FM三重「ウィークエンドカフェ」2011年2月26日放送

今回のゲストは、名張市の『まちかど博物館 はなびし庵』の角田勝さん、久子さんです。
石の鳥居のすぐそばにはなびし庵はありますよ。
影絵のお話や三代目ご夫婦の生き人形のお話などた~っぷり聞かせて頂きました。
角田さんご夫婦のやりとりは漫才を聞いているようです。
影絵を見て名張のことを学んでからの散策、おすすめです!

■自宅のお座敷で『影絵』をされているということですが・・・。

ええ、ウチは築170年の古い町屋。
その雰囲気を味わってもらうため、座敷に影絵用のミニステージを作りまして、障子2枚分くらいの磨りガラスの後ろからライトを当てて。
普通は小学校の講堂などで、一人が一体担当で7~8人でやるものなんでしょうけど、ウチは二人で。
99%は家内がやって、私は雰囲気をほぐす「前座」と、はじまりの拍子木を打つくらい(笑)
演目は、名張の歴史や文化をモチーフにしたオリジナルの作品。
手前味噌ですが、結構評判が良いんです。
観光バスで30人ぐらいのお客さんが来たり、老人会や、名張散策をされたご夫婦グループさんが寄ってみえます。

単に歴史や文化を語るのではなく、『紙芝居』のように動きがあると、コミュニケーションも生まれやすいですね。

お客さんに影絵体験もしてもらっています。
ストーリーのある、歴史もの本編の影絵は家内が担当ですが、名張の昔話のトンボの役とかウサギの役とか。
娘さんや子供さんは、率先してやりますよ。
体験することで、影絵に親近感がわくようですね。

■『生き人形』をお持ちとのことですが・・・

ご先祖から伝わっている『生き人形』がございます。
江戸時代の生人形師・初代安本亀八が作られた『三代目角田半兵衛みか夫婦座像』がそれです。
角田家では、代々、このお人形を大晦日に蔵から出して飾り、一年のはじまりを迎える慣わし。
それをどこで聞きつけたのか、東京の、某お宝鑑定番組から、是非出して欲しいと依頼があったんですよ。
この人形を鑑定するのは、本当はとても嫌だったんだけど、番組のディレクターさんが何度も足を運んでくれたのと、これが話題になったら、名張の活性化につながる!と思って、承諾しました。

■鑑定の結果は・・・?

テレビ東京さんから、「せっかく探し出したお宝なんですから、初めから5万10万言わないで100万くらい言ってください」って言われていたんですよ。
でも実は家内が掃除している時、半兵衛さんの『髷』が取れちゃって。
だから、逆に頑張っても100万いったら御の字だと思っていました。

そうしたら、なんと付いた値は450万!
びっくりしましたよ!

鑑定してくださった小林すみ江さんも、初代のものは初めてだそうで、驚いておられました。
で、ちゃんとショーケースに入れて、その中に水の入ったコップを置いて・・・もう少し大事にしてくださいって言われて。
言いつけどおり、頑張ってショーケース作りまして、今ではそこに鎮座なさっています(笑)

ちなみに幕末~明治かけての有名な生き人形師は、松本喜三郎と、この安本亀八。
二人とも熊本出身で、難波で見世物興業をした後、江戸に向かったんだけど、安本亀八は名張の粋人の所に3~4年滞在したらしいです。
そんな関係で、名張には安田亀八の作品が何点かあったようですね。

■『三代目角田半兵衛みか夫婦座像』と影絵のつながりは?

初めて演じた作品が、『角田半兵衛夫婦坐像縁起』です。
三代目角田半兵衛が、名張に逗留していた安田亀八を招きいれて、人形を彫ってもらおうか・・・俺だけにするか女房も一緒に作ってもらおうか・・・なんてのを思案し、三人でやりとりするお話。
先祖の話は子孫の私らがしないと、と家内に言われまして。
150年の時を越えて、9代目の夫婦で再現いたします、ということで(笑)
どんなにケンカをしていても、影絵用の衣装を着ると、気持ちがビッと切り替わります。
終わったらまた続きをするんですが(笑)

■影絵をはじめて、なにか変わったことは?

家族の絆が深まった気がします。
ナレーションは次男の奥さんがしてくれるし、録音・効果音など、私らには全然わからないものは息子夫婦担当してくれています。
三男は効果音の音楽を探しに、大阪まで行ってくれたり・・・。

家内が動かしている人形が、ふとしたことで上演中にポロっと落ちちゃったりすることがあっても、
「すんません、昨日夫婦ゲンカしたもんで、ちょっと機嫌が悪いらしくて」と私が謝る(笑)
何と言うか・・・ケンカ中でも、どこか和気藹々とした気持ちを持ち続けられますね。

■『街角博物館 はなびし庵』では何が見られるんですか?

江戸時代のお道具類などを展示しています。
おばあちゃんが亡くなった後、遺品の整理も兼ねて蔵の掃除をしていたら、江戸時代の道具や家具などが、良い状態で出てきまして。
ちょうど、名張に来た人を、赤目からこっちに何とか引っ張ってこられないか・・・と考えていたところだったので、これだ!と。
無理に何かするんじゃなく、あるものを活用して、名張に来た人に楽しんでもらおうと思ったんです。
お店の一角に並べたり、座敷に飾ったりして。
『幕末にタイムスリップ』が一応のテーマです(笑)
お客さんに説明するため、さまざまな道具が、いつの時代のどんなものかを、私たちも勉強しました。

名張の古い町を散策がてら、石の鳥居そばの『はなびし庵』に是非立ち寄ってください。
お待ちしています!