FM三重『ウィークエンドカフェ』2020年2月29日放送

毎年、一年の厄を払う日として、3月の初午の日は、観音参りをする風習があります。
松尾詣でという人もあり、伊勢、松尾観音寺の境内はにぎやかです。
今回は『松尾観音寺』の住職、木造隆誠さんがお客様です。
松尾観音寺は、日本最古の厄除け観音寺と言われ、奈良時代のはじめ、行基(ぎょうき)によって開かれました。
本堂の裏にある2つの池には雄の龍と雌の龍がそれぞれに住んでいて、観音様を守っているという言い伝えがあります。
全国から多くの人が訪れます。

年は色々な意味で始まりの年

うるう年ですので、特別なお参りに来られる方もいます。
4年に1回ですので、最後の日にお参りに来たいと言われる人が多いですね。

今年はいろいろな意味で始まりの年です。
令和の丸々一年の始まりが令和2年、そして1年の始まり、そして干支もねずみ年ということで、干支十二支のはじまり・・・3つのはじまりが重なっている、あまりない年なんですよ。
みなさんやはり、一年の厄を払うというお参りは、年が変わってされる方がいいのですが、昔は三重県では古い習わしで、3月に入って初めての午の日に一年の災いを払う祈願をすると良いと言われています。
今から1300年前に開かれたお寺ですが、その前から雄と雌の龍が住んでいて、私たちの不幸を払って、福を招いてくれると伝えられています。
初午には全国の方々がお参りに来られます。
結構お問い合わせも多く、平日なので何時頃までお参りできるのかなどを聞かれます。
御祈祷受付、参拝時間は8:00~20:00となっています。

 

堂に入るとすっきりとすると言ってもらえる

一般的に厄年は、前厄・本厄・後厄の3年間お参りされます。
そして4年目に『お礼参り』をするのが一般的ですね。
うちの場合はどちらかというと、厄年に関係なく1年の災いを振り払うということが多いです。
占いなどを読んで、あまり運勢が良くなかったりして来る方もいれば、1回縁があって厄年にお参りいただき、それから毎年来られて家族みんなの無事を祈られるという方もいます。
それぞれのお参りが、みなさんありますね。
本堂に入ってご祈祷を勤めさせていただいて、みなさんに御札をお渡しすると、みなさん、「スッキリした気がする」と言われますね。
日本人の精神的な部分の一番根幹にあたる、そういうものを感じてもらえると思います。
女性の33歳、男性の42歳は特に活発に活動される時期になるので、そういう意味で気にされることが多いと思います。
まわりからも「お前、厄年だぞ」と言われたりしますしね。
本人からみても、33歳、42歳は特別な年と捉えられると思います。
還暦って本来は、昔はお祝いだったんですよね。
時のごとく『暦が還える』と書きます。
干支十二支を、昔は『還』と言ったんですね。
干支十二支と『還』で一年を表していたんですね。
いわゆる子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥の干支と、また別に『丙(ひのえ)』と『庚(かのえ)』が『還』となっていました。
だから昔は、今年は何年かと尋ねると「何年の庚の申ですよ」とか「丙の子ですよ」とか答えていたのです。
その生まれた年の干支と還と同じ組み合わせが回ってくるのが60年に1回。
干支が回って還も変わって、暦が変わるから『還暦』なんですね。

 

年はうるう年なので、特別な祈祷もする

今年は3月3日と4日の2日間がお祭りとなります。
毎年初午だけ特別の秘法があり、それでお勤めをするのですが、今年は4年に1回ということで、さらにまた少し違うご祈祷の秘法となります。
そういう意味では、4年に1回の特別なご祈祷を受けられるということになります。
毎月18日は観音様の『ご縁日』ということで、一ヶ月のなかで、一番観音様と5円が結ばれる日となっています。
この日もたくさんの方々がお参りに来られます。
「来年もまた来るからね」と言ってくださる人もいますし、特に九州や北海道など遠方から来られる方々は、こちらにとっても印象深いですから、毎年来てくれる方もは覚えています。

神宮さんに行かれてからこちらに来る方、またこちらを参拝してから神宮に行かれる方々・・・神宮さんがすぐ近くにあるので、ありがたいですね。

 

年99歳の人から来年もお参りに来ると約束された

次は70歳、77歳、80歳とお祝いが続いていきます。
昨年のお祭りの最高齢が99歳でした。
99歳で去年お参りしてもらって、来年100歳でまたお参りするねと約束されて帰っていきました。
あと、最近は御朱印帳ですね。
女性に特に人気ですね。
確かにお参りしてから御朱印をもらっている人が多いです。
御朱印はもともと、お寺の文化で、般若心経を写経したものを奉納して、お寺が「確かにお預かりしましたよ」という意味でご本尊の印を押したことが、御朱印の始まりなんです。

お寺の窓口に来られた方には、なるべくお声をかけるようにしています。
きっかけはなんでも良いと思います。
それこそ御朱印がきっかけでも、そこのお寺で珍しいものが見られるとか、花が綺麗だとか・・・。
とにかく、きっかけは何でも良いので、みなさんが神社やお寺にお参りしてくれるのは、とても良いことです。

一年を無事に過ごすご祈願を3月の初午でする、という昔からの古い風習の機会に、ぜひとも松尾観音寺に来ていただければと思います。