三重テレビ「ゲンキ!みえ!生き活きリポート!」2012年6月10日放送

林業の衰退と山の荒廃を食い止めるために、ボランティアで山の手入れ!
さらに、東日本大震災の津波で、カキ養殖用の筏が流れてしまった岩手県の牡蠣養殖業者に、間伐材を届けます!

今回ご紹介するのは、松阪市を拠点に山林の間伐作業を行なっている『森林ボランティア ぽんぽこ山』です。
作業を行なっているのは、林業を職業としている人たちではなく、ボランティアとして参加しているメンバーのみなさん。
活動前はチェーンソーを触ったこともなかったという人が、ほとんどだそう。
結成されて今年で14年。
現在10名のメンバーが、完全無給で活動しており、この日は6名が集まりました。


『ぽんぽこ山』が活動を始めた背景は、国内の木材価格が下落し、間伐などの山の手入れをする費用もない現実。
そして、それに伴う林業の衰退と、山の荒廃です。

しかし、山の仕事は常に危険と隣り合わせ。
体力だけでなく、知恵と経験が必要です。


『森林ボランティア ぽんぽこ山』代表 上村 眞由さん

上村「私はこの『ぽんぽこ山』を立ち上げる前に、松阪の山中で山の専門家に付き、2年間修行しました。
林業を含む一次産業は、勉強も必要ですが、体験的知識というのが必要なんです。木の一本一本、切り方も違いますし。そういった意味で経験者に教えてもらう必要があるんですね」

他のメンバーも上村さんから教わったり、別の場所で勉強しているそうです。


そんな『ぽんぽこ山』が現在行なっている活動の一つが、ヒノキの間伐材を岩手県へと送ること。
岩手県では牡蠣養殖の筏が流出するなど、壊滅的な被害を受けました。
そこで間伐材を、養殖筏の材料に使ってもらおうと考えたのです。
昨年の秋には県内で伐採したヒノキの間伐材、140本をトラックで岩手県へ送りました。

上村「ボランティアで被災地を訪れていたんですが、帰って来て、ふと、この木を被災地に送れないかと考えたんです。そこで筏養殖の現状を向こうの漁協に調べてもらったところ、やはり筏が流されてしまったため、仕事がないと。そこで励ましの意味も込めて、間伐材を送ろうと思ったのです」


間伐作業には、呼びかけに賛同した、他のグループも協力。
最初、直接トラックで材木を持って行ったところ、話は聞いていたものの半信半疑だった先方は、びっくりしたそうです!

岩手へ間伐材を運んだ回数はこれまで2回で、約270本。
さらに現在乾燥中の間伐材も、梅雨が始まる6月には運ぶそうです。


一方、この日は、大台町立大台中学校の女子生徒たちが、『ぽんぽこ山』の作業のお手伝い。
危険が伴う作業なだけに作業の前には、しっかりヘルメットを装着。
間伐作業の手順やその必要性についても、上村さんたちからレクチャーを受けました。

初めての間伐作業は、切り落とした枝の片付けです。


大台中学校教諭の山添和重さん。
上村さんとは10年来の親交があるそうです。
上村さんから「東北へ間伐材を届けたい』と相談を受け、後押ししたのも山添さん。
みんなの「やりましょう!」の気持ちから始まった間伐作業。
それが、遠く離れた東北のゲンキにもつながったのです。

山添「今回生徒たちを作業に参加させたのは、東日本大震災があって一年たちますが、現場に行った人の話を聞き、これからが大事なんだということを子どもたちに感じて欲しかったんです。
また、山や自然の学習をすることはとても必要ですし、実際に体験して感じてもらうのが大きかったですね」


ひと仕事終えたあとは、みんなでお昼ご飯です。
みんなで汗をかき、同じ釜の飯を食べることで、会話も弾んで、思わず笑みがこぼれます。

「動いた後は、ご飯がうまいね」
「作業は大変だけど、人と人のつながりが素晴らしいので来ています」
「空気の良いところで、寿命が延びたような気がする」

などなど、メンバーたちの言葉から、このボランティアをいかに楽しんでいるかが、伝わってきます。
メンバーの中には、なんと名古屋から来ている方もいるんですよ!

行き帰りの交通費も、自己負担。
チェンソーなどの道具も、全て自分持ち。
しかし大切な環境のため、地域のため、そして、日本の絆のために『ぽんぽこ山』のみなさんは汗を流します!