三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2021年1月17日

多気郡明和町できゅうりを中心に野菜の栽培・収穫・出荷を行う『iBroom』!
代表の濱口仁志さんは、元料理人。
素材の大切さに気づいた濱口さんは、素材をつくることに興味を持ち、全く農業経験がない中で始めることに!
その後、きゅうりの栽培をはじめた所、きゅうりの面白さに気づき、現在では1日最大3000本のきゅうりを出荷。
採れたてきゅうりの販売を行ったり、出荷できない曲がったきゅうりを活用して佃煮にするなど、6次産業化も行っています!


明和町に、地域を巻き込み、そして農業のイメージを一新する取り組みをしている農家さんがいると聞いてやってきました。
それがこちら『iBroom』!

 

きゅうりを中心とした生産農家ですが、農業にまったく縁のなかった代表の濱口仁志さんが6年前にスタート。

「うちでは『きれい・稼げる・かっこいい』の3Kの農業を目指します!」

そう目指す濱口さんのもと、現在は11名のスタッフがいるまで成長。
6次産業にも積極的に乗り出し、これまでの農業のイメージを一新しようとがんばっています。

 

濱口さんの前職はイタリアンの料理人。
なぜ農業に転身しようと考えたのでしょうか。

「当時のシェフが『大根を食べてみろ』と。
食べたらとても瑞々しくて甘くて、果物の梨のような感じがしたんです。
あまりにも美味しいので、オリーブオイルと塩でお客さんにお出ししているうちに、素材の味が大事なんだと気づき、素材を作っちゃおうとということで始めちゃいました。
最初に取り組んだ野菜はスイートバジルでした。
が、JAの方や農業普及所の方々から『きゅうりをやってみたらどうだ?』と言われまして。
最初はダサいと思ったのですが、はじめてみたらとてもおもしろくて、ここまできました」

 

そしてわずか6年で、ビニールハウス11棟を管理するまでに急成長!
25℃に管理されたハウスの中、なんと1日の収穫量は3000本!

 

きゅうりの生産について、栽培管理の幸田千勝さんにうかがいました。

「きゅうりの収穫は1日に午前と午後の2回。
新鮮なきゅうりはゴツゴツしているというか、トゲ感がしっかりしているので、そのあたりも感じてほしいです」

 

収穫を終えたら続いて出荷。
『iBroom』は基本卸販売。
スーパーや飲食店に卸されています。
ビニールに入れず、あえて花をつけたま、トゲが鋭いまま出荷することで新鮮さをアピールしています。
穫れたものをなるべく早くお客さんに届けたい。
収穫を午前と午後にわけているのもそのためです。

 

配達は濱口さん自らが行います。
やってきたのは、イオンモール明和。
生鮮食品売り場の目立つ場所で、きゅうりを陳列していました。
なんと収穫からまだ30分も経っていない超新鮮なきゅうり。
花をつけたままの販売方法も話題となって、連日完売の人気商品となっています。

 

そして『iBroom』を紹介する上で欠かせないのが、スタッフの若さ。
何より畑で活躍する若い女性の姿です。
そこに「きつい、汚い・危険」という3Kのイメージはありません。
これからの可能性を切り開く新たな農業の姿です。

「農業は初めてです。
暑くて大変ですが、収穫するときは楽しいです!」

「専業主婦で、このお仕事をさせていただいています。
運動というか、身体を動かすことはとても気持ちが良いですし、体力もついて自分にとってもプラスだと思っています」

「自分たちで育てたきゅうりを、美味しいと言って買ってくださる方の意見などを聞くと、がんばって良かったなと思います」

と、スタッフのみなさん。

 

さらに『iBroom』では、農業や漁業を営む人が、生産した食材を加工品にして流通・販売させる6次産業化にも積極的に取り組んでいます。

 

元料理人である濱口さんの強みを生かしたのがこちら!
『ひとしのきゅうり佃煮』!
曲がったきゅうりを美味しく食べてもらうために開発しました。
イラストに描かれているのは、もちろん濱口さん。

 

一般的にスーパーなどで販売されているきゅうりのお漬物とは違い、甘辛く佃煮の味付け。
シャキシャキとした食感にもこだわったため、試行錯誤を繰り返したそうです。

 

ごはんだけじゃなくてお酒にも合うものを…ということで、こんな新商品も開発中。
『iBroom』のきゅうりを鶏肉で包んだ『うまからどり』。

 

トマトときゅうりを煮詰めて仕上げたディップトマトは、現在スタッフといっしょに鋭意開発中。
いまから販売が楽しみです。

 

「ハウスを十分に活用して収穫量を増やしていきたいと考えています。
いつも思うのは、楽しくなれば良いなということ。
イベントや農業を通じていろいろな人に『iBroom』のことを知ってもらい、いろいろな楽しいことを町全体していきたいと思っています」

と、濱口さん。

いま明和町でも、高齢などを理由に離農する人が増え、休耕地が広がりつつあります。
そんな中でまぶしく輝く新星。
濱口さんが率いる『iBroom』は、農業のイメージ、業態、そしてスタイルを大きく変えようとしています。