FM三重『ウィークエンドカフェ』2014年2月1日放送

今回のお客様は『大正琴アンサンブル エンゼルフィッシュ』のみなさん。
メンバーは代表の田村美保子さん、森川明子さん、今井照子さん、津田真澄さん、徳田ひとみさん5名です。
田村美保子さんは『琴修会』中勢支部の代表も努めていらっしゃいます。

大正琴の指導者の先生方が集まりユニットを結成したのが平成元年。
結成25年を迎えたエンゼルフィッシュのこと、大正琴の魅力についてたっぷりとお話していただきましょう。

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■ユニット名『エンゼルフィッシュ』の由来

25年前、一番最初にアンサンブルを始めた頃は、みなさんスリムで奇麗だったんですね。
でもその時に指導してくださった先生が、
「みなさん見た目は大変美しい、されど煮ても焼いても食えない面々ばかり」ということで、『エンゼルフィッシュ』という名をいただいたんです。

教室自体を始めてからは33年になります。
きっかけは、娘を亡くしたことかもしれません。
たまたま楽器屋さんへ訪れたとき、大正琴のチラシが積んでありまして。
その頃は大正琴の全盛期で、これからもっと伸びていくという時期。
「何かを始めて前に進もう」と、楽器屋さんに誘われて、始めたんです。

教室を持ってみると、あれよあれよと生徒さんが増えてきました。
現在、私自身の生徒さんは150名くらい、支部としては400名弱の会員さんがいます。
生徒さんの年齢は上は、90歳、下はキッズがあるので小学生もいます。
でも平均すると70歳ほどでしょうか。
スタートするのも退職してからという方が多いので、やはり60歳以上。
私の生徒さんで初めて入ってくださった方が、当時50歳くらいでした。
それから一緒に歩んでくださいますから30年。
ひとつの習い事を30年続けるのはすごいなあと感心します。
生徒さんたちには、いつも感心して感謝しています。


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■入り口は簡単でも極めるのは至難

例えば『キラキラ星』は楽譜の数字さえ読めるようになれば、5分で弾けますよ。
けれど、それをだんだん極めていくのは、奥も深いし大変です。
ボタンの押さえ方で音も変わってきますから。

目標とする音楽は人それぞれですが、氷川きよしなど、自分の好きな演歌を弾けるようになりたいと言う人が多いですね。
自分の好きな曲を弾きたいと思うとだんだんと上手になってくるんです。

でも大正琴は、1人で弾くわけではありません。
ソプラノ、アルト、テナー、ベースと4つのパートがあります。
それが合わさって、幅のある音楽になるんですね。
生徒さんの場合はソプラノだけとか、ソプラノとアルトの2本で演奏したりとか、簡単なアンサンブルならできますね。

教室ではいろいろな曲を演奏しますので、知らない曲でも練習すると弾けるようになるので楽しいのではないでしょうか。
生徒さんが初級の教則本を一冊弾けるようになると、どこどこで発表会があるから弾かない?と先生が声をかけるんです。
それで発表会の曲が決まると、半年くらいかけてその曲を仕上げる。
みんなに助けてもらいながら発表会に向けて頑張ることで、何年でもがんばっていけるんだと思います。
発表会の練習でも半時間くらい休憩の時間があるので、みんなでお茶やらいろんなものを持ち寄って、話に花が咲いて、それで解散なんて日もあるし、そして発表会を迎えてね・・・一年が早いです。
サイクルが決まっているんですね。


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■海外公演のお話

私たちはそれぞれに多くの生徒さんを指導されていますが、『エンゼルフィッシュ』のプレイヤーとして、これまでたくさんの舞台に立ってきました。
中国、ウィーン、ハワイ、オーストラリア、イタリアでは『エンゼルフィッシュ』の単独コンサートを行いました。
国によってお客さんの反応が違うのも面白いですね。
印象に残っているのはハプスブルグ宮、それからオペラハウスで演奏したこと。
オペラハウスではお客さんの反応がとても良かったですし、ハプスブルグの時は、王宮の中で演奏するなんて、そうそうないので、感動もひとしおでした。

訪れたの国の方とジョイントしたこともあります。
イタリアの時は、若手のピアニストがゲストに来てくださったし、中国では現地の音楽学院の生徒さんと一緒に演奏しました。
海外のみなさんは表情が豊か。
良かったら本当に『ブラボー!』って言って、大きな拍手をくださる。
すごくノリが良いんですね。
やはりアジア圏よりもヨーロッパ圏の方がゼスチャーが大きいですね。

日本の伝統楽器を海外の人にも少しでも知ってほしいな、というのが最初の目的。
自分たちにもいい思い出ができました。


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■『エンゼルフィッシュ』メンバーのみなさんからのメッセージ

徳田さん
私はピアノをやっていて、それから大正琴に入ってきました。
クラシックばかりだった頃に比べると世界が広がり、いろんなジャンルの曲を弾けるようになったことが良かったですね。

津田さん
今までかなり年配の人とのお付き合いはなかったのですが、大正琴を始めたことで自分のおばあちゃんくらいの人との出会いができて、それが自分のためにもなるし、ありがたいことだと思います。

今井さん
私も大正琴は楽器屋さんから勧められて始めました。
ある日、田村先生から「グループを組まないか」と声をかけていただいて・・・25年も続くと思っていませんでした。
生徒さんにも恵まれたし、このメンバー、みなさんがいい人ばかりだったので、やってきて良かったな、と思います。
だいぶ疲れてきましたけど(笑)

森川さん
私も同じく楽器屋さんから勧められて始めました。
そして田村先生に演奏よりもキャラクター重視で入れてもらったんですけど(笑)
今では週に一回、月曜日に集まって、お話ししたり演奏したり。
気がついたら25年もたっていました。
今私、71歳なんですよ。
先日25周年の演奏会があったんですけど、生徒さんたちからもう、5年後の30周年の会をやりましょう、と声がかかっているんです。
自分の中ではいつになったらやめなきゃいけないとは思っていないので、みんなから「ダメよ」と言われるまでがんばっていきたいですね
生徒さんでもリピーターさんがいて、演奏会のたびに来てくださる人もたくさんいらっしゃいます。
その人たちのおかげで続けられるんじゃないかな、と思っています。

田村さん
日本の数少ない伝統楽器の大正琴は、退職してから始める人が多いんですけど、実際自分が携わってみたら、若いうち始めないと、つくづく実感しました。
だから今、若い人たちに一生懸命声かけをしています。
一人でも多くの方に伝えていきたいという思いから、三重県で初めてアンサンブルグループを作りました。
それから三重県の大正琴人口がとても増え、若い人たちも含め、いろんな演奏グループも増えてきました。
これも一つの成功かなと思っています。
これからももっともっと若い人たちがいろんな形で継承してくれると良いですね。