三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2018年11月11日放送

高齢化や獣害等の影響で農業離れが進み、遊休農地の増加が課題となっている津市白山町上ノ村地区で、自治会の有志が何とか地域を活気づけたいと、住民を始め、他地域の人々、学生、企業を巻き込んで元気な地域づくりを目指す『上ノ村環境保全プロジェクト(KKP)』を発足!
地元学生と共に取り組む獣害対策活動や、企業と手を組んでの稲作やゴマ栽培に取り組むなど様々なプロジェクトを展開し、その活動は昨年度の「農林水産祭 豊かなむらづくり部門」で農林水産大臣賞を受賞しました!

津市白山町上ノ村(かみのむら)地区。
青山高原を見上げる、人口275人ほどのこの小さな集落で、4年前から月に一度のコミュニティレストランがはじまりました。

 

上ノ村集会所で月に一度の土曜日に開催される、『村のレストラン』は大盛況!
地産地消の食事を食べながらみんなで楽しめるこのレストラン、11:30にスタートするやいなや、12:00には主だった料理がなくなってしまうほどの人気ぶり。
毎回40〜50人のお客さんが来るそうです。

 

「毎回、来ています。全出席」

「月に一度のお楽しみです。
長い時間いられるし、たくさんの人とお話もできるし」

「ここは地域の憩いの場かな。
みんなここに寄って、憩って楽しくする・・・大切なことです」

と、お客さんたち。

『村のレストラン』は、地域住民全員でつくる『上ノ村環境保全プロジェクト』が、世代を越えた地域交流の場として月に1度開催。
ボランティアスタッフによって運営されています。
材料代・実費として、ひとり500円、こどもは300円で、誰でも利用が可能。
もはや上ノ村には欠かせない存在のレストランです!

 

『上ノ村環境保全プロジェクト』の代表、大倉信幸さんがいるのは、プロジェクトが始まったきっかけとなる場所。
成願寺の境内です。

「成願寺は上ノ村地区の真ん中にある天台真盛宗の寺院で、子どもたちの学校帰りの遊び場、地域住民の集いの場となっていました。
昔は『成願寺盆踊り』を開催していましたが、ずっと途絶えてしまっていたんですね。
それを平成17年に上ノ村の自治会有志が中心となり40年振りに復活させました」

 

14年前、途絶えていた盆踊りを復活させたことがきっかけで深まった地元住民の結束。
それが、地域の課題に地域住民全員で取り組む『上ノ村環境保全プロジェクト』の設立に繋がりました。
獣害対策を皮切りに、休耕田や遊休農地の利活用。
平成17年には地元の祭を盛り上げる目的で『エイサーはくさん倭人』を結成。
そんな中、地域交流の場としてスタートさせたのが、『村のレストラン』でした。

 

『村のレストラン』当日の朝、9時過ぎからすでに準備は始まっています。

「料理を作るのが好きなので、1ヶ月に1回でもみんなと集まっておしゃべりしながら料理をするのが嬉しいですね。
村の人たちの様子もわかりますし」

と、『村のレストラン』シェフの浜田幸子さん。

 

今回は沖縄料理がメインということで、沖縄出身で二本木在住の岡本美津子さんが中心となっています。

「沖縄そばと、黒糖を使っただら焼き、それから沖縄では麩をおかずに使うので、沖縄から取り寄せました。
なかなか実家には帰れないので、こうやって携わってると故郷に帰った気持ちで嬉しいですね」

 

会場となるホールは、セッティングの真っ最中。
大忙しです!

「調理の方はおまかせしているので、僕は会場の準備をしています。
どのくらいの人数が来るのかわからないので、並べ方に苦労します」

と、スタッフの木村和正さん。

 

沖縄の伝統芸能のひとつで、旧盆の夜に地域を踊りながら練り歩くエイサー。
この日は上ノ村のエイサー隊『エイサーはくさん倭人』のメンバーである益岡大輔さんが、今年の夏に本場沖縄で演舞に参加したことから『おっきな輪(沖縄)デー』を開催。
本場沖縄のエイサーの活動から、地域活動を学ぼうと、この場を設けました。
実は、上ノ村では40年ぶりに復活させた盆踊りに続き、祭りを盛り上げる為、エイサーを取り入れたところ、大人気に!
今では子どもエイサー隊も結成され、津まつりでその演舞を披露するほどの人気ぶりなんです!

 

そして11:00。
お客さんがどんどんやってきます。
食事の提供は、ビュッフェ形式。
こんなに種類が豊富なのに、なんと500円の参加費のみでいただけるとは、驚きですね!

 

デザートは『村のレストラン』パティシエの小川由子さんによる『サーターアンダギー』。

「倭(上ノ村地区)の出身で、母に頼まれたことから、お菓子作りを引き受けました。
今回はサーターアンダギーですが、毎回その時の季節の果物などを取り入れたお菓子を作っています」

 

世代を越えた交流を図る『上ノ村環境保全プロジェクト』は休耕田利用や獣害対策等、様々なプロジェクト行っており、三重大学の学生たちも参加して活躍中。
レストランには、そんな若者たちの姿もありました。

「休耕田を使って何か出来ないかということで、米作りなどをさせてもらっている縁で『村のレストラン』に来ました」

「いろんな情報をもらって、いい経験をさせてもらってます」

「普段だと大学付近で過ごしてて地域の方と交流する機会はなかなかないので、こういう機会は貴重だと思います」

 

村のレストランを終えて、スタッフで反省会。
本当ならここでまかないの食事ですが、今日はスタッフの分もなくなるほど、大盛況でした。

「私のこんな料理でいいのかなと思うけど、美味しかったよと毎回言ってもらえるので嬉しいです」

「ここへ来るとはじめての料理に出会うことができて、私の料理のレパートリーが増えるのが楽しいです」

「子どもの頃のこういう思い出って、おとなになってからの心の糧になると思うので、子どもたちのためにがんばろうと思います」

「僕は裏方仕事で料理作っていませんが、おいしかったよって言ってもらえるのは嬉しいですね。
これから高齢化して、食事を作ることができない高齢者が増えてくると思うので、宅配などもできるようにしていきたいですね。」

と、スタッフのみなさん。

次回の『村のレストラン』は11月17日開催です!