三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2020年8月2日放送

四日市市の障害者自立支援施設・共栄作業所では、『共栄の織り』と名付けられた障がいのある人達が織り上げたモノを、様々な製品にして販売しています
その取り組みは『織りの郷プロジェクト』と名付けられ、地域の人々・共栄作業所・企業が手を組んで活動!
特に地元の寺院の住職の発案から始まったのが、織物を使った寺院関係者への輪袈裟(わげさ)や、門徒式章・参拝用のバッグの製作。
これらは、大変人気を博しています!

四日市あすなろう鉄道の『追分駅』から徒歩11分のところにある『正久寺』の安田住職。
安田さんが付けているのは『輪袈裟(わげさ)』と呼ばれる、僧侶が首にかける袈裟の一種です。

「この輪袈裟はもちろん私が作ったものではなく、『共栄作業所』という障がい者の作業所で作られたものです」

 

四日市市の障がい者自立支援施設『共栄作業所』では手織りで作成した様々な製品を『共栄の織り』としてブランド化。
『共栄の織り』を多くの人にしってもらおうと地域や企業が協力して『織りの郷プロジェクト』が展開されています。

 

『共栄作業所』は昭和52年に三重県で最初にできた就労施設。
四日市市社会福祉協議会が運営を行い、就労継続支援B型の施設として、現在およそ30人の知的障がい者が通所しています。

 

こちらではいくつかの作業が行われています。
銅線のリサイクル作業、ダンボールを組み立てる作業、そして四日市市で使われる封筒に点字加工をしていました。

 

「一生懸命していて楽しいです。
楽しいので、難しいことや大変なことはありません」

「仕事があること、仕事ができることが自信に繋がります」

と、就労者のみなさん。

 

別棟で行われているのが、織物の作業です。

 

種類がとても多いですね!
取り組みをブランド化したロゴも付いています。

 

共栄作業所長の藤田勝彦さんにお話をうかがいました。

「共栄作業所で2003年から開発・製造に取り組んできた織物をブランド化したのが、こちらの『共栄の織り』です。
さらに売れるものへと発展させようと、安田住職のアイデアでスタートしたのが、寺院関係者や地域企業をつなぐ『織りの郷プロジェクト』です。
輪袈裟や門徒式章など、商品の開発をはじめました」

 

2019年8月には全国の僧侶、寺院関係者に向けたインターネットの通販サイト『織りの郷』を開設。
予想を上回る売上にみなさん驚いているそうです。

 

織りの工程は大きく分けて3つ。
まずは縦糸の縦糸作り。
いろいろな色の糸を使って、約7mの糸を利用者の人と一緒に作ります。
商品に糸の本数は変わり、カバンで220本ほど、輪袈裟で180本、ネックストラップだと9本…本数を調整します。

 

2つめは、機織り機にたて糸を通す作業。
細かくて難しい作業のため、スタッフといっしょに作業します。

 

3つめは、いよいよ織りです。
現在利用者は13名ほど。

 

それそれの人が持つ個性で色彩や色合いが変わります。
どれ一つをとっても、同じものは2つとありません。

 

『共栄作業所』を運営する四日市市社会福祉協議会福祉支援課長の渡辺昭仁さんにお話をうかがいました。

「社会福祉協議会は誰もが安心して地域で暮らしていけるよう地域の皆様と一緒に地域福祉を進めております。
このプロジェクトでは地元の企業のみなさまや住職のお力をお借りいたしまして、いろんなアイディアをいただいて、今やっと軌道に乗ったところで大変感謝をしております。
お客様に商品を手に取ってもらい、感動の声をいただいたり、ご注文いただくことが利用者の方の喜びや生きがいやりがいになっております」

寺院関係者や地域企業の協力。
通所者とスタッフによる本格的な商品の開発。
そのたて糸とよこ糸が、福祉という枠組みを越えた、売れるものづくり、仕組みをつくろうとしています。

「障がいのある人たちが、なるべく地域の中で楽しく生きくために、私たちお寺が少しでも支援ができると嬉しく思います。
織りを通して、私たちも買うことで支援をしていきたいと思っております」

と、安田住職。

「『織りの郷プロジェクト』の織物、他にも行っている銅線のリサイクル作業、ダンボールを組み立てる作業、封筒への点字加工作業なども含めて、みんなで頑張って取り組んでいきたいと思います。
そしてここの利用者の取り組みを含め、自分のことも周りの人のこともお互いが意識し合えるような福祉の社会になればいいなと思って日々頑張っています」

と、藤田さん。

共栄の織りはどなたでも購入可能です。
興味のある方は『織りの郷』のHPへどうぞ!