FM三重『ウィークエンドカフェ』2020年1月11日放送

日本人の心のふるさとと言われるお伊勢さん。
去年は850万人の人が参拝に訪れました。
今日は、お伊勢さん観光ボランティアガイドとして活動する阿形智恵子さんがお客様です。
ガイド歴は、20年。
いつも神宮でお客様をお迎えしています。
はじめて神宮に来られる方にはお参りの作法からご案内します。
神聖な空気を感じてもらい、伊勢まいりがより良いものになるよう願っています。

宮の参拝者を増やすためにボランティアガイドの会ができた

内宮の方に高速道路ができ、車で来る方は外宮に寄らずに直接内宮へ行かれるようになりました。
そのため、外宮に参拝する方が激減しました。
外宮界隈の方たちが、お伊勢さんの外宮をもっと盛り上げようという運動が起こり、ガイドさんも設けてご案内しようということで、平成7年にガイドの会ができました。
私はその頃フルタイムで仕事をしていて、退職したのがその2年後。
平成10年のガイド募集にすぐに申し込み、ガイドをスタートしました。
今のようにいろいろ決まっていなくて、案内をするところもなかったので、観光協会からお電話で依頼を受けて、こちらに来て、ご案内をさせてもらっていました。
または、「明日予約が入っているのでよろしくお願いします」と。
その頃はそんな形で活動をしていました。

 

いではなく感謝の気持ちを伝えるところが神宮

鳥居の外は日常一般の生活の場ですが、第一鳥居をくぐって入られると、そこは神様の神聖な場所です。
鳥居の前で一礼し、域内に入ると「全く雰囲気が違う、気持ちいい・・・」とたくさん言っていただけます。
それだけでもお参りに来た価値があると思います。
お参りするときに、みなさんいろいろ自分で思っていることがあるかと思いますが、御正宮でお参りするとき、伊勢神宮は『平穏無事に』。
いわゆる『五穀豊穣』『世界平和』『子孫繁栄』という三本柱でお参りのお祈りがされています。
私たちがここに来て、楽しく生きることができるということは、世界平和や家庭安泰、子孫繁栄があってできることなので、そのためには『お守り』をいただいて感謝するということが、伊勢神宮にお参りするということだと、お客さんにお願いしています。
外宮内宮含めて『伊勢神宮』と言ってもらっていますが、外宮内宮、それ以外の摂社・末社・所管社を合わせた125社、それらを全部合わせて『神宮』というのが、正式な名前でございます。

 

宮は食の神様。基本的に自給自足

外宮はお食事の神様です。
天照大神にお食事をお供えするとか、別宮の神様と一緒に食事をするなど、食の神様となっています。
そこでお食事をされる『御饌殿』というのがあります。
御饌殿は御正宮から見えるところもありますが、正確に間近では見られませんので、写真やパンフレットで見ていただいて、こちらで神様に朝と夕方の2回お食事をお供えしていますよ。
豊受大神をはじめ、天照大御神様もこちらにいらして、別宮の神様もみんなご一緒にお食事されますよとご説明します。
すると「どんな食事なんだろう」と言われる方がいますので、またお写真を見ていただいて、説明させていただきます。
外宮の場合は、神様にお供えするものは『自給自足』するのが建前となっています。
ただ、お魚や海藻類は養殖できませんので、昔から決められたところからお納めしていただいています。
お米はちゃんと作っています。
そしてお野菜は二見の方に神宮御園という場所がありまして100種類以上の野菜や果物が作られています。
お塩も二見で粗塩を作っていただいて、それをお祓いやお食事になど、全部に使っています。

 

礼はいらないので、ボランティアガイドの宣伝をお願いしている

お客さんによっては、なにかお礼を・・・と言ってくださる方がいますが、何もいりません。
それより、お家に帰られたら、ガイドさんに案内してもらったことを話してもらって、その宣伝だけをお願いしています。
毎年年賀状などを送ってくださる方もいれば、長いこと続いてくださる方もいます。
私は、自分の本心としては一期一会という気持ちでご案内させていただいてますので、お客さんを差別せず、その人に合ったご案内の仕方を、少しでも興味を持ってもらうような形で、案内させていただいています。
お客様が知りたいこと、お参りをしたいところを聞いて、その人たちに合った
プランをたてます。
だからお客さんも最初は不安そうな顔をしていますが、途中から乗ってきて、もうちょっと時間を伸ばしていただけませんか?・・・と言われることも多々あります。
さようならをするときの気持ちは、やっぱりご案内させてもらってよかった・・・といつも心から思います。

「自分だけで来るより、ご案内をお願いして良かった」
そんな声を聞くと、本当にやめられません。
だから続けられるんですよ。