三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2014年8月3日放送

江戸時代、津市安濃町を中心に生産された幻の布『津綟子』をよみがえらせるため、染織グループが残された『津綟子』を研究!
再現に挑みます!

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今回は、今年4月にグランドオープンしたばかりの三重県総合博物、MieMu(みえむ)からスタート。
開館からわずか39日で来場者10万人を達成突破するなど、今年一番話題のスポットです。


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こちらが、所蔵されている幻の布『津綟子』。
綟り織と呼ばれる2本のたて糸でよこ糸をはさみ、もじる(ねじる)織り方によって、通気性が優れた織物。
『津綟子』は津市安濃町を中心に江戸時代から生産。
「津の捩り織り」から『津綟子』と呼ばれるようになったと言われています。


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安濃町での生産が盛んだったのは、『津綟子』の糸の原料となる植物『カラムシ』が自生・栽培されていたためだそう。
幕府への献上品にもなるほどの津の特産品でしたが、明治時代以降、生産が減少、消滅してしまいました。
数少ない、状態の良いこちらの肩衣は、三重県有形文化財に指定されています。


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一度はその姿を消した技工、『津綟子』。
津市安濃町で生まれた幻の布を現在によみがえらせようと、機を織りはじめたのが、『染織グループ しおり』のみなさん。
伝統と匠の技を次の時代へつなごうとがんばっています。


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『しおり』代表の林美津子さんに、『津綟子』を復活させようとした思いをお聞きしました。

「きっかけは(津市)安濃の資料館で『津綟子』を見たこと。
もともと機織りのグループだったため、やはり実際に織ってみたいと思ったのです」


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『染織グループ しおり』は、地元で開催された手織講座が誕生のきっかけで、講座終了後の平成12年に自主グループとして設立。
現在のメンバーは14名。
津綟子だけでなく、江戸時代から織られてきた三重の縞もめんの再現など、地域に伝わる機織り機術の伝承につとめています。

そして平成21年から津綟子の調査研究をスタート。
資料は乏しく、グループで実物を探していたところ、冒頭で紹介した『津綟子』の肩衣が発見され、卓越した技法を知ることができたのです。


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発見された津綟子は保存状態がよく、組織分析から、織り方が判明。
しかも、『染織グループ しおり』のみなさんは、高機(たかはた)と呼ばれる機織りでつくれるように自分たちで独自の工夫を重ね、それをさらに発展させたました。


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まだまだ小さな作品ですが、自分たちの『津綟子』の作品が編み出されつつあります。
近くで見ると糸がもじれているのがわかりますね。
これがあることで隙間ができ、夏用の織物『津綟子』となるのです。


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こちらは、三重の縞もめん。
『染織グループ しおり』のみなさんは、『津綟子』に限らず、伝統的な織物技術を残していこうと日々作業を続けています。
そんなみなさんの取り組みは高く評価され、三重県総合博物館MieMuにも、みなさんが再現した三重の縞もめんが展示されています。


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また、地元の織物の伝統を伝えるべく三重の縞もめんの独自ブランド『あの津嶋』を立ち上げました。


消えた伝統の技をよみがえらせ、その色合い、肌触りで、歴史を感じさせる・・・。
今はまだ試作段階でも、いつかは反物として世に出し、後世に残したい・・・。
『染織グループ しおり』のみなさんの活動は脈々と続きます。