三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2022年3月13日

空き家が目立つ旧市街地の現状を目の当たりにしたことからリフォームに特化した工務店を立ち上げ、更に踏み込んだ活動を進める為、『一般社団法人 つなぐ』を設立しました!

名張市・旧市街、初瀬(はせ)街道に来ています。
大和と伊勢を結ぶ いにしえの道で、歴史を感じさせる建物が数多く残っている場所です。

 

このあたりで、古い町家や古民家を有効活用して、地域を盛り上げようしているのが、古民家事務所『イエノキ』!

 

こちらが『イエノキ』の代表、野山直人さん。

「僕は『イエノキ』という名前で、特に旧市街地の古い建物中心に、リフォーム・リノベーションに特化した工務店をさせていただいています。
さらに、新しい取り組みとして『一般社団法人つなぐ』を昨年立ち上げまして、地域の古民家を活用して、現在、コワーキングスペースを絶賛制作中です!」

と、野山さん。

『つなぐ』の代表、野山さんは名張市出身。
大阪や奈良で建築関係の仕事をしたのち、ふるさと・名張へ戻り、2017年に独立。 
旧市街地の古民家を事務所として改装、2021年からは新たな活動として、地元の大学生とともに古民家や空き家を活用したまちづくりを目指しています。

 

「建築は0から1、無から有を作る仕事だと思うんですよ。
とても想像力が必要なんですが、その想像力を子ども時代に鍛えてもらったのがこの名張という土地でした。
自然の風景とか、動物たち、遊びであったりと、すべてが活きていると感じます。
やはり、この自然の中で子どもを育てたいという思いで戻ってきました。
帰ってきてすぐは、なかなか見えなかったんですが、何年か経つと地域の空き家などがどうしても気になってきたんですね。
空き家問題を、建築で何とか解決できるのではと考え始めました。
そこでまず『直す』というリフォームとかリノベーションに特化した工務店を立ち上げました。
しかし、ただ建物直すだけでは活動が限定的なので、『一般社団法人つなぐ』を立ち上げてもっとソフト面から幅広くやっていこうと、今いろいろな活動をしています。
とても難しい問題ですから、僕だけが作るのではなく、町の人たちと一緒に作っていくことなのかなと思います。
そうでないと町にうまく馴染まないし、1日ではできないことですが、そこが大切だと思っています」

と、野山さん。

 

こちらが『つなぐ』として現在制作中のコワーキングスペース『FLAT BASE』。
まだ完成はしていません。

 

建物の持ち主は北森仁美さん。

「これから、この場所を北森さんと一緒に運営していこうと思っています」

と、野山さん。

「こちらは夫の母の実家でしたが、祖父母が亡くなったことによって空き家になってしまいました。
近所の方がいつも集まって下さるような場所だったので『人が集まる場所』として続けていきたいという思いで作らせてもらいました」

と、北森さん。

空き家になっていた北森さんの義理の祖父母の家をリノベーション。
コワーキングスペースとコミュニティスペースを設けた交流施設『FLAT BASE』に改装しています。

 

「杉の木を使って自然の温かみのある場所にしました。
掘りごたつも、町行く人たちが通られた時に目線が合うような形で。
一つの机を囲むというのはやはり、あたたかい雰囲気があるので、仕事をしている最中でもちょっとした時お話ができたりとか、繋がりを持ってお仕事をできる関係にしたいと思っています」

 

「大きくリフォームして見た目は変わりましたが、小さな思い出がたくさん残った場所になっています。
例えばこの梯子も、私の子どもたちが冒険ごっこをしたり、夫も幼い頃遊んでいたという思い出話を聞いたり…とっても思い入れがあるものなんです」

と、北森さん。

 

こちらはまだ工事中の2階。
古い梁が素敵で、秘密基地のようです!

「そうなんです!
まさに『FLAT BASE』のコンセプトは『秘密基地』なんです!
こちらの部屋は小さなミーティングルームになっているので、ちょっとクローズなお話や商談などに使っていただけます。
お仕事だけど、どこかホッとできてワクワクできるような造りになっています」

 

こちらには更に小さな小部屋が!
自分の空間でギュッと集中したいとき、または昼寝などにも使うことができますよ!

 

2階のもうひとつの部屋は、コミュニティスペース。
イベントや教室、勉強会などに使ってもらう予定だそうです。

「私自身が子育て世代ということで、何人ものお母さんに出会うことがあります。
若い頃に仕事でしていたエステやネイルなどを、また再開したいと思っていてもお子さんがいると、場所も含めてなかなか難しいですよね。
そんなときに、背中をポンっと押せるような場所になりたいなと思っています」

と、北森さん。

 

野山さん、北森さんに『一般社団法人つなぐ』の立ち上げについてお聞きしました。

「名張市の補助事業『テレワーク施設等整備事業』に応募したのがきっかけです。
空き家活用・空き店舗活用・空きスペース活用…3つの柱があり、僕たちはその中で『空き家活用』に手を上げました。
その流れと同じぐらいの時期に法人を設立して、北森さんとも出会って、ここの物件に辿り着くという…徐々に徐々に集まってきたという感じです」

「最初は、こういうスペースにするというよりは、私が仕事をできる場所で、風が通ればいいや、使わないのがもったいないなというくらいの気持ちでした。
そこで家のリフォームを野山さんに相談したところ、『つなぐ』の活動を知り、意気投合したことで、場所の提供を決めました。
『つなぐ』はそういう事業に応募したい、私はここの場所を使って町を応援したい。
仲間を見つけたということを自分の中で実感して、一緒にやることになりました」

 

「名張の旧市街地、旧町の中にはまだまだこういう建物がたくさんあるんです。
家主さんもどうしたらいいかわからないし、どこに相談したらいいかもわからない…けれども空いたまま閉めてそのままにしていくよりも、直していけば、こんなに人が来て賑やかな場所が生まれるという選択肢の一つとして示せるのかなと。
来てみて体験してもらって、じゃあうちの家もこういう風に使ってよ…という風に繋がっていくことを僕は期待しています」

と、野山さん。

 

地域、場所、世代を超え、目的を共有することによって起こる化学反応。
それが『一般社団法人 つなぐ』の大きな目的。
今回の事業には、大学生メンバーも参加し、クラウドファンディングの立ち上げなど、共に活動しています。

「奈良県立大学2年の杉田香乃です。
地域の空き家活用等について学ぶ中で野山さんに出会い、『つなぐ』の活動に参加しました。
名張の旧市街地を中心とした古民家・空き家の利活用に取り組んでいます。
『FLAT BASE』はコワーキングスペースですが、仕事をする人だけではなく地域の人やたくさんの人に来てもらえる場所にしたいと思っています。
そのために、ワークショップを開いたり、観光案内などをできるようにしたいと考えています」

 

「たくさんの人が、ふらっと気軽に寄ってもらえる場所にしたいですね。
『大人の秘密基地』というテーマもありますので、ワクワクが生まれるようなイベントを開催していきたいです。
そしてイベントを見た方に、こんなふうにしたいと思ってもらえるような、夢につながる運営をしていきたいですね」

と、北森さん。

「コワーキングスペースは、本当にあくまで入口だと思っています。
場所を作ったからといっていきなり人が流れ込んで来るわけもないので、地域の資源にもう一度光を当てて、名張にはこんなものがあるんでよかったら来て下さいっていう丁寧な届け方をしていきつつ、ここにも来てくださいと誘導するというか。
まずは名張に来る人の母数を増やす。
そうなることで空き家が解消されるとまではならないかもしれませんが、こういう雰囲気が好きという方々に知ってもらい使ってもらう…ということをしていきたいと思っています」

と、野山さん。

『一般社団法人 つなぐ』から、まもなく誕生する『FLAT BASE』、ご期待ください!!