。

「離れたときに上に上がるようにロープを掛けます」

と、三浦さん。
簡単なように見えて、実はとても難しいのです。

 

倒す方向を決め、木に受け口という切り込みを入れた後、ロープで引き倒す方向を確認します。
事故を防ぐため、作業は必ず二人で行います。

 

さすがに伐採作業は危険なため、参加者は離れて見学です。

「チェーンの使い方や木の切り口など、勉強になりました。
木の1本1本が森を作っていくんだと思うと、こうして手入れをしなければならないんですね」

と、参加者の男性。

「美杉の山全体がそれぞれ個人の持ち物だと思っている人もいますが、実は下流で生活しているみなさんも、山から水やおいしい空気などの供給を受けているんです。
そういう方たちにもっと参加してもらい、自分の生活を豊かにしてもらえるようになってみらえばなと思います」

と、三浦さん。

 

林業体験を終えて、地域を散策したあとは、美杉の魅力満載のバーベキューです。
地域のみなさんも参加して大宴会となりました。
中でも、地元美杉産の鹿肉は大人気!

 

それもそのはず!
実は、『美杉ノ森ファンクラブ』では、森の資源を循環させようと、鹿肉を利用した料理をキッチンカーで販売中。
道の駅美杉やイベント会場に出店しています。

 

「今まで鹿肉は食べたことがありませんでしたが、とても食べやすいですね」

「今は害獣と言われていますが、ありがたく命をいただけることに心から感謝です」

と、参加者のみなさん。

「里山保全キャンプで鹿肉を出そうと思ったのは、ここへ来た時に最初に鹿肉を食べて美味しいと思ったことが一つ。
もう一つの理由は、山の仕事山の暮らしで、農業でも林業でも鹿の害に困っているからです」

と、萱間さん。

午後は講師の三浦さんを囲んで交流会。
しっかり学び、しっかり食べ、充実した1日になったようです。

 

「今日は予想以上に良かったです。
最初は人が来るか、ちゃんとしたイベントになるか心配でした。
でも今日の手応えから、これからもやろうという気持ちが高まりました」

「これからはもう少しイベント的に若い人が集まる、体を動かしたり参加できるような、体験型の企画を考えていきたいですね」

「少しでも半歩でも一歩でもいいので、昔に近づけたらなあと。
私たちが元気な間に行動を起こして、次の世代にで引き継いでもらい、昔に近づいたようなイメージを、美杉町丹生俣に残していきたいですね」

と、『美杉ノ森ファンクラブ』メンバーのみなさん。

次回、『美杉ノ森 第2回里山保全キャンプ』は2018年11月10日(土)に開催予定です!