『M子の地産地消レストラン』2013年2月

「その地でとれた食材を、その地で食す!」
シーズン到来を待ち望んでいた、『波瀬のクレソン』。
私たちが普段食べているクレソンとはまったく別物、との噂を聴き、早速行ってきました!!

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波瀬に美味しいクレソンがあると耳にし、166号線を一路、松阪市飯高町へと車を走らせました。
おりしも降りだした激しい雪。
飯高は寒いと聞いていましたが、本当に寒いです!
おそらく中勢地区の街(津ぅや松阪)に比べると、5℃くらい低いですね。
飯高町といっても、波瀬はもう奈良との県境に近い場所なので、さらに寒いです!
でも、美味しいものを食べるためなら、執念深くどこまでも!
それがM子です。


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こちらがクレソンをお鍋でいただくことのできる『はぜの風』。
櫛田川の上流となる清流沿いに建てられています。

しかしですね。
そもそも、クレソンって、肉料理の添え物というイメージ。
クセがあって辛くって・・・『料理』として出せるものなのかしらん・・・と、心の中では疑問符が。
と、そんな気持ちが顔に出ていたのか、店主の北川京子さんが、

「良かったら、クレソン畑を見てみませんか?」と。

おおお、これは嬉しいお誘い。
実際の畑を拝見することで、クレソンの真実(?)のようなものが見える気がします。


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こちらが『はぜの風』から車で5分ほどの場所にある、クレソン畑。
休耕田を利用して、作り始めたのだそう。
クレソンはもともと自生していたそうですが、かつては雑草扱いだったとか。
波瀬のクレソンの希少性に気づいた人たちで、栽培を始めたところ、現在では生産農家も増え、『道の駅飯高』や近隣の温泉施設、さらにはなんと、新宿の伊勢丹にも卸しているそう!!


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見て下さい!
水が、水がとっても綺麗なんです!
聞くと、川の水ではなく沢の水だけを使っているそう。
畑の上には民家がないため、そのままの清流を使っているとのこと。

「最近寒かったから、ちょっとやられちゃったね~」と北川さん。
いやいや、充分瑞々しいです。
私がイメージするクレソンは、色が暗めで縁がちょっと紫色っぽいんですが、こちらはまったく別物。
若々しいグリーンです。
ちなみにクレソンの旬は11月下旬~5月下旬。
3月に入った頃が、もっとも美味しくなるそうです。


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そしていよいよ、クレソン鍋!
と思っていたら、小鉢が続々と!
左上から時計回りに、
●大根と人参のなますに柿、蕪の甘酢漬け
●クレソンと人参入りの出汁巻き卵、さつま芋とりんごとキンカンの甘煮
●カボチャと煮大豆の唐揚げ、ぜんまい
●クレソンの白和え

どれもしっかりと美味しい!
しかもほとんどが「そのへんで採れたもの」だそう。
私は実は柿が苦手なのですが、ねっとりした柿がなますがよく合っていて、まさに「出会いもの」。
うっとりいたしました。
出汁巻き卵は、クレソンの香りはしつつも卵を殺さない程度のほのかさ。
意外にも、思わず声が出てしまったのが、『煮大豆の唐揚げ』。
豆自体が甘く、さらにそこに下味が付いていて、噛むと思いがけないほどの滋味が。
びっくりしました。
クレソンの白和えは、クレソンの風味のためかさっぱりと仕上がっていて、ちょっと日本酒が欲しくなったりして。


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ずいきと切り干し大根とキンピラ。
切り干し大根が甘くない味付けで、嬉しい驚き。


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イタドリとアマゴの甘露煮。
イタドリはすっぱいというイメージがあり、恐る恐る口にしたところ、サクリとした歯応えと中華風の味付けにビックリ!
酸っぱくなく、タケノコのような食感です。
イタドリを皮を剥いて塩漬けにして一旦、冷凍。
その後、解凍すると酸味が取れ、食感だけが残るのだとか。
素晴らしいです。

イタドリはもちろん採ったもので、アマゴは近所の方からのいただきもの。
本当に「採れたもの」「いただきもの」率が高いですね(笑)


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クレソン登場!
すっごい量です!


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豚肉とクレソンは良く合うとのことで、豪快に、出汁が沸騰したお鍋へ一気に!
これを全部食べることなんてできるのかしらと、超弱気だったのですが・・・。

うおおっ!
口に入れた瞬間、思わず1人歓声!
本当に声が出ました!
そのくらい美味しいのです!
緑の味が深い、なのに、辛さやエグみが一切ありません。
でもちゃんとクレソンの香りはするのです。
なんと表現するべきか・・・市販のクレソンからエグみと辛味を取り去り、それを10倍ほど凝縮させたかのような味!


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湯がいても食感がしっかりしています。
これは野菜嫌いなM子でも、まっしぐらな美味しさ!
生で食べてももちろん美味しいのですが、湯がくことで、がっつり量を食べられるのです。
しかも豚肉の風味と合い、美味さの相乗効果も得られます。
こんなに野菜を美味しいと感じ、量を食べるのは久しぶりです。
一口食べるごとに、身体中の老廃物が出て行く感じ・・・まさに食べるデトックス効果!


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その上さらに、銀杏ご飯に、クレソンの天麩羅!
銀杏ホックリ、天麩羅サクサク、ともに美味しくて、笑えてくるほど。
美味しいものを食べていると、人って笑ってしまうんですよね。
クレソンの天麩羅の横には、小さなフキノトウの天麩羅が。
はんなりとした春の味です。


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最後は、波瀬のクレソンを練りこんだ『クレソン麺』!
乾麺とは思えないほど、モッチモチ!
すすり込むと、喉を通過する瞬間に、クレソンの薫りがふわっと。
これは絶品!!
ここまででいっぱいになったお腹がリセットされるほどです。
ああ、買って帰りたかったなぁ・・・。


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食後のコーヒーとお茶菓子。
コーヒーは1回ずつドリップしてくれます。

この他に、クレソンのサラダも付き、一人前なんと2000円!
お値打ちすぎますよ!
しかし北川さんによると、
「こんなとこまでわざわざ来てくれたお客さんから、これ以上はもらえない!」と。
いやいや、もっともらっても大丈夫ですって。

昨年末にTV朝日系列『人生の楽園』に、『はぜの風』が紹介されたこともあり、お邪魔した日は予約がなかったはずが、ほぼ満席に!
聞くと鈴鹿や愛知県はもちろん、お客さんは全国から。
なんと鹿児島からはるばる来たお客さんもいるそうです。
確かにここのクレソンは、飛行機に乗ってでも食べる価値があると思います。

何でこんなに美味しいのかを、北川さんにお聞きしたところ、
「さあ・・・何でかしらねえ。やっぱり水かしら」
とのこと。
川ではなく、沢の水。
そして肥料は一切使わない。
だから、虫の多くなる夏場は作らない。

本当に、沢の水と、クレソンの価値に気づいた人たちが創りだした、『奇跡のクレソン』という気がいたしました。

とてもとても美味しいので紹介したい!
でも小さなお店なので、あまり大々的に知られたくない!

そんな、自分の中にしまっておきたくなるお店でした。


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北川さん、ご馳走様でした!
今度は取材抜きでお邪魔し、もう一度心ゆくまでお料理を堪能したいです。

はぜの風
住所 松阪市飯高町波瀬565
TEL 0598-47-0825
営業時間 お昼くらい
お料理  11月~5月はクレソン鍋を中心とした料理
     その他の時期は、季節の料理
営業日 予約をいただいた日

※基本的に予約制なので、電話でお問い合わせ下さい。