FM三重『ウィークエンドカフェ』2021年2月13日放送

今回のお客様は松阪市にある『お菓子茶屋1010番地』のパティシエ、小泉直也さん。
色とりどりのカカオの実を手にして、チョコレートのお話が始まります。
カカオ豆から作られるチョコレート。そのカカオの含有量が高く、原材料として使われるのがクーベルチュールチョコレートです。

ョコレートの種類は3つ。現在は第4のチョコレートも出現!

クーベルチュールというのは国際的な規約がありまして、例えばカカオが35%以上で、そのうちの31%はカカオバターじゃないとダメなんです。
これが国際的なルールですね。
ただ日本はそういった規格の外というか、もうちょっと大雑把で、カカオバターに植物油脂が入っても『チョコレート』とはされています。
カカオバターの比率が低いチョコレートは、一応『準チョコレート』とされ、『準』という文字が入っていると思います。
ヨーロッパなどでは『クーベルチュール』と名乗るには、先程の条件が厳格に必要となります。
うちで使っているチョコレートは20種類のうち、17種類がクーベルチュール。
細工物とか加工するのに、違うカカオバターの油脂が必要なこともあります。
チョコレートには『クーベルチュールノワール』、『クーベルチュール・オレ』・・・これはミルクチョコレートですね。
『カフェオレ』の『オレ』です。
ホワイトチョコレートは『イヴォワール』と呼ばれ、『象牙』の意味を持っています。
大きく分けるとカカオのダーク、ミルクとホワイトの3種類。
最近第4のチョコレートと言って、ビスケット味のチョコレートや、ここにもおいてあるルビーチョコレート。
今これが流行りです。
何も入っていないチョコレートの色で、ピンク色が出るんです。

 

ーロッパではチョコレートの専門職人はショコラティエと呼ばれている

もともとお菓子屋とチョコレートというのは結び付きが強いというか。
しかしヨーロッパではお菓子を作る人はパティシエ、チョコレート作る人はショコラティエといって、別物です。
もちろん兼務されているお菓子屋さんもたくさんありますが、一応ショコラティエはヨーロッパでは単独で当たり前のようにいます。
チョコレートは素材もそうですが、固まる過程の技術も必要です。
特にクーベルチュールはただ溶かして容器に入れて固まるかといううと、固まらないんですね。
カカオバターというのは特殊な油脂で、いわゆる『テンパリング』という調温をしないと固まらないし、艶が出ないとか。
また、凝固したときに若干縮むんですよね。
それによって方から外れやすくなるとか…そういった特性があるので、クーベルチュールを扱うのが、お菓子屋さんやショコラティエは必須となってきます。

 

後は素材を自分で作りたくなる

本当に、実際に作っていると、最終的には素材自体を作りたいという思いが出てきます。
うちはブルーベリー農園があります。
始めてから思うのは、やはりそこからするからこそ、いろいろなアイディアが出てくるそ、そのもの自身の知識もグッと深くなります。
他のお菓子屋さんよりも、僕はブルーベリーに詳しいですし。
そういうこともあるから、もしもチャンスがあればカカオの木も育ててみたいですね。
ベトナムにあるカカオ農園まで足を運びました。
カカオの木は面白いです。
木がありますよね。
普通は枝が出て葉っぱがあって、そこに花が咲いて実がなるのですが、カカオの木は、幹からいきなり花が出て、実がなるんですね。
木の幹に実が何個もぶら下がっているんです。
これを初めて見た人は、本当に驚いたと思います。
学術名は『テオブロマ』といい、意味は『神々の食べ物』というギリシャ語です。
それくらい神秘な姿ですよ。
森の中に木があって、幹からいきなり身がついているのを見つけたら。
花もとても白くてとても可憐なんですが、幹から出ているんですよ。
感動しますよ、これは。

 

かに贈るものを作っているということは、その人の思いを受け持つことになる

夢を売るような商売ですから、それにふさわしい商品にするということを考えています。
お店を始めて26年になりますか。
学生の頃、アルバイト先のレストランでデザート部門を担当させていただいたのがご縁だったのかもしれません。
真っ黒で野球しか知らなかった自分がまさか、お菓子を作るようになるとは思っていませんでした。
特にいま、バレンタインの時期、自分が食べない…つまり人に贈るものを買いに来てくれるというのは、その人の思いも受け持つことになるでしょう。
そういった商品は僕も思い入れがありますし、買っていただいた方に「このお店だから喜んでもらえる」という思いを、数倍にして贈り先に届けたいなと思っています。

チョコレートは面白いです。
どんな形にでもなるし、飾り付けにもなるし食べて美味しいし。
ですから、やりだすと止まりませんね。